- 2024/08/02
- 2024/08/22
メタバースとリアルを組み合わせた取り組みとは?事例やメリット・注意点、費用相場などについて解説
近年、メタバースの技術革新が進み、バーチャルだけでなくリアルと組みわせるケースが増えてきました。両者と組み合わせることにより、新たな取り組みが行えるようになります。
しかし、具体的にどのようなメリットがあり、どう取り組んだらよいのかがイメージできない方も多いでしょう。
ここでは、メタバースとリアルを組み合わせた取り組みがどのようなものなのか、事例やメリット・注意点、費用相場などについて解説します。
目次
メタバースとリアルを組みわせた取り組みとは
メタバースとリアルを組み合わせた取り組みは「リアルメタバース」とも呼ばれており、現実の体験をより充実させることを目指したメタバースのビジョンです。現実世界と仮想世界が融合した空間を指します。具体的には、オンラインの仮想空間で現実世界のような体験やコミュニケーションが可能になる仕組みを意味するケースが多いです。
メタバースとリアルを組み合わせた取り組みの事例9選
メタバースとリアルを組合わせた取り組みとは、具体的にはどのようなものを指すのでしょうか。ここでは、メタバースとリアルを組み合わせた取り組み事例を9つご紹介します。
大阪府河内長野市/つながる河内長野メタバース
大阪府河内長野市は、市制施行70周年を記念して、大阪府内初のメタバース空間での記念式典を開催しました。新しく建設されるサッカースタジアム一体型の公園をモデルにしたメタバース空間は、市長や市議会議長の挨拶、来賓祝辞、市の70年の歩みの写真展示などが行われました。
また、市民からのメッセージや市ブランディング動画、市内情報の紹介など、市民参画型のコンテンツが盛りだくさんで、子どもから大人まで楽しむことができる遊び要素も盛り込まれています。
河内長野市の取り組みの詳細は、以下でご確認いただけます。
大阪府内初!河内長野市、市制施行70年記念式典をメタバース空間で令和6年4月1日~30日開催
岩手県/「黄金の國、いわて。」のフードショー in メタバース
岩手県は、全国初のメタバースを活用した食の交流会・商談会「黄金の國いわて。のフードショーinメタバース」を開催しました。本イベントでは、岩手県内の生産者や加工業者が出展し、全国のバイヤーやシェフに向けて地元の食材を紹介。
また、新規就農志向者との交流も行われました。メタバースの利点を活かし、移動コストが不要なほか、現実に近いコミュニケーションが可能なことから、情報を素早く正確に受け取れました。参加者からは、物理的な移動がなく綺麗な空間で情報収集ができたことなど、ポジティブなフィードバックが寄せられており、新たな販路拡大モデルの構築に寄与しました。
岩手県の取り組みについては、以下でご確認ください。
静岡県/Metaverse SHIZUOKA
静岡県は、広報・公聴活動に活用するメタバース空間「Metaverse SHIZUOKA」を構築しました。静岡県を丸ごとスキャンした3次元点群データを活用して精細な町並みを再現したもので、一部は24時間利用可能な常設空間です。
この空間は、意見交換会やタウンミーティング、知事広聴などの広聴活動、観光や移住促進などの広報活動に活用される予定です。また、市民参画型のコンテンツや遊び要素も盛り込まれており、多くの人々が参加できるようになっています。
静岡県の取り組みの詳細は、以下でご確認ください。
山梨県甲府市/甲府市メタバース 心のよりどころ空間
山梨県甲府市は全国初となるメタバースを活用したひきこもり相談窓口「甲府市メタバース 心のよりどころ空間」を開設しました。この空間は、パソコンやスマホから簡単にアクセス可能で、リラックスして話せる柔らかな雰囲気を持っています。
また、誰でもアクセス可能な「心のよりどころ空間」と、完全予約制の「森の相談ルーム」の2つの空間があり、プライバシーを確保しながら気軽さと機密性を両立している点も特徴です。これにより、ひきこもり状態にある人々が気軽に相談できる場が提供されています。
甲府市の取り組みについては、以下で詳細をご確認いただけます。
山梨県甲府市 様【全国初!メタバースを活用したひきこもり相談窓口】
東京都/Virtual Edo-Tokyoプロジェクト
東京都は「持続可能な新しい価値」を生み出す「Sustainable High City Tech Tokyo = SusHi Tech Tokyo」を推進する取り組みの一環として「Virtual Edo-Tokyoプロジェクト」を開催しました。
本プロジェクトでは、メタバースを活用して東京の多彩な魅力を国内外に発信。具体的には、江戸のシンボルである江戸城の散策体験など、東京・江戸の多彩な文化・産業の魅力をさまざまなコンテンツとして発信しています。
清水建設/メタバースにおける建物の完了検査
清水建設は、メタバース空間に施工中の建物を再現し、遠隔地からの建物の諸検査を実現するシステムを開発しました。このシステムは、メタバースとその整合性を確認できるチェックツール「XRチェッカー」によって構築されています。遠隔地にいながら建物の諸検査を実施でき、建築生産の効率化を実現することが可能です。
資生堂/VIRTUAL MAKEUP
資生堂は「VIRTUAL MAKEUP」というメイクシミュレーションを提供しています。スマホで手軽に、リップ、アイシャドウ、アイブロウ、チークなどのアイテムを自在に組み合わせることが可能になるメイクシミュレーションです。ユーザーは自分の顔でリアルなメイクアップ体験ができます。
大阪府八尾市/不登校の子どもたちの居場所づくり
大阪府八尾市では、メタバースを活用して不登校の子どもたちの居場所づくりを行っています。本取り組みでは、メタバース空間を活用して、学習支援やコミュニケーションを重視した居場所づくりを行っているのが特徴です。
この取り組みを通じて、子どもたちが自分を取り戻し、明日への糧を得られる居場所を作ることが大切であることを訴求しています。
長野県茅野市/メタバース婚
長野県茅野市では、メタバースを活用した婚活パーティーを開催しています。インターネット上に作られた仮想空間で、アバターを介して出会う新しい形式の婚活です。
参加者はアバターを自分のパソコンから操作し、アイスブレイクのゲームや異性との1対1のトークタイムで交流します。このような新しい形態の婚活を通じて、自然体でいられる素敵な出会いを提供する点が特徴です。
メタバースとリアルを組み合わせることで得られるメリット
メタバースとリアルを組み合わせることで得られるメリットは、以下のとおりです。
- ビジネス機会の創出
- オンラインでのコミュニケーション
- 非現実な体験の提供
以下で、それぞれの内容を解説します。
ビジネス機会の創出
メタバースとリアルの組み合わせは、新たなビジネス機会を創出します。現実世界の制約を超えて、仮想空間で新しい商品やサービスを提供することが可能です。その結果、新しいビジネスモデルが生まれ、既存のビジネスも進化するでしょう。
例えば、仮想空間での不動産取引や、仮想商品の販売、仮想空間でのイベント開催などが可能となります。これらは、現実世界では難しいかもしれませんが、メタバースでは実現が可能です。これにより、新たなビジネスチャンスが広がります。
オンラインでのコミュニケーション
メタバースとリアルの組み合わせは、オンラインコミュニケーションの質を向上させます。メタバースを活用することで、遠隔地の人とコミュニケーションができるようになるため、世界中にサービスを提供できるようになるのは大きなメリットです。
物理的な距離の制約がなくなるため、遠隔地にいる人々とのコミュニケーションができるだけでなく、新たなコミュニケーションの形を生み出す可能性もあります。
非現実な体験の提供
メタバースとリアルの融合により、現実では不可能な体験が実現します。例えば、宇宙空間を自由に飛び回る体験や、過去の時代にタイムスリップする体験などが可能です。
新たなエンターテイメントの形が生まれ、人々の生活を豊かにする可能性があります。これらの体験は、現実世界の制約を超えて、人々に新たな体験を提供できるようになり、人々の生活はより豊かで楽しいものになるでしょう。
メタバースとリアルを組み合わせるときの注意点
メタバースとリアルを組み合わせる場合には、いくつかの点に注意しなくてはなりません。ここでは、3つの注意点をご紹介します。
法律やルールの整備
メタバース上での取引やコミュニケーションは、現実世界と同じように法的なルールの整備が必要です。メタバース内での行動が、現実世界の法律に抵触しないようにするためです。
また、メタバース内での不正行為を防ぐためにも、適切なルールを整備しなくてはなりません。具体的には、プライバシー保護や知的財産権の保護など、さまざまな観点に留意する必要があります。
ハッキングのリスク
メタバース内では、仮想通貨を用いた取引が行われています。そのため、メタバース内で経済活動を行う際には、ウォレットが必要不可欠です。
ただし、ウォレットにはハッキングのリスクがあります。また、メタバースのプラットフォーム自体にも、ユーザーのデータを保護するためのセキュリティ対策を講じなくてはなりません。
VRデバイスの普及
メタバースをよりリアルに体験するためには、VR機器の利用が必要です。しかし現在では、すべての人がVR機器を持っているわけではありません。そのため、VR機器の普及はメタバースの発展にとって重要な課題だといえます。
具体的な施策としては、VR機器の価格の低下や、使いやすさの向上などが求められます。また、長時間の使用による健康への影響など、VR機器の使用に関する懸念も解消しなくてはなりません。
メタバースを開発する方法と費用相場
実際にメタバースを開発するためには、どうすればよいのでしょうか。また、費用も気になるところだと思います。ここでは、メタバースを開発する方法と費用相場をご紹介します。
メタバースの開発方法
メタバースの開発は一般的なソフトウェア開発と同じように、要件定義、設計、プログラミング、テスト、リリースという流れで進行することが一般的です。以下で、各作業について説明します。
メタバースを設計する
メタバースの設計では、バーチャル空間(ワールド)、オブジェクト(プロップ)、エージェント(アバター)という3つの基本要素を考慮しなくてはなりません。これらの要素は、メタバースの体験を形成する基礎となります。
開発目的によって、これら3要素のうち、どれを重視すべきかが異なります。例えば、ゲーム開発では、アバターの動きやプロップのインタラクションを重視する傾向があります。一方、教育用のメタバースでは、ワールドの設計やプロップの配置に重点を置く可能性が高いでしょう。
3Dアセットを制作する
3Dアセットの制作は、メタバースの視覚的な要素を作り出す重要なステップです。BlenderなどのDCCツールを使用して、空間自体や空間内に配置する素材、アバターなどを作成します。これらのアセットは、メタバースの見た目と感じを決定する重要な要素です。高品質な3Dアセットは、ユーザーに魅力的な体験を提供します。
コンポーネントを開発してアタッチする
コンポーネントの開発とアタッチは、メタバースを動的でインタラクティブにするためのステップです。Unityなどのゲームエンジンを使用して、作成した素材を配置し、アバターの動作設定などを行います。
ユーザーはメタバース内で移動したり、オブジェクトと対話したり、他のユーザーとコミュニケーションを取ったりすることが可能です。
テスト&リリース
空間が形になったら、プラットフォームごとの設定を行い、テストを実施した後、公開します。テストの内容はバグの特定と修正、パフォーマンスの最適化、ユーザビリティの改善など、メタバースの品質を確保するために不可欠です。
リリースは、メタバースをユーザーに公開するプロセスで、これにはマーケティングとプロモーションの戦略も含まれます。
メタバースの作り方については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
メタバースはどうやって作る?制作・開発の流れや必要スキルを紹介
メタバース開発の費用相場
メタバースの開発費用については、メタバースの開発規模や複雑さによって異なりますが、一般的には100万円から1,000万円超となることが多いです。また、完全に独自のメタバース環境をゼロから開発する場合、その費用は数千万円を超えることもあります。
しかし、既存のメタバースプラットフォームを活用することで、コストを抑えることも可能です。
メタバース開発の詳しい費用については、以下も併せてご確認ください。
メタバースの導入に必要な費用は?メタバースを導入している企業も紹介
まとめ
メタバースとリアルを組み合わせたリアルメタバースは、現実と仮想世界を融合し、さまざまな新たな取り組みを実現しています。例えば、大阪府河内長野市の市制施行70周年記念式典や、岩手県のメタバースフードショーなど、各地でユニークな活用事例が見られます。
ビジネス機会の創出やオンラインコミュニケーションの向上、非現実的な体験の提供が可能です。ただし、法的ルールの整備やハッキングリスク、VRデバイスの普及などの注意点もあります。開発費用は規模によって異なりますが、一般的には100万円から1,000万円超です。
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