- 2024/09/20
地方が抱える問題の解決方法とは?メタバースを活用した自治体の事例を紹介!
地方では、人口減少や高齢化、地域経済の衰退など、深刻な問題を抱えています。これらの課題解決のために、近年注目を集めているのがメタバースです。
メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間のこと。従来のインターネットよりも、よりリアルな体験が可能になるため、地方の魅力発信や地域活性化に役立つと期待されています。
この記事では、地方自治体が抱える課題と、メタバースを活用した具体的な事例、メタバース空間を作る上でのポイントなどを解説します。メタバースの導入を検討している自治体担当者様は、ぜひ参考にしてください。
メタバースtips編集部です。メタバースをビジネスで活用したい人向けの記事を月間20本制作中。メタバースに関わる情報やトレンドを発信しています。
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目次
地方自治体が抱えている主な課題4選
地方自治体が抱えている主な課題として、以下の4つが挙げられます。
- 1.人口減少
- 2.少子高齢化
- 3.地域経済の衰退
- 4.労働力不足
1.人口減少
総務省統計局の調査によると、2023年(令和5年)10月1日時点の総人口は1億2435万2千人です。都道府県別の人口の、トップ3とワースト3は以下の通りです。
順位 | 都道府県 | 人口(千人) | 全国に占める割合(%) |
1位 | 東京都 | 14,086 | 11.3 |
2位 | 神奈川県 | 9,229 | 7.4 |
3位 | 大阪府 | 8,763 | 7.0 |
中略 | |||
4位 | 高知県 | 666 | 0.5 |
5位 | 島根県 | 650 | 0.5 |
6位 | 鳥取県 | 537 | 0.4 |
以上のことから、全国に占める人口の割合は、東京都だけで11.3%。都市圏(東京都・神奈川県・大阪府)を合わせると25%以上も占めており、都市圏と地方の人口には大きな差が生まれていることが分かります。
この差が拡大すると、地域から生活関連サービス(医療機関、小売、飲食など)の撤退が進み、生活に必要な商品やサービスなどの入手が困難になるなど、日々の生活が不便になる可能性があります。さらに、サービス産業が撤退することで、雇用機会が減少し、さらなる人口減少を招く可能性があります。
参考:国土交通省 第2節 人口減少が地方のまち・生活に与える影響
2.少子高齢化
人口減少に伴い、少子高齢化も問題になっています。
総務省統計局の調査によると、46都道府県で15歳未満人口の割合が75歳以上人口の割合を下回っており、今後も高齢化の割合は増えると予想されています。地方だけでなく、全国で少子高齢化が進んでいることが分かります。
参考:総務省統計局 人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)
3.地域経済の衰退
「地域経済の衰退」とは、地方都市や田舎地域で企業倒産や雇用機会の減少、人口減少、高齢化などが進行する現象です。特に若者の都市部への流出や、農業・林業の衰退が深刻な問題となっています。経済の縮小は税収減や雇用機会の減少を招き、悪循環に陥っていることが懸念されます。
4.労働力不足
少子高齢化は労働力不足を招き、企業活動に大きな影響を与えています。働き手の不足から事業の継続が困難になる企業もあり、地方では撤退を余儀なくされるケースも増加しています。一方、仕事を求める若年層は、より多くの雇用機会を求めて都市圏へと流出する傾向が強まっており、より労働力不足が加速しています。
地方だからこそ活用しやすい、今注目のメタバースとは?
メタバースは、インターネット上の3D仮想空間で、アバターを通して人々と交流し、さまざまな活動ができます。物理的な距離を越え、場所に縛られないため、地方との相性が良いことから注目されています。例えば、都市部との交流促進や場所を選ばない働き方、地方の魅力発信など、従来の制約を超えた可能性を秘めています。
メタバースを地方の課題解決に活用するメリット・デメリット
ここでは、メタバースを地方の課題解決に活用するメリットとデメリットについて解説します。
メタバースを地方の課題解決に活用するメリット7選
地方自治体がメタバースを活用するメリットについてより詳細を知りたい方は、以下の記事を参照ください。
地方自治体がメタバースを活用するメリットとは?導入事例10選をご紹介
1.物理的制約がない
メタバース上では、距離や時間に関係なく、世界中の人々が集まり、交流できます。これは、地方都市における大きなメリットと言えるでしょう。
例えば、都市部へのアクセスが限られている地域でも、メタバースを通じて都市部の企業とビジネスチャンスを創出したり、都市部の学生と交流したりすることが可能です。また、海外からの観光客誘致やインバウンド需要の取り込みにも期待が持てます。
2.コミュニケーションのハードルが低くなる
アバターを使用することで、現実世界では緊張してしまう場面でも、気軽にコミュニケーションが取りやすくなります。これは、対人コミュニケーションに苦手意識を持つ人や、新たな人間関係を築くことにハードルを感じる人にとって、大きなメリットと言えるでしょう。メタバース上では、年齢、性別、外見にとらわれず、自分の個性や考えを自由に表現できます。
3.コストを削減できる
会議やイベントなどをメタバース上で開催することで、移動費や会場費などのコストを削減できます。これは、財政状況が厳しい地方自治体や企業にとって大きなメリットです。また、参加者にとっても、移動時間や宿泊費の負担を軽減できるという利点があります。
4.観光地の魅力発信、来訪促進になる
メタバース上で観光地を再現することで、実際に行くことが難しい人にも、その魅力を効果的に伝えられます。
例えば、写真や動画と違い、メタバースは体現型のため、ユーザーは仮想空間上に再現された観光地を自由に散策したり、他のユーザーと旅の情報を共有したり、お土産を購入したりできます。高齢者や身体障害者など移動に制限のある人でも、メタバース上であれば現地の雰囲気を味わうことも可能です。また、メタバース上で観光体験を提供することで、新たな観光客の獲得にもつながります。
5.文化財保存に活用できる
貴重な文化財をデジタルデータとして保存し、メタバース上で公開することで、文化財を守りながら多くの人に鑑賞してもらうことができます。これは、文化財保護の観点からも重要な取り組みです。
また、メタバースを活用した場合、現実世界では立ち入り禁止の場所や不可能な視点から文化財を鑑賞したり、解説を受けたりすることも可能です。
6.採用活動に活用できる
メタバース上で会社説明会や面接を実施することで、都市圏や、遠方に住む求職者との接点を増やし、優秀な人材を獲得する可能性を広げられます。
求職者にとっても、交通費や宿泊費をかけずに、多くの企業の情報を得られるというメリットがあります。
7.診療や相談の空間として活用できる
病院に行かなくても、メタバース上で医師の診察やカウンセリングを受けられるため、医療機関へのアクセスが難しい地域に住む人にとっても便利です。
また、精神的な問題を抱える人にとっても、匿名性が高いメタバース上であれば、より相談しやすいというメリットがあります。実際に山梨県甲府市では、メタバースによるひきこもり相談窓口を開設しています。
詳細や、空間の体験は以下のリンクを参照ください。
メタバースを地方の課題解決に活用した際に考えられるデメリット3選
メタバースの活用には多くの可能性がある一方で、いくつかの課題も存在します。特に地方での活用を考える際には、これらのデメリットを十分に理解することで、メタバースの効果的な活用が可能になるでしょう。
作っただけでは課題解決につながらない
メタバース空間を構築しても、それだけでは地方の課題解決にはつながりません。まるで無人島に立派な家を建てても誰も住まないのと同じように、利用者を増やすための戦略が不可欠です。
具体的には、メタバース空間の存在を広く知ってもらうための広報活動や、利用者をひきつける魅力的なコンテンツ作り、継続的な利用を促すイベント企画などが必要です。地方の魅力を効果的に発信し、ユーザーの心をつかむための工夫が求められます。
メタバースの操作を覚える必要がある
年齢や経験を問わず、誰もがメタバース空間を快適に利用できるよう、分かりやすい操作説明やサポート体制の整備が求められます。また、スマートフォンやタブレットでも利用できるプラットフォームを選ぶなど、目的に適したプラットフォームを検討する必要があります。
以下の画像のように、メタバースに入ってすぐ操作説明が見られるようにすると、ユーザーもスムーズに操作できるようになるでしょう。
画像のメタバース空間の詳細はこちら
イベント運営の難易度が高い
メタバース空間でのイベント運営は、現実世界のイベント以上に綿密な計画と準備、そしてメタバースイベントの運営ノウハウが必要です。
例えば、多数のアバターが同時にアクセスすることによるサーバー負荷への対策、トラブル発生時の対応、ユーザー間のコミュニケーションを円滑にするためのモデレーター配置など、考慮すべき点は多くあります。リアルのイベント以上に、事前に想定外の事態も想定し、対応策を検討しておくことが重要です。
地方自治体のメタバース活用事例10選
ここでは、実際に地方自治体がメタバースを活用している事例を10個紹介します。
【静岡県】広報・公聴活動の新たな拠点
静岡県は、県民の声を県政に反映するため、メタバース空間「Metaverse SHIZUOKA」を構築しました。3次元点群データで県内を再現し、意見交換会や広報活動に活用します。24時間利用が可能な常設空間で、富士山頂や伊豆の龍宮窟など、普段ならばいくことが困難な場所も体験できます。今後は、タウンミーティングや知事広聴など、さまざまな広報・公聴活動での活用が行われる予定です。
詳細や、空間の体験は以下のリンクを参照ください。
【岩手県】食に関する商談会・交流会イベント
岩手県は、2023年9月19日に、販路拡大のため、全国初のメタバース上での食の商談会「黄金の國いわて。のフードショーinメタバース」を開催しました。移動コスト削減や円滑な情報伝達といったメリットを活かし、県内生産者と全国のバイヤー・シェフをつなげました。
詳細は以下のリンクを参照ください。
岩手県 「黄金の國、いわて。」のフードショー in メタバース
【山梨県甲府市】ひきこもりの方の相談所・イベント会場
山梨県甲府市が全国初のメタバースを活用したひきこもり相談窓口を開設しました。ひきこもり支援の課題解決のため、アバターを通じて気軽に相談できる環境を整備。「心のよりどころ空間」と「森の相談ルーム」の2つの空間を用意し、誰でもアクセス可能な情報提供エリアと、完全予約制の個別相談エリアを設けています。プライバシーに配慮し、相談のハードルを下げることを目指しています。
詳細や、空間の体験は以下のリンクを参照ください。
【大阪府河内長野市】市制施行70年記念式典を開催
大阪府河内長野市は、市制施行70周年記念式典を、大阪府初の試みとしてメタバース空間「つながる河内長野メタバース」で開催。新設されるサッカースタジアムと公園をモデルに、市民参加型のコンテンツを多数用意。スタジアム空間では式典の様子を、にぎわい広場ではフォトメッセージや動画、バーチャルツアーなどを楽しめます。遊び要素も満載で、市民が楽しみながら市への愛着を深められる空間です。
詳細や、空間の体験は以下のリンクを参照ください。
【鳥取県】バーチャル鳥取
鳥取県は、若者移住促進と県情報発信のため、メタバース空間「バーチャルとっとり」を、2024年3月29日にオープンしました。アバターで交流し、移住相談や就職情報を得たり、鳥取の暮らしや観光情報に触れることができます。オープンに先駆け、バーチャル同窓会や婚活イベントも開催され好評を博しました。メインスペース、イベントスペース、相談ルーム、コミュニティルームなどがあり、多様な用途で利用可能です。
【沖縄×あしびかんぱにー】沖縄の観光名所を体験
沖縄発のメタバース「バーチャル沖縄」は、沖縄観光を盛り上げるため、商店街などを再現した仮想空間です。PCやVRヘッドセットから参加でき、三線ライブや沖縄版ラジオ体操、世界遺産散策など沖縄の魅力を体験できます。人気のお店とコラボしており、公式オンラインショップで商品の購入も可能です。
【養父市×吉本興業】日本一栄えた鉱山の坑道跡を見学
兵庫県養父市は、吉本興業と連携し、メタバース空間「バーチャルやぶ」をオープンしました。
観光資源である明延鉱山の坑道跡の見学や、吉本興業所属タレントとコラボしたゲーム、一円電車による観光名所巡りが楽しめます。
今後は「バーチャルやぶ」を通じて、仮想空間と現実世界を結ぶイベントなどを実施予定です。
【志摩スペイン村×Roblox】リゾート施設を再現!
三重県にあるテーマパーク「志摩スペイン村」のテーマパーク「パルケエスパーニャ」の一部がメタバース上で公開されました。3DCGで再現された園内を舞台に、スペインの「牛追い祭り」「トマト祭り」をテーマにしたサバイバルゲーム「Running of the Bulls」が開催されました。
【佐賀県嬉野市】温泉駅や観光地を高精細なグラフィックで再現
嬉野市は、魅力をより多くの人に伝えるため、仮想空間「デジタルモール嬉野」をオープンしました。自分のアバターで散策しながら、360度カメラによる臨場感あふれる観光体験ができます。
効果を出すメタバース空間を作るポイント
メタバース空間を効果的に制作するには、目的と活用方法を明確にすることが重要です。ただ単に訪問者を増やすのではなく、利用者に起こしてほしい行動を具体的に定めることで、より目的に合ったメタバース空間を構築できます。
目的や想定人数を踏まえ、以下の要素を考慮して空間設計を行いましょう。
- 空間の広さ:想定人数や利用シーンに合った広さを設定します。
- 同時接続人数:どれだけのユーザーが同時にアクセスできるかを検討します。
- 世界観(デザイン)の雰囲気:目的やターゲットに合致したデザインを採用します。
- 目標達成に必要な機能::コミュニケーションスペースや、資料を映し出すフレームなど、必要な機能を盛り込みます。
- 配置するもの: 3DCGオブジェクト、背景など、世界観を構築する要素を配置します。
ただし、作り込みが進むほどコストと必要なPCスペックは高くなる傾向があります。「必須要素」と「追加要素」を明確に分けておくことで、スムーズな制作工程を実現できます。
メタバースプラットフォームの特徴と選ぶポイント
メタバース空間を構築するには、プラットフォーム選びも重要です。ここでは、代表的なプラットフォームの特徴を紹介します。より詳しく知りたい方は、以下の記事を参照ください。
メタバースのプラットフォームを提供する国内・外企業14選!選ぶときのポイントも紹介
DOOR™
出典:Door NTT XR
株式会社NTTコノキューが展開するメタバースプラットフォーム「DOOR」は、ユーザーにとって手軽さが魅力の一つです。このプラットフォームは、アプリのインストールや新規ユーザー登録を一切必要とせず、ブラウザから簡単にアクセスできる設計になっているため、メタバース初心者でもスムーズに体験できます。その利便性から、現在では教育機関や地方自治体での利用が急速に拡大しています。
詳細については、以下の記事をご覧ください。
NTTの「DOOR™」とは?ビジネスの活用法や操作方法を紹介
参考:Door NTT XR公式サイトはこちら
VRchat
2014年にアメリカで設立された「VRChat Inc.」が提供する「VRChat」は、独自のソーシャルVRプラットフォームとして高い評価を得ています。このサービスは海外発のため、基本的に英語表記ですが、従来型のSNSのように、仮想空間内で世界中のユーザーと手軽にコミュニケーションを楽しむことができます。また、高品質な空間のデザインから得られる没入感や大規模なイベントの開催に適している点も魅力です。
詳細については、以下の記事をご参照ください。
VRChatとは?基礎知識&できることや企業の活用事例を紹介
参考:VRChat公式サイトはこちら
Cluster
クラスター株式会社が提供する「Cluster」は、日本最大級のメタバースプラットフォームと称されています。このプラットフォームは、100万回以上の総ダウンロード数と約800万人のユーザーを誇り、ディズニーやポケモンなどの著名な企業とのコラボレーションを展開しています。
Clusterにはボイスチャットやメッセージ、エモートといった多彩なコミュニケーション機能が備わっており、ユーザーが積極的にコミュニケーションを図ったり、リアクションを求めるイベントに適しています。
詳細については、以下の記事をご覧ください。
メタバース「cluster(クラスター)」とは?できることやビジネス活用事例5選を紹介
参考:Cluster公式サイトはこちら
Spatial
アメリカのスタートアップ企業によるメタバースプラットフォーム「Spatial」は、リアリティのある空間やアバターで注目を集めています。海外サービスのため、すべて英語表記で提供されていますが、現実に近いメタバース体験を追求したいユーザーには理想的です。詳細については、以下のリンクを参照してください。
バーチャル空間「Spatial(スペーシャル)」とは?基礎知識やビジネス活用事例を紹介
参考:Spatial公式サイトはこちら
まとめ
今回は、地方が抱える人口減少、地域経済の衰退、労働力不足といった課題に対し、メタバースがどのように解決策となりうるかを解説しました。メタバース空間は物理的な制約を越え、地域の魅力を効果的に発信できます。
メタバースを制作する上で重要なことは、利用者にとって魅力的な空間にすること、そして継続的に活用していくための工夫をすることです。
メタバースtipsを運営しているリプロネクストでは、法人・自治体向けメタバースについて企画・プラットフォーム選びから開発までを一貫してサポートしています。「地方の問題解決の方法が知りたい」とお考えの方は、事例もご紹介できますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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