- 2024/09/26
【自治体×DX】活用事例10選|メタバースを活用するメリットを解説
近年、行政サービスの質向上や業務効率化を目的とした、自治体のDX推進が求められています。 その有効な手段として注目されているのが、仮想空間である「メタバース」の活用です。
本記事では、自治体におけるDX推進の重要性と、メタバース活用のメリット、具体的な事例を紹介します。
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目次
DXとは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、IT技術を活用して、人々の生活をより良いものへと変革することです。単なる業務のデジタル化だけでなく、組織やビジネスモデル、文化までも変革し、新たな価値を創造することを目指します。
デジタル化との違い
デジタル化とDX化の違いは、目的の違いにあります。
デジタル化が目指すのは「業務の効率化」。例えば、紙の書類をデータ化することで、ファイル検索の手間を省いたり、情報共有をスムーズにしたりできます。その結果、業務効率が向上し、時間やコストの削減につながります。
一方、DXは「競争力を高めること」を目的としています。書類のデータ化(デジタル化)に加えて、承認プロセスを電子化したり、データ連携システムを導入したりすることで、単なる業務効率化を超えた効果を生み出します。例えば、社員はより創造的な業務に集中できるようになり、企業全体の生産性向上、さらには他社との差別化、つまり競争力強化を実現できます。
自治体DX推進の目的
自治体DX推進の主な目的は、行政サービスの質の向上と業務効率化です。具体的には以下の点が挙げられます。
- 住民サービスの利便性向上
- 業務プロセスの効率化
- データ活用による政策立案の高度化
- 地域課題の解決
- 職員の働き方改革
- 持続可能な行政運営の実現
これらの目的を達成することで、住民満足度の向上と行政コストの削減を同時に実現することが期待されています。
自治体がDX推進を取り組むメリット
自治体がDX推進に取り組むことで、得られる代表的なメリットを紹介します。
業務効率化を図れる
自治体DX推進の主要なメリットは業務効率化です。オンライン手続きの導入により、市民の来庁が不要となり、窓口業務が削減されます。また、手続き情報のデータ化で役所内の情報共有がスムーズになり、業務効率が向上します。
さらに、業務の自動化により、申請書の受付や処理が自動化され、手作業が大幅に減少します。これらの取り組みは、単に効率化だけでなく、職員の意識改革やスキルアップにもつながります。
地域社会全体のDXが発展する
地方自治体のDX推進は、行政サービスのデジタル化を通じて住民のデジタルリテラシーを高め、地元企業や産業のDX導入を促進します。情報の透明性向上により行政への信頼も深まります。
データ漏えいのリスクを減らせる
紙媒体の個人情報をデジタル化することで、行政手続きのオンライン化による利便性向上と、個人情報漏れリスクの軽減という両面でのメリットが期待できます。申請のオンライン化は、紛失や誤配送のリスクを減らし、市民の負担軽減につながります。
自治体がDX推進に活用できるメタバースとは
メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間のことです。アバターを操作して、他のユーザーとコミュニケーションを取ったり、イベントに参加したりできます。近年では、どこからでもコミュニケーションがリアルタイムで取れることから、自治体での活用が進んでいます。
自治体のDX化につながるメタバース活用事例10選
自治体のDX化につながるメタバース活用事例を紹介します。実際に体験できる仮想空間もご紹介しますので、ぜひご自身で体感し、新たな活用アイデアの発想にお役立てください。
山梨県甲府市 メタバースを活用したひきこもり相談窓口
山梨県甲府市は、全国の自治体で初めて、ひきこもり相談の新たな取り組みとして、メタバース空間「甲府市メタバース心のよりどころ空間」を開設。
従来の電話や面会による相談に加え、メタバース空間を導入することで、より相談しやすい環境を提供しています。さらに、アバターを用いることで、プライバシーを守りながら気軽に相談できる点がメリットです。
詳細や空間の体験は、以下のリンクを参照ください。
静岡県 Metaverse SHIZUOKA
静岡県は、県民の声を県政に反映するため、メタバース空間「Metaverse SHIZUOKA」を構築。24時間利用可能な常設空間では、観光情報発信や意見交換会などを実施。広報・広聴活動のDX化を推進し、地理的制限を越えた県民参加と行政サービス向上を目指しています。
詳細や空間の体験は、以下のリンクを参照ください。
岩手県 「黄金の國、いわて。」のフードショー in メタバース
岩手県は、メタバース上に「黄金の國いわて。のフードショーinメタバース」を開催。全国の実需者と県内事業者との商談の場を創出し、販路拡大を支援しました。メタバース空間では、商談ブースや情報発信エリアを設け、移動コストや時間削減を実現。参加者からは「移動時間やコストが削減できた」「質の高い商談ができた」と好評を得ました。
詳細は以下のリンクを参照ください。
岩手県 「黄金の國、いわて。」のフードショー in メタバース
河内長野市 メタバース空間による記念式典開催
大阪府河内長野市は、府内で初めて市制施行70周年記念式典をメタバース空間「つながる河内長野メタバース」で開催。仮想空間には、建設予定のサッカースタジアムと公園をモデルとしたエリアが用意され、式典の様子や市民からのメッセージなどが公開されました。
3DCGデータやBIMモデルを活用したこの取り組みは、市民への情報発信を強化し、都市計画への参加を促すなど市のDX化推進の一環と言えるでしょう。
詳細や空間の体験は、以下のリンクを参照ください。
鳥取県 メタバース課の立ち上げ
出典:自治体初の「メタバース課」立ち上げ日本初のAIアバター職員採用も | DX.WITH
鳥取県はWeb3.0時代に対応するため、「メタバース課」を創設し、日本初の自治体オリジナルAIアバター職員「YAKAMIHIME」を採用。これにより、人口減少や高齢化といった課題に対し、新たな「メタバース関係人口」の創出を目指しています。
この取り組みは、DX化の一環として自治体がデジタル技術を活用し、新しい形での地域活性化を推進する事例です。
参考:メタバース課/とりネット/鳥取県公式サイト
埼玉県 自治体DX推進に向けた情報発信などに関する実証
埼玉県は、県庁通りを再現したメタバース空間で行政サービスに関する実証実験を開始しました。職員は、メタバース空間上に設置された観光案内やイベント情報、窓口業務案内などを体験し、技術的な課題や住民への効果を検証します。
この取り組みは、行政サービスのデジタル化を推進し、住民が時間や場所を問わず行政情報へアクセスできる環境を構築することで、さらなる住民サービスの向上と行政業務の効率化を目指します。
参考:埼玉県と自治体DX推進に向けたメタバース活用を実証
東京都江戸川区 メタバース区役所
江戸川区は「メタバース区役所」実現に向け、東京情報デザイン専門職大学と連携しプロジェクトを発足しました。区役所への来庁を不要とし、場所を選ばずに行政サービスを受けられる環境を目指したこのプロジェクト。区はこれまで、電子申請やオンライン相談などDX推進に取り組んできましたが、メタバースを活用することで、従来の行政サービスをさらに進化させています。
参考:江戸川区ホームページ「メタバース区役所」プロジェクト発足式
静岡県藤枝市 メタバース体験商談会
藤枝市は、地域産業のDX推進を目的として、メタバース空間「GAIA TOWN」を活用した体験商談会を開催しました。参加者はアバターで企業ブースを訪問し、音声会話で商談を行うことが可能に。従来の対面式商談の概念を超え、時間や距離の制約を感じさせない、臨場感があふれるビジネス交流を実現しました。
参考:藤枝市ホームページ
山梨県北杜市 メタバース婚活
出典:山梨県北杜市公式サイト
山梨県北杜市は、人口減少対策としてメタバースを活用した婚活イベントを開催し、成果をあげています。仮想空間という特性上、参加者は外見にとらわれず内面にフォーカスできるため、マッチング率は7割と高く、リアル婚活よりも若い世代が多く参加しました。
参考:山梨県北杜市公式サイト
大日本印刷株式会社 メタバース役所
大日本印刷株式会社(DNP)は、全国の自治体向けに、共同利用可能な「メタバース役所」の提供を開始しました。地方自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援し、利便性向上と地域活性化に寄与することを目指しています。
出典:大日本印刷株式会社 公式サイト
DX化をメタバースで進める上での課題
メタバースを活用したDX推進には、いくつかの重要な課題があります。課題を慎重に検討し、具体的な試作を重ねることで、目的に適した効果的なメタバース空間を構築できるでしょう。以下で主な課題を解説します。
運用方法
メタバース空間の構築・運営には、専門的な知識や技術が必要です。3Dモデリング、プログラミング、ネットワーク管理など、多岐にわたるスキルが必要です。また、コンテンツの定期的な更新や、ユーザーサポート体制の整備も重要な運用課題です。これらに対応するため、専門チームの編成や外部パートナーとの連携が必要です。
セキュリティ対策
仮想空間であるメタバースにおいて、セキュリティ対策は非常に重要です。仮想通貨やNFTなどのデジタル資産を扱う場合は、高度なセキュリティ対策が必要です。また、定期的なセキュリティ監査や、最新の脅威に対応したアップデートを行うことが不可欠です。
メタバースの活用のしやすさ
利用者にとって、メタバースへのアクセス手段や操作方法が直感的で分かりやすく、利用しやすい環境である必要があります。目的に合わせて、VRヘッドセットやハイスペックPCが必要なく、スマートフォンやタブレットからも気軽にアクセスできるようなプラットフォーム選択が重要です。また、年齢や技術的スキルに関わらず、誰もが快適に利用できるような仕組みづくりや、操作説明も考慮すべきポイントです。
メタバース空間を制作するために必要なこと
メタバース空間制作には、目的の明確化が重要です。その上で目標達成に効果的な空間設計、3DCG技術を用いた開発、セキュリティ対策を考える必要があります。さらに、メタバース空間を作って終わりにならないよう、制作後の運用方法も具体的に計画することが大切です。
より詳しく知りたい方は、以下の記事を参考ください。
まとめ
この記事では、自治体におけるDX推進の重要性と、その有効な手段として注目されるメタバース活用について解説しました。
メタバースは、業務効率化、地域社会全体のDX発展、データ漏えいリスクの軽減など、自治体DXには多くのメリットがあります。近年、その実現手段としてメタバースが注目され、多くの自治体が先進的な取り組みを始めています。
地方自治体がメタバースを活用するメリットについて詳細を知りたい方は、以下の記事も参照ください。
地方自治体がメタバースを活用するメリットとは?導入事例10選をご紹介
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