- 2024/04/14
- 2024/05/09
ビジネスにおけるメタバースの運用・活用方法は?注意点やコストについても解説
近年注目を集めている「メタバース」。よく耳にはするものの、よくわかっていない方も多いでしょう。
また、メタバースの普及に伴い、自社のビジネスにおいても運用・活用したいと考えている企業の方も多いです。
しかし、どのようにメタバースをビジネスにおいて活用すれば良いのかわからない方もいるでしょう。
そこで本記事では、ビジネスにおけるメタバースの運用・活用方法を解説します。
合わせてメタバースをビジネスで運用・活用する上での注意点やコストについても解説するので、これからメタバースの導入を検討している企業のかたは、ぜひ最後までご覧ください!
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目次
そもそもメタバースとは?
ビジネスでメタバースを運用・活用する前に、そもそもメタバースが何なのかわかっていなければ意味がありません。まずは、メタバースについて改めて理解を深めましょう。
メタバースとは、アバターでコミュニケーションが取れる3DGC空間です。
「メタバース」は、「超越」を表す「meta」と「世界」を意味する「universe」を組み合わせた言葉です。この言葉が初めて登場したのは、1992年のSF小説「スノウ・クラッシュ」でした。
そんなメタバースの特徴は以下の通りです。
- 現実世界と同じような空間
- アバターを使い、他のユーザーとコミュニケーションを取れる
- ゲーム以外でもさまざまな分野で活用されている
メタバースは主にゲーム分野で活用されていました。『マインクラフト』や『あつまれ どうぶつの森』が有名です。
しかし、コロナ禍によるリモートワークの普及や、Meta(旧Facebook)の参入によって、多くの分野で活用されるようになりました。
メタバースが注目されている背景
メタバースが私たちの日常生活に登場し始めたのは、2021年頃です。なぜ数年前からメタバースが注目されるようになったのでしょうか。
結論、さまざまな理由によって、メタバースは注目されています。先ほど紹介したようにコロナ禍によるリモートワークの普及やMeta(旧Facebook)の参入も理由の一つです。
- オンラインコミュニケーションの拡大
- VR機器の普及
- NFTや仮想通貨の実用化
- Facebook社がMeta社に名称を変更と参入
- 新型コロナウイルスの世界的流行
理由は上記のようにさまざまありますが、とくに「オンラインコミュニケーションの拡大」の背景は大きな要因です。
近年、インターネット技術の進歩により、オンラインコミュニケーションにおける音声や映像の品質が向上しています。その結果、ビデオ通話などのオンラインツールが普及し、人々のコミュニケーションが容易になりました。
こうしたオンラインコミュニケーションの普及が、メタバースの注目を高める一因となっています。
メタバースの運用・活用で得られるメリット・効果
ここからは、実際にメタバースをビジネスで運用・活用すると得られるメリットや効果について解説します。
企業の成長につながる要因となる効果がさまざまあるので、しっかり把握しましょう。
新しいビジネスチャンスの創出
メタバースの運用・活用により、新しいビジネスチャンスが創出されます。具体的な活用場面でいうと、メタバース上での商品展示や店舗運営が可能になります。これにより、小売業者は従来の物理店舗に依存せず、世界中の顧客に商品を展示し販売が可能です。
また、仮想空間でのイベントやコンサートの開催が可能となり、地理的な制約を超えて参加者を集めることができます。さらに、メタバースは仮想プロパティやデジタルアセットの取引市場を展開し、仮想世界内での不動産取引やデジタルアートの売買が可能です。
これらの具体的な事例により、新たな経済生態系が形成され、多様なビジネスが展開されることとなるでしょう。
また、メタバースは仮想空間内での広告やマーケティング活動の展開を可能にし、ブランドの露出や顧客獲得の機会を拡大します。
ブランディングと、他社との差別化
メタバースの運用・活用は、ブランディングと他社との差別化に多くのメリットをもたらします。
まず、メタバースは独自の仮想空間を構築し、ブランドのイメージやストーリーをリッチな体験として伝えられます。顧客は仮想空間内でブランドの世界観や価値観に没入し、より深い関係の構築が可能です。
また、メタバースは革新的な技術を活用した先進的なブランドとしてのイメージを構築するのに役立ちます。例えば、仮想空間内でのVRやAR技術を駆使した体験やイベントを開催すると、ブランドの価値を示せます。
さらに、メタバースは他社との差別化を図るためには重要です。独自の仮想空間や体験を提供することで、競合他社との差別化を図れます。
顧客は他社とは異なる独自の体験を求め、そのために特定のブランドを選択する傾向があります。メタバースの活用は、そのような顧客の期待に応え、ブランドを他社との差別化させるためには有効です。結果として、メタバースの運用・活用はブランディングと他社との差別化を強化し、企業やブランドの競争力を向上させるのにつながるでしょう。
より効果的でコストを削減した採用活動・求人の実施
企業の採用活用や求人においてもメタバースはメリットがあります。
メタバース上で、採用イベントを開催すると、地理的な制約を超えて候補者との接触が可能です。結果として、より広範囲な人材プールから適切な候補者を見つけられます。
また、メタバースは没入型の体験を提供するため、参加者はリアルな状況をシミュレートし、仕事の環境や文化を実感するのに効果的です。これにより、企業と候補者の相互理解を促進し、採用のマッチ度を向上させられます。
さらに、メタバースを活用することで、従来の面接やオンラインインタビューに比べてコストを削減できるのもメリットです。物理的な面接会場や交通費、宿泊費などのコストを削減し、効率的な採用プロセスを実現できます。
これらの効果により、企業は採用活動にかかる費用を削減し、同時により多くの候補者と効果的に接触することができます。結果として、メタバースの運用・活用はより効果的でコストを削減した採用活動や求人の実施を可能にし、理想の人材獲得へ役立つでしょう。
メタバースの運用・活用によるデメリット
さまざまなメリットがあるメタバースですが、逆にデメリットがあるのも事実です。
ここからは、メタバースをビジネスで活用する上でのデメリットを紹介します。
コストがかかる
メタバースの運用・活用には、一定のコストがかかるのはデメリットです。
まず、メタバースの構築や運用には、専門知識を持った人材や技術リソースが必要です。これらの人材やリソースを確保するためには、企業が追加の費用を負担する必要があります。
また、メタバースの開発やカスタマイズには多くの時間と労力が必要であり、それに伴うコストもかかります。
さらに、メタバースの運用にはハードウェアやソフトウェアの更新やメンテナンスが必要です。ハードウェアの購入やアップグレード、ソフトウェアのライセンス料、サーバーの維持費などが含まれます。
メタバースビジネスを展開するには、通常、独自のメタバース空間の構築が必要です。そのためには、専門知識や技術が必要であり、外部のプラットフォームを利用する場合でも、一定の費用が発生します。
利用できるコンテンツが少ない
メタバースの運用・活用におけるデメリットの一つは、利用できるコンテンツがまだ少ないことです。
メタバースは新しい概念であり、現在ではまだ多くの企業や個人がそれを活用するためのコンテンツを開発していません。そのため、利用者がメタバース内での体験や活動を行う際に選択肢が限られることがあります。特に、特定の業界や領域においては、適切なコンテンツが不足している場合があります。
また、メタバース内でのコンテンツの品質やバラエティにも課題があるのが事実です。一部のコンテンツは古く、魅力に欠ける場合もあります。
これらのデメリットは、メタバースがより広く普及し、成熟するにつれて解消されるでしょう。しかし、現時点では利用できるコンテンツの少なさが、メタバースの運用・活用におけるデメリットの一つとなっています。
健康や依存のリスクがある
メタバースのビジネス運用・活用におけるデメリットの一つは、健康や依存のリスクがあることです。
メタバースは没入型の仮想空間であり、長時間の利用や過度な没入は身体的な健康リスクを引き起こす可能性があります。例えば、長時間の画面時間や不自然な姿勢による姿勢の悪化、眼精疲労、頭痛、睡眠障害などです。
また、メタバースのリアルな体験や社会的な交流が魅力的であるため、一部の利用者は現実世界からの離脱や孤立を招く可能性があります。さらに、メタバース内での活動が過度に依存症や中毒の問題を引き起こす可能性もあります。特に、リアルなストレスや問題から逃避するためにメタバースに過度に没頭するケースです。
これらの健康や依存のリスクは、導入を検討している企業の従業員の健康と福祉に影響を与える可能性があり、企業や組織にとってもリスクとなります。したがって、メタバースのビジネス運用・活用においては、健康リスクや依存の問題に対処するための適切な対策やガイドラインを策定し、従業員の安全と健康を確保するのが重要です。
【事例も紹介】ビジネスでメタバースを運用・活用する方法
ビジネスにおけるメタバースの運用・活用方法は多岐にわたります。以下にいくつかの方法を紹介します。
実際にリプロネクストがメタバース上に作成した事例も合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
バーチャルオフィス空間の構築
ビジネスでメタバースを運用・活用する方法の一つは、バーチャルオフィス空間の構築です。
企業は従業員がリモートで働く場所として、バーチャルオフィスを構築できます。バーチャルオフィスでは、従業員は仮想空間内で会議を開催し、ファイルを共有し、コラボレーションが可能です。
また、従業員はバーチャルオフィス内で自分のデスクや部屋を持ち、リアルなオフィス環境に近い体験ができます。
バーチャルオフィスの構築により、従業員はより柔軟な働き方が可能となり、コミュニケーションや協働が円滑に行われることが期待されます。
税理士事務所のバーチャルオフィス
税理士事務所のメタバースオフィスを制作いたしました。全国各地のお客様や求職者との接点創出を主な目的とし、広報・採用活動に活用されます。
税理士オフィスのメタバース空間の中でとくに注目すべきは、会議室エリアです。間接照明やウォールライトなど、細部にわたり細やかな配慮をし、まるで本物のオフィスにいるかのような雰囲気で、職場の人とのコミュニケーションが取れます。
コロナ禍でリモートワークが普及した中、メタバースの技術を活用すれば別の場所にいても密接なコミュニケーションが可能です。もちろん税理士事務所だけではなく、多くの企業でもすでにバーチャルオフィスは導入されています。
税理士業界におけるメタバースの活用は国内で初の試みであるため、新しいアプローチとしての事例です。
【参考】
イベントや交流会の実施
メタバースを活用して、イベントや交流会の実施が可能です。仮想空間内でのイベントや交流会では、参加者がリアルな場所に集まるかのような体験を提供できます。
参加者はバーチャルなアバターを操作して会場を移動し、他の参加者とのコミュニケーションや交流ができます。さまざまな種類のイベントや交流会ができ、ビジネスイベントや展示会、カンファレンス、パーティーなどをメタバース上で開催可能です。
メタバースを利用すると、地理的な制約を超えて参加者を集められるため、より多くの人々の参加のハードルが低くなります。また、リアルなイベントとは異なる独自の体験を提供すると、参加者にとっても新しい価値感が生まれることにつながるでしょう。
食のイベント
岩手県様よりご依頼いただき、メタバース上で開催する「食」のイベントを『「黄金の國いわて。」のフードショーinメタバース』と題し、2部構成で実施しました。
「実際に移動する必要がないので参加のハードルが下がった」、「時間や費用をかけず気軽に参加できる」、「リアルの商談会よりもマッチングの確率が高い」このようなメリットが生まれました。
メタバースだからこそのメリットや実現できたことなども再認識できた事例です。
また、ライブやオンラインツアーもメタバース上で開催できます。動画で配信されているライブやオンラインツアーは視聴する感覚に近いですが、メタバースはその場にいる感覚で参加可能です。そのため、アーティストや観光地を目の前にしている臨場感を楽しんだり、友人と一緒にコミュニケーションをとれます。
【参考】
バーチャルストア・バーチャルマーケット
メタバースを利用して、バーチャルストアやバーチャルマーケットを構築が可能です。バーチャルストアでは、仮想空間内で商品を展示し、顧客が商品を閲覧して購入ができます。
バーチャルマーケットでは、複数の販売者が仮想空間内で商品を販売でき、顧客はさまざまな商品を一箇所で見つけられます。結果、顧客はリアルな店舗に行く必要なく、自宅から手軽に商品を購入可能です。
また、バーチャルストアやバーチャルマーケットでは、リアルな店舗では難しい独自の店舗体験を顧客に提供できます。例えば、商品の詳細な情報やレビューを表示したり、仮想的な試着や試用を行ったりすることです。
さらに、バーチャルストアやバーチャルマーケットでは、イベントやプロモーションの開催もできます。顧客がメタバース内でしか味わえない特別な体験ができ、購買意欲の促進へとつながります。
小売店のバーチャルショップ
愛鳥家の方々のコミュニティとして親しまれてきた「inkonite(いんこにっと)」様。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、店舗を閉めるという状況の中「お店の雰囲気を残し、今後もお客様にグッズや情報を届けていきたい」という想いで、2022年8月にバーチャルショップを開設しました。
バーチャルショップには作家の方々が作った鳥モチーフのアクセサリー・マスコット・ステーショナリーなどが並べられており、まるで店内を歩くように商品を見て回れます。
各アイテムのボタンを押すとECサイトへ遷移し、商品詳細や購入へ進むことができます。
サイドバーにはSNSへのリンクやオンライン接客サービスの掲載、レジ付近には「今月のおすすめ商品」「クリエイター募集」などのお知らせを掲載し、最新情報を届けています。
「店舗の想いやコンセプト、スタッフの方の雰囲気などを表現する」ことに成功した事例です。
【参考】
inkonite(いんこにっと) 様【バーチャルショップ制作】
ビジネスでメタバースを運用・活用するにはどれくらいの費用がかかる?
メタバースをビジネスで運用・活用するための費用は、様々な要因によって異なります。
一般的な費用は100〜1,000万円です。先ほども解説した通り、メタバースビジネスを展開するには、通常、独自のメタバース空間の構築が必要です。この場合専門知識や技術が必要であり、また外部のプラットフォームを利用する場合でも、一定の費用が発生します。
主な費用 | 内容 |
開発・構築費用 | メタバースを自社で構築する場合、開発やプログラミングのための人件費、ソフトウェアやハードウェアの購入費用。外部のプラットフォームを利用する場合でも、カスタマイズや導入に費用が発生する。 |
運用・メンテナンス費用 | メタバースの運用やメンテナンスには、定期的な人件費やサーバーの維持費、セキュリティ対策の費用などが必要。また、新しいコンテンツの追加や更新なども費用がかかる。 |
広告・マーケティング費用 | メタバース内での広告やプロモーション活動を行う場合、広告費やマーケティングのための費用がかかる。 |
トレーニング・教育費用 | メタバースを活用する従業員や関係者に対するトレーニングや教育のための費用。 |
上記のような費用が一般的にはかかってきます。メタバースをビジネスで運用・活用するには多くの費用がかかる可能性があります。企業はビジネス目標や予算に合わせて、適切な投資が必要です。
費用に関して気になる疑問点や相談などあれば、実績豊富な私たちリプロネクストにご相談ください。
ビジネスでメタバースを運用・活用する上での注意点
最後に、ビジネスでメタバースを運用・活用する上での注意点を解説します。
セキュリティ対策は必須
メタバースでは多くのユーザーが仮想空間でコミュニケーションを取りますが、この仮想空間はリアルワールドとは異なり、セキュリティの脆弱性があります。
ユーザーのプライバシーや個人情報が漏洩する可能性や、不正アクセスやサイバー攻撃に対する脆弱性が懸念点です。
総務省もメタバースにおける脅威の例として以下のものを挙げています。
- なりすまし
- 改ざん
- 否認
- 情報漏洩
- サービス拒否
- 権限昇格
引用:総務省-メタバースにおけるサイバーセキュリティの検討について
そのため、メタバースプラットフォームのセキュリティ対策が重要であり、ユーザーが安全に参加できる環境を確保する必要があります。
法整備が追いついていないことには留意
現時点では、メタバースに関する具体的な法規制が不十分です。そのため、メタバースビジネスへの参入に際して、事業者は「取引の観点」と「権利保護の観点」から法的課題を検討する必要があります。
- 仮想空間におけるデザイン等保護、仮想オブジェクトの取引の適正確保
- アバターの肖像等の取扱い
- ユーザー間における問題事案(迷惑行為等) への対応・ルール形成の在り方
とくに、上記のような法的課題があります。どのような法規制がメタバース上で適用できるのかが問題です。
現状、総務省がメタバースによる新たな法的課題編も対応を兼用している段階です。
“コンテンツ等をめぐりメタバース等がもたらす新たな法的課題等に対応するよう、有識者等による検討の場を設置し、課題把握や論点整理を行うとともに、関係省庁・民間事業者が一体となって、ソフトローによる対応も含め、必要なルール整備について検討する。”
引用:総務省-「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題等に関する論点の整理(案)」について
まとめ
本記事では、ビジネスにおけるメタバースの運用・活用方法について解説しました。
現在、メタバースビジネス市場は急速に成長しており、新たな参入機会が広がっています。積極的な参加を通じて、メタバースビジネスの波に乗るチャンスです。
メタバースをビジネスで運用・活用すると、新しいビジネスチャンスの創出などさまざまなメリットがあります。
しかし、多くのメリットがある反面、コストがかかることや、健康上のリスクなど、デメリットがあるのにも注意が必要です。
メタバースtipsを運営しているリプロネクストでは、法人・自治体向けメタバースについて企画・プラットフォーム選びから開発までを一貫してのサポートが可能です。
もしもメタバースについて、導入の検討や、疑問点などあればぜひ、お気軽にご相談ください。貴社の要望に応える的確なアドバイスが期待できます。
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