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  • 2024/02/28
  • 2024/05/17

建築業界でのメタバース活用事例7選!活用できるプラットフォームも紹介

建築業界ではメタバースの活用が広がっており、現実世界だけでなくバーチャル空間で設計や開発などが行われている事例も出てきています。

今回は、建築業界でのメタバースの活用事例を7つ紹介するほか、活用できるプラットフォームについて解説します。

建築業界でメタバースが注目されている理由やメリットなども解説しますので、メタバースの導入を検討している建築業界の関係者は、ぜひご覧ください。


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目次

1.メタバースとは

メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の仮想空間を指し、自分の分身である「アバター」を利用して、現実世界と同じようなコミュニケーションが可能です。

メタバースの語源は、超越を意味する「meta」と宇宙を意味する「universe」を組み合わせた造語です。アメリカの作家ニール・スティーヴンスンによるSF小説「スノウ・クラッシュ」にて使われたのが始まりと言われています。

メタバース空間では、現実世界と同じような空間を再現できることから、気軽に実験を行いやすい点が特徴です。そのため、建築業界においても導入を検討している手法を事前にシミュレーションすることが可能。このことから、建築業界でもメタバースが注目されています。

2.建築業界でメタバースが注目されている理由

建築業界でメタバースが注目されている理由には、主に以下の3点が挙げられます。

これまで空間設計を行う際は、外部環境やほかの関係者との連携が必要であったため、ミスが許されない状況でした。しかし、メタバースの活用で設計中に思いついたアイデアを試すことができるほか、制作途中でも設計を変更できます。

2つ目の理由は作業にかかる時間や費用の削減が可能な点です。メタバース上に原寸大の3Dモデルを作ることで、計画段階での問題点を洗い出せるほか、複数の施工例の検討が可能です。

そのほか、関係する業者を交えての会議を行う際に、メタバース上に再現されたモデルを活用できます。

3つ目はNFTを活用してメタバース上に土地を保有できる点です。NFT(Non-Fungible Token)とは「代替不可能なトークン」のことで、データの改ざんや書き換えが困難な点が特徴です。

現実世界では土地の所有権は「登記」によって証明されます。NFTを活用した土地をメタバース上に保有することで「一点もの」として所有者の証明ができます。

3.メタバースを建築に活用するメリット

建築業界にてメタバースを活用する主なメリットは、以下のようなものがあります。

ここでは、上記のメリットについて詳しく解説します。

3-1.設計シミュレーションにかかるコストを削減

従来の設計シミュレーションでは、実際に模型を作成して設計通りに建物を建設できるかを検証することが一般的でした。しかし、このような方法の場合、作成に必要な資材や人件費などのコストが発生するほか、作成に多くの時間を要することが課題でした。

メタバースを活用して設計シミュレーションを行うことで、コストの大幅な削減や時間の短縮が可能。その結果、作業の効率化や環境に配慮したシミュレーションが実現できます。

3-2.完成イメージの3D化による訴求力の向上

戸建て住宅やマンションを販売する際、従来は2Dの設計図や完成予想図を用いることが一般的でした。一方で、建物の間取りや大まかな外観を確認するには十分ですが、建物の雰囲気やデザインの詳細なイメージを伝えるには限界がありました。

そこで、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などを用いることで完成イメージを具体的に示すことが可能です。VRヘッドセットを用いて建物の内見をするほか、ARの技術を活用して土地に建物を表示させることで、サイズ感の確認ができます。

このように、完成イメージを3Dで表現することで、お客様へ従来よりも強い訴求力を与えることが可能です。

3-3.遠隔地からでも参加が可能

メタバースの活用により、遠隔地からでも会議や建設プロジェクトへの参加が可能です。メタバース上に再現した建築物をもとに、遠方や海外に滞在しているメンバーからさまざまな意見を取り入れるといったこともできる点がメリットです。

そのほか、研修の場としてもメタバース空間を活用できます。地理的な制約に悩まされることなく、メンバーそれぞれの拠点にて建築に関するスキルやノウハウを学ぶことができます。また、研修に必要なコストの削減や効率化も実現できるでしょう。

3-4.リスク回避につながる

時間や場所の制約を受けないメタバースの活用は、安全面においても有効です。メタバース上に現場を再現することで、リスクを負うことなく足場に潜む危険性の把握や作業方法を学ぶことができます。また、学んだ内容を新入社員を含む全従業員が共有することで、事故防止につなげられます。

メタバースを活用しての研修をまず行い、基本的な知識を身につけた上で現場での研修に移っていくこともできるため、取り入れるメリットは大きいでしょう。

4.メタバースを建築に活用した場合のデメリット

メタバースを活用する際のデメリットは、以下の通りです。

上記について詳しく解説していきます。

4-1.導入コストがかかる

メタバース上に建築物を制作するには、デザインやモデルリングなどが必要です。そのため、専用ソフトの導入や膨大なデータを処理できるだけの環境の構築が不可欠です。

建築物だけでなく周辺環境の構築も含まれる場合、さらに処理が必要なデータ量が増えていき、コストも上がります。メタバースを活用する際は、どの程度の規模になるかを把握した上で環境の構築を進めましょう。

4-2.セキュリティ面のリスクがある

メタバースのデメリットの一つに、セキュリティ面のリスクがあることが挙げられます。インターネットを活用して運用されるサービスであるため、ウイルスへの感染やハッキングの被害に遭う可能性もゼロではありません。

メタバースの場合、空間の改ざんや乗っ取りに見舞われるリスクも潜んでいます。不特定多数の利用者が存在する空間であるからこそ、強固なセキュリティの構築は欠かせません。

4-3.ITリテラシーが求められる

メタバースを利用するには、ある程度のITリテラシーが求められます。操作方法や機能を把握し、スムーズに利用できるための努力が必要です。

操作方法だけでなく、コミュニケーションにおいてもほかの利用者を傷つけるような行動は慎まなければなりません。匿名性のあるサービスですが、相手を誹謗中傷するような行為は法的処置が取られる場合もあるため、注意が必要です。

5.建築業界で活用できるメタバースプラットフォーム

建築業界で活用できるメタバースプラットフォームは、主に以下の3つです。

建築に特化したプラットフォームとなっており、さまざまな機能を備えています。以下で詳しく解説しますので、見ていきましょう。

5-1.Mona

Monaはクリエイター向けのメタバースプラットフォームとして、3,000人以上のクリエイターに利用されています。メタバース上での展示会の開催やコンサートを開くなどクリエイターによってさまざまな世界が構築されています。

作成した建築物をサイト上にアップロードできるほか、NFT(非代替性トークン)として販売できる点も特徴です。クリエイターにとっては収益の幅が広がり、さらなる制作意欲の向上が期待できるでしょう。

5-2.Comony

Comonyは建築や不動産に特化したメタバースプラットフォームとして、建築業者やクリエイターから支持を得ています。ビジネスシーンでの活用を目的としており、使いやすさを追及している点が特徴です。

音声やチャット機能を活用したコミュニケーションが可能なほか、メタバース空間に入室者が現れると通知をしてくれる「入室通知機能」など、使いやすさを重視した機能が揃っています。

これまで、不動産の内見や投資物件に関するプレゼン、バーチャル展覧会などさまざまな用途においてComonyが活用されています。

5-3.超建築メタバース

超建築メタバースは、一級建築士が手がけたメタバース空間での住宅展示場プラットフォームです。

超建築メタバースには、以下の3種類のモデルが用意されています。

そのほか、メタバース上に展示するモデルハウスを1棟から作成することも可能。一級建築士監修のもと、リアルに近い住宅の構築を実現します。

6.建築業界におけるメタバースの活用事例

建築業界において、実際にメタバースを活用している企業もあります。ここでは、以下の企業による活用事例を紹介します。

6-1.鹿島建設

鹿島建設では2014年にBIMデータを活用した避難シミュレーションシステム「PSTARS」を開発しました。これまでは熱や煙と人の行動を別々にシミュレーションする必要がありました。そのため、大規模施設や複合開発エリアでの正確な避難計画の策定が困難な状況でした。

PSTARSは火災時の熱や煙の変化が、人の行動にどのような影響を与えるかを考えたシミュレーションを行うことで、円滑な避難計画の作成を目指しています。

2021年11月には、ホロラボ社がPATARSのHoloLens2版の開発を発表。これにより、さらなる利便性の向上が期待できます。

6-2.東急建設

東急建設では、建築物の品質と効率を高めるためにMicrosoftのHololensを活用しています。この取り組みではHololens上にAzule Remote Renderingと呼ばれるサービスを使用。このサービスを活用することで3Dモデルをクラウド上にレンダリングし、Hololens上へのストリーミングが可能となります。

Hololensの活用により、発注者や施工者の間で完成予想図の共有が可能となり、認識のズレを防ぐことができます。

6-3.奥村組

奥村組は2021年12月に「メタバース技術研究所」と呼ばれる独自のメタバース空間を構築しました。メタバース技術研究所は、メタバース上でのシミュレーションを通して設計や施工の効率化を目的とし、Synemon社が提供するVR構築サービス「NEUTRANS」を活用しています。

これまで建築用のモックアップを作成する際、産業廃棄物の発生や手戻りが起きた際の作業量増加が課題となっていました。そのため、メタバース技術研究所の構築により、設計の精度向上や工数削減の効果が期待できます。

6-4.大和ハウス工業

大和ハウス工業は、XR技術を活用して商業施設や事業施設などの建築物の3Dモデルをメタバース上に構築する「D’s BIM ROOM 」を開発。D’s BIM ROOMはパソコンやタブレット、ヘッドマウントディスプレイを活用して建築物の外観や色味などを見ることができます。

遠方に滞在しているお客様とも、対面で打ち合わせをしているかのような体験を提供することが可能です。今後は大和ハウス工業が建設する商業施設や事業施設などでも検証・導入を進め、業務効率や生産性の向上を図っていきます。

6-5.清水建設

清水建設では、株式会社アルファコードが提供するVR/MR配信プラットフォーム「Blinky Live」を活用してのオンラインセミナー・インターンシップを実施しました。

建築業界におけるインターンシップは、これまで実際の現場で実施。しかし、コロナ禍により実施が困難となったことから、より現場に近い体験を提供できるよう今回の取り組みが始まりました。

インターンシップでは、VRを活用して学生が興味のある現場を見ながら現場担当者の説明を聞くことが可能。一般的な映像配信と比較しても、より仕事への理解度が高められます。

2020年9月・10月のインターンシップには約500名の学生が参加し、アンケートに回答した学生の91.5%から「良い・非常に良い」といった評価を得られました。

6-6.大成建設

大成建設では「生産プロセスのDX」の一環として、建築計画の変革を進めていくためのシステム「建設承認メタバース」を開発しました。建設承認メタバースでは、建築物の意匠や構造、設備などのデジタルデータがまとめられたBIMをもとに、クラウド上に建築物の構築が可能です。

VRとの組み合わせができるほか、承認プロセスのデジタル化や議事録の自動作成が可能となっているため、建築物の竣工までをスムーズに進められる点が特徴です。また、BIMの扱いに慣れていない方でも、メタバース上でプロジェクトの詳細を簡単に確認することもできます。

6-7.大日本印刷

大日本印刷株式会社では、実際の建築と並行しながら建築用のデータを活用してメタバースを構築。リアルとメタバースの連動による、企業と消費者のコミュニケーションをサポートするサービスを開始しました。
2021年からリアルとバーチャルを連動させ、体験や経済圏を創出する「XRコミュニケーション事業」を展開しています。また、安全に楽しめるバーチャル空間を構築する「PARALLEL SITE(パラレルサイト)」も提供。今回の取り組みではPARALLEL SITEの機能を拡大し、メタバースの企画や運用などをサポートします。

7.まとめ

建築業界では、これまで空間設計を行う際は外部環境や関係者との連携が重要でした。メタバースを活用することで、設計中にさまざまなアイデアを試すことができるほか、制作が途中の段階でも設計の変更が可能です。

メタバースは設計シミュレーションにかかるコストの削減のほか、遠隔地からでも会議やプロジェクトの参加が可能といったメリットがあります。建築業界では実際にメタバースを導入し、成果を上げている企業もあるため、業務効率化などを目指したい企業の方は、ぜひ検討してみましょう。

メタバースtipsを運営しているリプロネクストでは、法人・自治体向けメタバースについて企画・プラットフォーム選びから開発までを一貫してサポートしています。「建築業界でメタバースを活用したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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