- 2024/10/31
- 2024/11/14
広報・マーケティングにメタバースを活用するメリット・デメリットとは?導入方法や注意点、具体事例などもご紹介
デジタルマーケティングの導入など、近年における広報マーケティング方法の多様化には目を見張るものがあります。企業や自治体などによっては、メタバースを広報・マーケティングに活用するケースも散見される状況です。
しかし、具体的にどのように活用するのか、イメージできないかもしれません。ここでは、広報・マーケティングにメタバースを活用するメリット・デメリット、導入方法、注意点、具体事例などをご紹介します。
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目次
これまでの広報・マーケティング
メタバースの広報・マーケティングを説明する前に、これまでの広報・マーケティングについておさらいしておきましょう。
従前の広報・マーケティング
これまでの広報・マーケティングは、主にマスメディアを通じた一方向の情報発信が中心でした。例えばテレビやラジオ、新聞、雑誌などの媒体を利用して、広範な視聴者に向けてメッセージを伝える手法が一般的です。つまり、企業が製品やサービスの特徴を強調し、消費者に対して一方的に情報を提供する形が主流だったといえるでしょう。
また、イベントや展示会、スポンサーシップなどのオフライン活動も重要な役割を果たしていました。これらの手法は、直接的な接触を通じてブランド認知度を高め、消費者との関係を築くことが目的です。
しかし、これらの手法はターゲット層の特定が難しく、効果測定も困難でした。そのため、広報・マーケティングの効果を最大化するためには、膨大な予算と時間が必要になることがデメリットです。
近年の広報・マーケティング
近年の広報・マーケティングは、デジタル技術の進化により大きく変化しています。特にSNSやオンラインプラットフォームの活用が重要視され、リアルタイムでの情報発信やターゲット層への直接的なアプローチが可能となりました。
また、ビッグデータ分析を駆使したターゲット指向型のメッセージングが効果的であり、消費者の関心事や行動パターンに基づいたカスタマイズが求められています。さらに、クリエイティブストーリーテリングを通じて企業文化や理念を伝えることで、ブランドロイヤリティの強化が図られている点も特徴です。
そもそもメタバースとは
メタバースとはどのようなものなのでしょうか。ここでは、メタバースの概要と広報・マーケティング領域で注目されている背景をご紹介します。
メタバースの概要
メタバースとは、インターネット上に作られた3Dの仮想空間やその関連サービスを指します。ユーザーは「アバター」と呼ばれる自分の分身を使って、この仮想空間内で他のユーザーと交流したり、経済活動を行ったりできることが特徴です。
ちなみに、メタバースという言葉は、「メタ(超)」と「ユニバース(宇宙)」を組み合わせた造語で、1992年に発表されたサイバーパンク小説『スノウ・クラッシュ』に登場する架空の仮想空間サービスの名称がその起源といわれています。
メタバースの詳細は、以下でご確認ください。
広報・マーケティング領域でメタバースが注目される背景
メタバースが広報・マーケティング領域で注目される背景には、さまざまな要因が考えられます。
まず、メタバースは従来の広告手法とは異なり、ユーザーが没入感を持って体験できるため、ブランドの認知度やエンゲージメントを高める効果があるのはメリットです。また、仮想空間内でのイベントやプロモーション活動を通じて、リアルタイムでのインタラクティブなコミュニケーションが可能となり、顧客との関係を深められます。
さらに、メタバースは新しい市場やビジネスモデルを創出する可能性があり、企業にとっては新たな収益源となることが期待されている状況です。
広報・マーケティングにメタバースを活用する方法
メタバースは、広報・マーケティングにどのように活用するべきなのでしょうか。ここでは、広報・マーケティングにメタバースに活用するおもな方法をご紹介します。
バーチャルイベント
メタバース内でのバーチャルイベントは、企業が新商品やサービスを発表する場として非常に有効です。例えば、商品発表会やメディア勉強会、サービス体験会などをメタバース内で開催することで、参加者は物理的な制約を受けずに参加できます。
世界中のメディア関係者や顧客に対して、一斉に情報を発信することが可能です。また、バーチャル空間ならではのインタラクティブな体験を提供することで、参加者の関心を引きやすく、ブランドの印象を強く残せるでしょう。
メタバース内の広告
メタバース内の広告は、従来のデジタル広告とは異なる新しいアプローチを提供できる点がメリットです。バーチャル空間内に広告を配置することで、ユーザーが自然な形で広告に触れられます。
例えば、仮想空間に設置された広告看板や、製品を目立たせる配置、さらにはインフルエンサーを使った宣伝など、さまざまな広告手法が想定されるでしょう。これらを有効活用することで、ターゲットとなる人々に効率よくアプローチし、ブランドの認知度を高めることが可能です。
効果測定
メタバース内での広報・マーケティング活動の効果測定は、従来の手法とは異なる指標を用いることが求められます。例えば、バーチャルイベントの参加者数や滞在時間、インタラクションの頻度などが重要な指標です。
また、メタバース内での広告のクリック率やエンゲージメント率、さらにはユーザーの行動データを分析することで、キャンペーンの効果を詳細に把握できます。次回以降の施策に向けた改善点を明確にし、より効果的な広報・マーケティング活動を展開することが可能です。
メタバースを広報やマーケティングに活用するメリット
メタバースを広報やマーケティングに活用するメリットは、以下のとおりです。
- 空間や人数の制約が皆無
- 非日常的な体験の提供
- ブランディングの強化
- 幅広い年齢層へのリーチ
- コミュニティの強化
- 効果測定が容易
ここでは、それぞれの内容を解説します。
空間や人数の制約が皆無
メタバースでは物理的な制約がなく、無限の空間を利用できます。世界中から多くの人々が同時に参加できるイベントやキャンペーンを実施することが可能です。
非日常的な体験の提供
メタバースは現実世界では難しい非日常的な体験を提供できます。例えば、バーチャル試着や仮想店舗でのショッピング体験など、顧客に新しい購買体験を提供できるでしょう。
ブランディングの強化
メタバース内でブランドの世界観を具現し、ブランドイメージを強化することが可能です。3DCGを活用して美しいビジュアルや独自の世界観を表現することで、顧客に強い印象を与えられます。
幅広い年齢層へのリーチ
メタバースはデジタルに慣れた若年層だけでなく、幅広い年齢層へリーチすることも可能です。地理的な制約がないため、地方や海外のターゲットにもアプローチできます。
コミュニティの強化
メタバースを活用したイベントやキャンペーンを通じて、顧客同士の交流を促進し、コミュニティを強化できます。ブランドへの愛着やロイヤルティを高められるでしょう。
効果測定が容易
メタバース内でのユーザーの行動データを収集・分析することで、マーケティング施策の効果を詳細に測定できます。これにより、より効果的な施策を展開するためのデータドリブンなアプローチが可能です。
メタバースを広報やマーケティングに活用するデメリット
メタバースを広報マーケティングに活用する際には、いくつかのデメリットや注意点も考慮する必要があります。
高い依存性
メタバースは非常に魅力的で没入感が高いため、ユーザーが過度に依存してしまうリスクがあります。特に若年層においては、現実世界とのバランスを取ることが難しくなる可能性があるため注意しなくてはなりません。
セキュリティリスク
メタバース内での活動はインターネットを介して行われるため、ハッキングやデータ漏洩などのセキュリティリスクが存在します。特に、個人情報や企業の機密情報が流出するリスクは無視できません。
技術やコストの負担
メタバースの環境を構築・維持するためには高度な技術と多大なコストが必要です。そのため中小企業にとっては、初期投資や運用コストが大きな負担となる可能性があります。
匿名性の問題
メタバースではユーザーが匿名で活動できるため、悪意のある行動やハラスメントが発生しやすい環境だといえます。そのため、ブランドイメージを損なうリスクがある点には注意が必要です。
ユーザーの技術的なハードル
メタバースを利用するためには、ユーザー側にも一定のITリテラシー的な知識やデバイスが必要です。一部のターゲット層が利用しにくくなる可能性がある点には注意しなくてはなりません。
メタバースを広報やマーケティングに活用するときの注意点
メタバースを広報やマーケティングに活用する際には、いくつかの重要な注意点があります。以下で、主なポイントを確認しましょう。
セキュリティ対策の強化
メタバース内での活動はインターネットを介して行われるため、ハッキングやデータ漏洩のリスクがあります。特に、個人情報や企業の機密情報を扱う場合は、強固なセキュリティ対策が必要です。
法規制の遵守
メタバースは新しい技術であり、法整備が追いついていない部分があります。著作権侵害やハラスメントの問題が発生する可能性があるため、法規制を遵守し、適切な対策を講じることが重要です。
UI/UXの最適化
メタバースを利用するためには、ユーザー側にも一定の技術的な知識やデバイスが必要です。利用者がスムーズに参加できるよう、インターフェースの使いやすさやアクセスのしやすさを考慮することが欠かせません。
コミュニティ管理
メタバース内でのコミュニティ活動は、ブランドイメージに大きな影響を与える可能性があります。悪意のある行動やハラスメントを防ぐために、コミュニティガイドラインを設定し、適切な管理を行うことが必要です。
コストとリソースの管理
メタバースの環境を構築・維持するためには、高度な技術と多大なコストがかかります。初期投資や運用コストが大きな負担となる可能性があるため、予算管理が重要です。
効果測定とフィードバック
メタバース内でのマーケティング施策の効果を測定し、フィードバックを収集することが重要です。ユーザーの行動データを分析し、施策の改善に役立てることで、より効果的なマーケティング活動が可能になります。
メタバースの開発方法・費用
メタバースを広報・マーケティングに活用する場合、どのように開発し、どの程度の費用が必要なのでしょうか。ここでは、メタバースを広報・マーケティングに活用するための開発方法と費用について解説します。
開発の手順
ここからは、メタバースの一般的な開発方法について解説します。
要件定義と設計
まず、メタバースの目的や機能を明確にし、要件定義を行いましょう。例えばターゲットユーザーや提供する体験、必要な機能などを詳細に設計することが求められます。
3Dアセットの制作
次に、メタバース内で使用する3Dモデルやアバターを制作します。モデリングやテクスチャリング、リギング、アニメーション制作などを実施することが必要です。その際には、BlenderやMayaなどのDCCツールがよく使用されます。
プログラミングと開発
UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンを使用して、メタバースの環境を構築します。プログラミング言語としては、C#(Unity)やC++(Unreal Engine)が主流です。
テストとリリース
開発が完了したら、テストを行い、バグや不具合を修正します。その後、正式にサービスをリリースすることが可能です。
メタバースの開発についての詳細は、以下の記事もご覧ください。
メタバースはどうやって作る?制作・開発の流れや必要スキルを紹介
メタバースのアバターとは【種類や作り方/作成サービスを紹介】
費用の相場
プロジェクトの規模や内容の複雑さによって大きく変動します。一般的な費用の目安を示しています。一般的な費用の目安は以下のとおりです。
独自のメタバースサービスの構築
完全オリジナルのメタバースを構築する場合、相場が100万円〜1,000万円以上と費用は高額になります。
オンラインショッピングへの活用
オンラインショッピングに活用できるメタバースを開発する場合、100万円から1,000万円以上が相場です。仮想店舗の構築や、3D商品の制作などが該当します。
プロモーションへの活用
メタバースをプロモーションに活用する場合、10万円から500万円以上の費用が必要です。バーチャルイベントやキャンペーンの実施に必要な費用となります。
メタバースイベントへの出展
既存のメタバースプラットフォームを利用する場合、費用を抑えられるため、無料から100万円程度で制作が可能です。
業務効率化向けメタバース空間の構築
リモートワークやトレーニング用の仮想空間の構築にかかる費用は、100万円からが相場です。
メタバースの開発には高度な技術と多大なコストが必要ですが、その分新しいマーケティングの可能性が広がります。プロジェクトの目的や予算に応じて、適切な開発方法と費用を検討することが重要です。
メタバースの費用については、以下の記事もあわせてご確認ください。
メタバースの導入に必要な費用は?メタバースを導入している企業も紹介
広報やマーケティングにおけるメタバースの活用事例
広報やマーケティングにメタバースをどのように活用するべきかわからない場合には、他社の事例を参考にするのがおすすめです。ここでは、当社リプロネクストが開発に携わった広報やマーケティングにおけるメタバースの活用事例を5つご紹介します。
大阪府河内長野市様【メタバース空間による記念式典開催】
リプロネクストは、大阪府河内長野市の市制施行70年記念式典に向け、メタバース空間「つながる河内長野メタバース」の構築をサポートしました。新設予定のスタジアム一体型公園をモデルに、3DCGデータやBIMモデルを活用して設計されました。
市民参加型のコンテンツが豊富で、フォトメッセージやキャラクター探しなど、大人から子どもまで楽しめる工夫が施されています。市長や来賓の挨拶、70年の歴史展示も盛り込まれ、多くの市民に愛着を感じてもらえる空間です。
静岡県様【広報・公聴活動に活用するメタバース空間構築】
静岡県の広報・公聴活動をサポートするメタバース空間「Metaverse SHIZUOKA」を、リプロネクストが構築しました。静岡県全体を3D点群データで再現し、PCやスマートフォンから24時間アクセス可能な常設空間として2024年1月に公開。富士山や伊豆の絶景スポットを訪問できるほか、県政情報の提供や意見交換が行える広聴・広報ルームも完備されています。
今後は、タウンミーティングや観光促進などに活用され、県民との交流の新たな拠点として活用される予定です。
日亜鋼業株式会社様【メタバースによるテーマパーク開設】
日亜鋼業株式会社は、ワイヤーに特化したメタバーステーマパーク「NICHIA METAVERSE WIRE WORLD」を開設しました。製品の認知度向上を目的とし、メタバース内でその製品が生活をどのように支えているかを学べる空間を、リプロネクストが開発しました。
5つのエリアを探検しながら、子ども向けの簡単な解説から専門的な説明まで幅広く受けられます。全国や海外からもアクセス可能で、製品の理解を深める新しい形の双方向コミュニケーションを実現しているのが特徴です。
岩手県様【メタバースを活用した食の交流会】
岩手県が主催するメタバースでの食のイベント「黄金の國いわて。のフードショーinメタバース」が開催されました。第1部では岩手県産食材の販路拡大を目的とした商談会が、第2部では県産食材への理解を深める交流会が行われ、バイヤーや生産者、一般消費者が参加。
料理監修を担当したシェフとのトークセッションや食材を活用したフードBOXが好評を博しました。全国初の試みで、多くの参加者が集い成功を収めました。
新潟工科大学様【メタバースオープンキャンパス】
新潟工科大学は、遠方の高校生にもキャンパスを疑似体験してもらうため、メタバースオープンキャンパスを開設しました。大学の施設を360°スキャンし、実際に近い空間を再現。コモンプラザや学生食堂、大講義室、風洞実験室、ものづくり工作センターを模した5つのエリアを設け、学生生活を具体的にイメージできるよう工夫されているのが特徴です。
さらに、大学のキャラクター「つくっ太郎」のアバターも使用可能で、進路選択に役立つ情報を提供しています。
まとめ
メタバースを広報・マーケティングに活用することで、物理的制約を超えたイベントの開催や新たな顧客体験の提供が可能です。企業や自治体は、バーチャルイベントや広告、プロモーションを通じてブランド認知度を高め、効果測定もしやすくなります。
ただし、技術的なハードルやセキュリティリスク、コスト面の課題もあるため、導入には十分な検討が必要です。メタバースの導入方法や費用についても理解が求められます。そのため、自社だけで開発できそうにない場合は、専門の業者への相談も視野に入れるべきでしょう。
リプロネクストは、数多くの企業や自治体におけるメタバースの開発に携わった実績があります。メタバース開発やXRコンテンツ制作、オリジナルVRゴーグル制作など、幅広いサービスを提供しています。
新潟・東京・大阪に拠点を持ち、地域や企業の魅力をリアルに伝えるためのWebマーケティング支援も行っています。広報・マーケティングへのメタバース活用をご検討の場合は、専門的な知識と経験を持つリプロネクストに、ぜひお気軽にご相談ください。
「Metaverse tips」は株式会社リプロネクストが運営しています。
ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。