- 2024/07/12
NFTをビジネスに活用するメリットは?ビジネスモデルや具体事例もご紹介
近年、話題になっているNFT。すでにビジネスに取り入れている企業や、これからビジネス化を検討する企業も多いでしょう。しかし、NFTの特徴やメリットなど、詳細を把握しなければ、ビジネスへの活用は困難です。そこで今回は、NFTをビジネスに活用するメリットや具体事例などをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
NFTとは
そもそもNFTとは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、NFTの特徴や仕組み、従来のデジタルデータとの違いを解説します。
NFTの特徴・仕組み
NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)とは、ブロックチェーン技術を基盤として作成されたデジタル資産で、各NFTには固有の識別情報があり、それによって唯一無二の価値を持ちます。NFTのおもな特徴は、以下のとおりです。
代替不可能性(唯一無二性)
NFTはそれぞれ独自の属性を持ち、他のものと交換できないため、代替不可能です。例えば、あるNFTアート作品は、見た目が同じでも、ブロックチェーン上の識別情報によって他の作品と区別されます。
改ざんが困難
ブロックチェーンに記録されたデータは、分散型台帳技術により、改ざんが非常に困難です。そのため、NFTの所有権や作成者情報が安全に保護されます。
プログラマビリティ
NFTはスマートコントラクトを通じて、さまざまな機能や条件を設定できます。例えば、作品が売買されるたびに、元の作成者に手数料が支払われるように設定することが可能です。
従来のデジタルデータとNFTの違い
従来のデジタルデータとNFTの違いは、おもに以下の点が挙げられます。
所有権の証明
従来のデジタルデータは容易にコピーされ、所有権の証明が難しいです。一方、NFTはブロックチェーン上で所有権が証明され、真正性を保証できます。
資産価値
NFTはその唯一性により、デジタルアートやコレクターアイテムなどとして資産価値を持つことが可能です。これに対して、従来のデジタルデータはコピーが容易であるため、同様の資産価値を持つことが困難でした。
NFTの市場規模
NFT市場は、近年急速に成長しており、多くの業界で注目されています。ここでは、NFTの海外と国内における市場規模、また今後の展望について確認しておきましょう。
海外の市場規模
2023年の世界のNFT市場規模は、2021年の8月から2022年の5月までの間に急速な盛り上がりを見せましたが、その後は少し落ち着いてきています。著名人によるNFTの導入やゲーム業界の変革、デジタルアート作品の需要拡大などが成長を促進しましたが、世界的なインフレや利上げ、それに伴う景気後退の懸念が市場に影響を与えているようです。
日本の市場規模
日本のNFT市場に関しては、2020年7月から2021年6月と2021年7月から2022年6月の期間で比べると113.2%増加しており、アジア随一の伸び率を示しています。特にDeFi(分散型金融)の取引額の増加がその理由だといわれています。
今後の展望
将来的なNFT市場規模の予測では、2022年から2027年までの5年間で4.4倍に成長すると予測されており、2027年までには約2兆円に達すると見られています。
2021年の市場規模は160億米ドルであり、2022年は213億9,000万米ドルになると予測されていました。2030年には2,120億米ドルになるとの予測もあり、2023年から2030年までの予測期間中のCAGR(年平均成長率)は33.7%となっています。
これらのデータから、NFT市場は今後も拡大すると予測されており、特にデジタルアート、ゲーム、エンターテイメントなどの分野での活用が期待されている状況です。ただし、法整備、ハッキングリスク、価格変動の大きさなどの課題も指摘されており、市場の成熟にはこれらの問題への対応が鍵といえるでしょう。
NFTをビジネスに活用するメリット
NFTをビジネスに活用する主なメリットは、以下のとおりです。
- 参入障壁が低い
- グローバルマーケットに展開できる
- 多様なジャンルに活用できる
- 価値が付きやすい
それぞれの内容を解説します。
参入障壁が低い
NFT市場は、伝統的なアート市場や他の商業市場と比較して、参入障壁が非常に低いのがメリットです。ブロックチェーン技術により、誰でも簡単に自分の作品をデジタル資産として登録(ミント)し、オンラインで販売できます。そのため、新進のアーティストや小規模なビジネスオーナーでも、大手企業と同じ舞台で競争することが可能です。
グローバルマーケットに展開できる
NFTはデジタルネイティブな資産であるため、インターネットがあれば世界中どこからでもアクセスできることもメリットです。地域に縛られることなく、グローバルな視点でビジネスを展開できます。また、異なる文化や市場のニーズに合わせて、作品や商品をカスタマイズし、より多くの顧客層にアプローチすることが可能です。
多様なジャンルに活用できる
NFTはアート作品だけでなく、音楽、動画、ゲーム内アイテム、スポーツのトレーディングカードなど、あらゆるデジタルコンテンツに適用できます。クリエイターやビジネスは、自分たちの製品やサービスをより幅広い形で市場に提供でき、新しい収益源を生み出すことが可能になります。
価値が付きやすい
NFTはそのユニークな性質と希少性により、高い価値を持つことが多いです。ブロックチェーン上での所有権の証明は、コレクターにとって大きな魅力となり、投資対象としての価値を高めます。また、NFTは再販売時にもオリジナルのクリエイターにロイヤリティが支払われる仕組みがあるため、長期的な収益を見込めるでしょう。
NFTを活用したビジネスモデル
NFTを活用して、具体的にどのようにビジネスを行えばよいのでしょうか。ここでは、NFTを活用したおもなビジネスモデルをご紹介します。
マーケットプレイス
NFTマーケットプレイスは、アーティストやクリエイターが自分のデジタル作品を世界中のコレクターに直接販売できるオンラインプラットフォームです。OpenSeaやRaribleのようなプラットフォームでは、ユーザーは自由にNFTを購入・販売し、オークションに参加できます。これらのマーケットプレイスは、ブロックチェーンを活用して透明性とセキュリティを確保しつつ、ユーザー間の信頼を構築できるのが特徴です。
アート・音楽
アーティストやミュージシャンは、自分の作品をNFTとして発行し、デジタルコレクターに直接販売することで、中間業者を介さずに収益を上げることが可能です。クリエイターは自分の作品の価値を自ら設定し、ファンとの直接的な経済的関係を築けるようになります。さらに、NFTは作品の真正性と希少性を保証するため、アートや音楽のデジタル所有権を明確にします。
ゲーム
ゲーム業界では、NFTを利用してゲーム内アイテムやキャラクターを独自の資産として販売できます。プレイヤーは自分のアイテムを他のプレイヤーに売買したり、限定アイテムを収集したりすることでゲーム体験をより豊かにすることが可能です。NFTを活用することで、ゲームの経済システムはよりダイナミックで持続可能なものになるでしょう。
スポーツ
スポーツ界では、選手やチームが自身のトレーディングカードや記念品をNFTとして発行することで、ファンとの新しいつながりを作り出せます。ファンはお気に入りの瞬間や選手をデジタル形式で所有でき、スポーツ体験をよりパーソナルなものにすることが可能です。
仮想通貨取引所・NFTウォレット
仮想通貨取引所やNFTウォレットは、NFTと仮想通貨の交換や、NFTの安全な保管・管理を提供するサービスです。これらのプラットフォームは、ユーザーがNFTを簡単に取引できるようにすると同時に、資産のセキュリティを確保します。また、NFTウォレットは、ユーザーが自分のデジタル資産を一元管理できる便利なツールとしても機能します。
NFTを活用したビジネスを展開している企業事例
NFTを活用したビジネスモデルは多岐にわたり、さまざまな企業が革新的な取組みを行っています。以下で、国内外の企業がどのようにNFTをビジネスに取り入れているかの事例をご紹介します。
国内企業の事例
国内では大手企業を中心に、NFTのビジネス活用が進んでいます。
株式会社集英社
集英社は「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE プロジェクト」を推進することで、漫画のカラー原稿をNFTとして販売しています。『ONE PIECE』や『ベルサイユのばら』など、有名作品の原画をデジタル化し、アートとしての価値を永続的に保存することが目的です。これにより、ファンは自分の好きな作品を所有する新しい方法を得ると同時に、作品の歴史を保存することにも貢献しています。
吉本興業株式会社
吉本興業は「よしもとNFT劇場シアター」を展開し、人気芸人の限定ネタをNFTとして提供しています。ファンはお気に入りの芸人のネタをデジタル資産として所有できるようになり、芸人とファンの新しい関係性を築くことが可能です。
株式会社サンリオ
サンリオは「Hello Kitty and Friends NFTコレクション」をリリースし、世界8都市を旅するキャラクターのNFTを販売しています。ハローキティのファンは、キャラクターと一緒にバーチャルな旅を楽しめます。
阪神タイガース
阪神タイガースは「Tigers Gallery」を通じて、選手カードや名場面シーンのNFTデジタルアイテムを提供しています。ファンは試合の興奮や選手の活躍をデジタルアイテムとして手に入れ、コレクションすることが可能です。
日本テレビ
日本テレビは「NFT IDOL HOUSE プロジェクト」で、リアルアイドルとジェネラティブNFTを組み合わせた新しいファンの形を提案しています。このプロジェクトでは、ファンがアイドルの成長を直接支援し、プロデュースに参加できるのが特徴です。
海外企業の事例
海外でも多くの企業がNFTを活用し、ユニークな展開を行っています。
コカ・コーラ
コカ・コーラは、国際フレンドシップ・デーを記念して、限定NFTコレクターズアイテムをリリースしました。このNFTは、友情を分かち合う体験にインスパイアされたデザインであり、メタバース向けに斬新に再構築されたアイテムです。オークションで得られた収益は、スペシャルオリンピックスインターナショナルに寄付され、社会貢献にも一役買っています。
バーガーキング
バーガーキングは、NFTキャンペーン「Keep It Real Meals」を実施しました。特定のセレブリティとコラボした商品を購入することで、NFTが獲得できる仕組みを提供しました。また顧客がNFTを集めることで、さまざまな賞品への応募権が得られるという、顧客エンゲージメントを高める新しい試みを行っているのも特徴です。
Starbucks Coffee
Starbucks Coffeeは、NFTを活用したロイヤルティプログラム「Starbucks Odyssey」を展開しました。顧客がNFTとポイントを集めることにより、バーチャルクラスやスターバックスの店舗イベントへの招待など、特典を手に入れられます。顧客との新しいつながりを作り出し、デジタルとリアルの両方で没入型のコーヒー体験を提供する取組みです。
GUCCI
GUCCIは、メタバースプラットフォーム「The Sandbox」内で、ファッションアイテムやNFTを販売する「Gucci Vault LAND」を展開しました。また、NFTホルダー向けにフィジカルアイテムを提供するなど、デジタルファッションの世界を拡大している状況です。GUCCIのヴィンテージアイテムのデジタルコレクションを販売し、ブランドの歴史をデジタル空間で体験できるようになりました。
Spotify
Spotifyは、音楽とNFTを組み合わせたプロジェクトを通じて、アーティストとファンの新しい関係を築いています。特定のNFTホルダーのみがアクセスできるプレイリストをリリースするなど、トークンゲートが可能なコンテンツを提供し、音楽業界におけるNFTの活用を先導しているのが特徴です。
NFTとメタバースの関係性
NFTとメタバースは、それぞれ独立した技術ですが、一緒に使用することで相互のシナジーを生み出すことが可能です。メタバースは、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの技術を用いて構築された、現実世界とは別の仮想空間のことを指します。ユーザーはアバターを通じて、さまざまな体験や活動を楽しめる点が特徴です。
なお、メタバースとNFTの違いについては、以下の記事もご参照ください。
メタバースとNFTの違いとは?両者によって実現できることと注意点も解説
メタバースとNFTは相互に補完しあいながら、デジタル経済の新たな可能性を拓いています。メタバースが提供する豊かな体験と、NFTがもたらす所有権の明確化と経済的価値の創出は、今後さらに発展していくことでしょう。メタバースとNFTの関係性について、以下で解説します。
独立した存在
メタバースはNFTなしでも成立し、その逆も同様です。しかし、NFTはメタバースの可能性を広げるためのテクノロジーとして機能します。
デジタルアセットのNFT化
メタバース上で使用されるアイテムや土地などのデジタルアセットは、NFTとして作成されることが多いです。これにより、所有権の証明や取引が容易になり、メタバース内での経済活動が促進されます。
新たな経済圏の形成
メタバース内でNFTを活用することにより、仮想の経済圏を構築し、ユーザー間でのアイテムの売買や交換が可能になります。また、NFTの希少性により、将来的な価値上昇も期待できるでしょう。メタバース上でのNFTアートの展示会やイベントの開催など、NFTを活用した新しいビジネスモデルが生まれています。
NFTをメタバースに活用した事例
NFTをメタバースに活用した具体的な事例をいくつかご紹介します。
The Sandbox
The Sandboxはメタバース空間内でユーザーが自由に交流し、オリジナルのコンテンツを作成できるプラットフォームです。ゲーム内のアイテムや土地などがNFTとして発行され、ユーザー間での取引が行えます。
Decentraland
Decentralandは、ユーザーが「LAND」と呼ばれる仮想空間の土地を購入し、建築やイベントの開催ができるプラットフォームです。NFTアートの展示会やイベントの開催など、NFTを活用した多様な取組みが行われています。
Axie Infinity
Axie Infinityはユーザーが仮想ペットを育成し、戦わせることで報酬を得られるゲームです。仮想ペットや土地などがNFTとして発行され、外部マーケットプレイスで取引されます。
NFTをビジネスに活用するときの法的・税務上の注意点
NFTはまだ法整備が追い付いていない部分もあるため、ビジネスを行う際は注意しなくてはなりません。ここでは、NFTをビジネスに活用する際の法的・税務上の注意点について解説します。
法的な注意点
まず、NFTをビジネスに活用するときの、法的な注意点を確認しておきましょう。
NFTの法的性質
NFTは、ブロックチェーン技術を用いて発行される唯一性を有する電子データです。NFTに紐づけられたデジタルデータが唯一性を有するかどうかは発行者次第であり、法律上の扱いが異なる場合があります。
著作権
NFTに関連するデジタルアートやメディアの著作権は、NFTの所有権とは別に考える必要があります。NFTの購入が著作権の移転を意味するわけではないため、著作権侵害に注意が必要です。
契約方法
NFTの取引はスマートコントラクトによって自動化されていますが、契約内容の明確化が重要です。特に、ロイヤリティの支払い条件など、取引の細部にわたる規定を理解し、適切に設計する必要があります。
税務上の注意点
NFTでビジネスを行って収益を得た場合、税金が発生します。以下で、具体的な内容を確認しておきましょう。
課税関係
NFTやFTの取引によって得られる収益は、その取引の性質に応じて異なる所得区分に分類されるため注意が必要です。例えば、個人がNFTを販売して得た収益は、一般的に雑所得として扱われ、事業的な規模で行われた場合は事業所得になる可能性があります。
また、NFTを給与の一部として受け取った場合は給与所得となります。税率は所得の種類や金額によって異なり、累進課税制度が適用されることが一般的です。NFT取引に関する税金の種類には、所得税、法人税、消費税などが挙げられます。
確定申告
NFTの売買による利益は、確定申告を通じて税務当局に報告しなくてはなりません。NFT販売時に発生する手数料は、必要経費として計上できますが、制作費用については経費計上できない場合があるため、注意が必要です。
また、NFT取引による利益が年間200万円以上の場合は、消費税の申告も必要になることがあります。確定申告の際には、取引の記録を正確に保管し、必要な資料を準備することが重要です。
なお、NFTの取引に関する税務上の潜在的な影響については、専門家のアドバイスを求めることがおすすめです。将来的な税務問題を回避できる可能性が高くなるでしょう。
まとめ
NFTはブロックチェーンを基盤としたデジタル資産で、唯一無二の価値を持ちます。市場も急成長しており、特にデジタルアートやゲームなどでの活用が期待されている状況です。ビジネスに活用する場合、参入障壁の低さ、グローバル展開の容易さ、多様なジャンルへの適用可能性、価値の付きやすさがメリットです。企業はNFTマーケットプレイス、アート、ゲーム、スポーツなどで革新的な取組みを行っており、メタバースとの組み合わせによる新たな経済圏の形成も進んでいます。
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