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メタバースの基礎知識

  • 2023/09/12
  • 2024/04/11

3D都市モデルとは?特徴や活用方法を紹介

2020年のPLATEAU(プラトー)の発足により、企業や地方自治体で活用が広がっているのが「3D都市モデル」です。

これまでは不可能だった建物への詳細なデータの付加ができるほか、さまざまな用途での使用ができるなど、幅広い活用が可能です。

当記事では、3D都市モデルの特徴や活用方法、事例をご紹介します。「3D都市モデルとはどのようなものなの?」と疑問に感じている方は、ぜひ本記事をご覧ください。

目次

1.3D都市モデルとは

3D都市モデルイメージ

引用:PLATEAU

3D都市モデルとは、現実世界にある建築物や道路、土木構造物といったオブジェクトを、デジタル空間上に再現できる地理空間プラットフォームです。再現された建築物等には名称や用途、高さなどの情報が含まれています。そのため、防災計画の立案や街づくりのシミュレーションといった用途に活用可能です。

2.3D都市モデルの特徴

3D都市モデルには、以下のような特徴があります。平面状の地図ではできないことが3D都市モデルで実現できるため、利用を検討している方は参考にしてください。

2-1. 地図上に具体的な情報を掲載できる

3D都市モデルは「ジオメトリとセマンティクスの統合モデル」とも言われています。

ジオメトリとは「幾何」や「形状」を意味する言葉で、建物などの物理的な形状を指します。「セマンティクス」とは意味情報を指し、建物や道路などの地物に用途や構造、築年数などの属性情報が与えられている点が特徴です。

ジオメトリで代表的なものが「Google Earth」です。Google Earthは建物などに詳細な情報が含まれていないため、地面と建物の区別がつきません。一方の3D都市モデルは属性が建物全体だけでなく、面ごとにもつけられています。

3D都市モデルは、データによって屋根や壁、床などの区別がつけられているケースもあります。

2-2. レベルによって情報量が分けられる

引用:PLATEAU

3D都市モデルには「LOD(Level of Detail」と呼ばれる地物の詳細度を示したものがあります。

LODにはLOD0〜LOD4まで定義されており、LOD0には高さ情報がないものの、LOD1以降には付加されています。レベルごとの表現内容は以下の通りです。

3D都市モデルでは、1つの地図モデルに異なるLODで表現された建物を表示することが可能です。また、例えば建物をLOD2で表現した場合、LOD0とLOD1のデータも含まれているため、用途に応じて異なるLODでの表現ができます。

3.3D都市モデルの活用方法

3D都市モデルは地理空間データの一つであり、正確性が高い上に詳細な属性情報も含まれている点が特徴です。実際にさまざまなケースでも利用されていることから、3D都市モデルの活用方法は幅広いものとなっています。ここでは、以下の活用方法について解説します。

3-1. ゲームや映像作品での活用

3D都市モデルに含まれている建物などの細かなモデルによって、現実世界と同じような空間を舞台にしたゲームやVR、映像作品の制作に活かせます。また、地物の正確な表現が可能なほか、緯度経度の情報も含んでいるため、AR分野での利用も可能です。

実際に「Project PLATEAU」では「Unity」や「Unreal Engine」を活用したゲーム開発で使用できる3D都市モデルを公開しています。3Dモデルだけでなく土地に関するデータも収録されているため、実際の都市を舞台としたリアリティのある作品の開発が可能です。

3-2. シミュレーションでの利用

先述したように、3D都市モデルには3次元形状や属性情報といった豊富な情報を持っています。そのため、都市におけるさまざまなシミュレーションに活用できます。

実際に活用されたものでは、災害による洪水が発生した際の浸水シミュレーションやドローンの飛行シミュレーションなど幅広く使われています。

3D都市モデルが開発されたことで、以前はできなかった建築物の属性情報や3次元形状を活用した取り組みが可能となった点は大きなメリットと言えるでしょう。

3-3. GISとしての活用

GIS(Geographic Information System)は用途に応じたさまざまな情報を地図上に表示させるシステムで、日本語では「地理情報システム」と訳されています。GISを用いることで、ある地点の人口分布や建物の属性情報などを色に分けて表示が可能。また、人の流れや天気の変化といった流動的な情報も可視化できます。

GISを活用する目的はさまざまあり、例えば災害時のハザードマップや防災計画の作成、生活インフラの監視などがあります。

4.3D都市モデルを活用した事例4選

Project PLATEAUでは、3D都市モデルを活用した事例を公開しています。ここでは、以下の4つの事例を紹介します。

4-1.ドローンの自己位置測位システムの開発

ドローンシミュレーションイメージ

引用:PLATEAU

2022年にドローンのレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が解禁されたことで、ドローンの安全性が一層求められています。ドローンの安全な飛行を実現するために、3D都市モデルを活用してドローンの自己位置を推定する自己位置測位システムを開発。また、システムの処理をサーバー上で行い、配信するための実験を行いました。

実験を通じて、将来的に3D都市モデルを活用して全国のあらゆる場所での目視外飛行を実現し、ドローンの自立飛行の社会実装を目指していくことが狙いです。

実験の結果、3D都市モデルとSLAM技術、ドローンの組み合わせによって自己位置推定が可能に。また、サーバー側での演算処理によって自己位置推定を安定的に行うことが可能であることも確認できました。

4-2. まちづくり学習ツールの開発

まちづくり開発ツールイメージ

引用:PLATEAU

市民が主体的に街づくりに関わっていくために、子どもたちを対象としたまちづくり学習ツールを開発し、市民参加型のまちづくり促進を目指して実証実験を行いました。

実験では3D都市モデルをベースとして、高輪ゲートウェイ駅周辺の環境が把握できるデジタルツインを構築。子ども向けのARタグ付けアプリと、3Dモデリングツールを整備しました。ツールを活用して得られたアイデアなどを3D都市モデルで再現し、臨場感のある教育プログラムを提供しました。

フィールドワークにて、ARタグ付けアプリを用いて街の良いところや悪いところを子どもたちが集めたところ、一人あたり約8個のタグを付ける結果に。この結果から、子どもたちが積極的に地域の魅力を発見する様子が伺えました。

また、タグ付けした内容をPLATEAU VIEW上で閲覧することで、子どもたちならではの着眼点が示された場所が見受けられるなどの結果も得られました。

4-3. 工事車両の搬入経路シミュレーションの実施

工事車両搬入ツールイメージ

引用:PLATEAU

都市部での大規模な建設工事を行う際、周辺住民の安全を確保した上でのスムーズな資材の搬入が課題でした。実証実験では3D都市モデルを用いた工事車両の搬入ルートをシミュレーションし、施工業者と周辺住民に与える影響を検証しました。

実験では、3D都市モデルに含まれている属性情報を取り込んだ工事車両のシミュレーターを開発。シミュレーターの活用で、住民の生活圏やスクールゾーンとなる範囲を避けるルートの算出を実施しました。

実証実験の結果、3D都市モデルを活用したシミュレーションサービスの利用により、大規模工事における搬入経路や調整業務の効率化が可能であることが判明。また、住民に対する安心や、工事に対する理解の促進に向けた新たなソリューションの提供も可能であるとの結果も得られました。

4-4. ゲームエンジンを用いた景観・開発計画の再現ツールの開発

景観・開発計画再現ツールイメージ

引用:PLATEAU

都市の景観と開発の両立を進めるために行政やデベロッパー、住民といった関係者が都市についての議論を深めることが重要です。しかし、これまで行ってきたCGや動画制作は、わかりやすさや制作コストがかかるといった課題がありました。

愛媛県松山市が行った実証実験ではゲームエンジンをベースとし、3D都市モデルを用いた景観計画の立案や開発計画の説明などを支援するツールを開発。ツールの使用により、従来よりも解像度の高い景観計画の検討や協議の円滑化を目指しました。

実験にて地方公共団体や開発事業者に向けたアンケートを行った際、約67%の方が「使いづらい」との回答となり、ツールを完全に使いこなす結果には至りませんでした。また「ゲーミングPCが用意できない」「USBに入っているツールデータをPCに移せない」といった初歩的な部分でつまづき、十分にツールが活用できないといった事態にも。

一方で、ツールの活用によって景観についての計画や協議が従来よりも網羅的にできそうといった回答もあり、今後のツールの有用性を期待できる結果も得られました。

5.まとめ

3D都市モデルは、建物や道路などに用途や構造といった属性情報が与えられている点が特徴です。LODと呼ばれる地物の詳細度によって、建物の高さや外構部の情報を表現できるため、シミュレーションやゲーム、映画などの映像作品で活用できます。

企業や地方自治体において、3D都市モデルを活用した取り組みが増えてきています。今後も新たな活用例が生まれる可能性があるでしょう。

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