- 2022/07/11
- 2024/04/11
旅行・観光業のメタバース活用事例を紹介!活用メリットや制作の流れも
新型コロナウイルスの影響で人の往来に制限ができ、オンラインツールを使った「バーチャル○○」という言葉を耳にする機会が増えました。
旅行・観光業にもその動きは生まれ、オンラインビデオサービスを活用したバーチャルツアーや、VR技術を用いて現地の魅力を360度届けるバーチャルツアーなど、様々な方法で発信されてきました。
そんな中、プロモーションの手法として事例が増えつつあるのがメタバースを活用したバーチャルツアーです。
この記事では旅行・観光業のメタバース活用メリットや最新事例、最後には制作フローについてもご紹介します。
目次
1.旅行・観光業でメタバースが注目されている理由
旅行・観光業でメタバースが注目されている背景には、大きく二つの理由があります。
一つ目は、世界的な流行となった新型コロナウイルス感染症の影響です。
これにより、国境を越えた往来はもちろん、大勢の人が集まるようなイベントや催しが実施できなくなり、旅行・観光業は大きな打撃を受けました。そこでオフラインからオンラインでのプロモーションの流れが進み、表現の一つとしてメタバースが活用されるようになりました。
メタバースはそれぞれが好きな場所からアクセス可能で、交流や購買活動、イベントを行うことができ、旅行・観光業で必要なコンテンツを包括しています。非接触ながらも実在感のあるメタバースは旅行・観光コンテンツと相性がよく、注目され始めたのです。
二つ目の理由が、通信環境の変化です。
今後5Gや6Gなど通信容量が大きく・高速になることで、3DCG空間での違和感が軽減され仮想空間で快適に過ごせるようになります。
こうしたインターネット環境の進歩も、今まさにメタバースの事例が増えつつある理由の一つなのです。
2.旅行・観光業×メタバースのポテンシャル
メタバース上に観光地を出現させることで、世界各地のユーザーがアクセスできるようになります。
つまり、どの観光地も同じ条件で存在することができるのです。リアルな旅行であれば「交通手段がない」「アクセスが悪い」などが原因で集客に課題を抱える観光地もありますが、メタバースはそうしたハンデはありません。どの地域にも平等にチャンスがあるため、マーケティングやプロモーションに役立てることができるのです。
また、メタバースの特徴の一つとして仮想空間内で消費行動も行えます。特産品を販売したり、アクティビティの体験ゲームを公開するなどして、メタバース上の観光地をもう一つの商圏として捉えることもできます。
3.旅行・観光業でメタバースを活用するメリット7つ
ここでは、旅行・観光業でメタバースを活用するメリットを7つご紹介します。
- どこにいてもアクセスできる
- 仮想空間として疑似体験できる
- アバターでコミュニケーションが取れる
- 天候や季節に左右されない
- 商品販売やサービス提供など経済活動もできる
- 普段入れない場所も公開できる
- イベント開催ができる
3-1.どこにいてもアクセスできる
オンライン環境さえあればどこからでも参加できるので、海外の観光地へも気軽にアクセスできます。時間もお金もかけずに好きな場所へ観光ができるので、参加者は実際の旅行よりもハードル低く旅行ができます。
3-2.仮想空間として疑似体験できる
動画を使った旅行・観光のプロモーションは今や主流となっています。動画は現地の雰囲気や人の魅力などを直感的に伝えるツールにはなりますが、見る人はどうしても受け身になりがちです。
一方でメタバースはアバターとしてその世界に入り込むので、自分の見たい場所に向かい、交流をして、買い物をするという現実世界のような行動を取ることができます。
3-3.アバターでコミュニケーションが取れる
メタバースの大きな魅力の一つである、アバター同士のコミュニケーション。
旅行・観光業であれば、現地の人との交流、案内人との会話、ツアー参加者同士の交流などから、旅の体験をより豊かなものにすることができます。
交流できる強みを生かすことで、現地への誘客なども期待できます。
3-4.天候や季節に左右されない
リアルな旅行でよく聞くのが「天気が悪くて、景色が見られなかった」などのエピソード。メタバースであれば、天気は関係なく、四季の中で一番綺麗な時期を再現することも可能です。
また、雨天の場合は中止になってしまう花火大会などもでき、安心してイベントを楽しんでもらえます。
3-5.商品販売やサービス提供など経済活動もできる
メタバース内に店舗を作って、サービスや商品を提供することができ、新たなマーケットを作ることができます。
ECサイトに誘導し、リアルな商品を販売することはもちろん、NFTなどを使ってデジタルコンテンツを販売することもできます。
3-6.普段入れない場所も公開できる
観光地には一般客が入れない文化遺産などがありますが、メタバース内で再現することで中まで見学してもらえるというメリットもあります。
これまで公開していなかった展示物に触れられることはリアルな旅行とは別の魅力作りとなり、効果的なプロモーションができます。
3-7.イベント開催ができる
新型コロナウイルスでZoomなどを活用したオンラインイベントが増えましたが、メタバース空間では実際の観光地や街並みの中でイベントを開催することが可能です。
音楽ライブや交流イベントなどを開催することで、観光地の雰囲気を伝えながらも参加者同士の横の繋がりも生まれます。
4.旅行・観光業でメタバースを活用するデメリット
ここでは、メタバースの活用についての課題も見ていきましょう。
4-1.初期費用がかかる
メタバースは3DCGで仮想空間を構築するため、初期費用がかかります。しかし、一度空間を作れば、その後は公開し続けることができるため、リアルのようにイベントごとに設営費がかかるということはありません。
長期的に活用するのであれば、コストパフォーマンス良く展開することが可能です。
4-2.運用が必要
メタバース空間は、作って終わりではなく、その後ユーザーに来てもらうことが大切になります。
コンテンツを用意したり、交流が生まれる仕掛け・イベントを実施するなど、その後もプロモーション活動を行っていく必要があります。
5.旅行・観光業のメタバース活用事例5選
国内における旅行・観光業のメタバース活用事例を集めました。それぞれ活用の方法も様々なので、参考にしてみましょう。
- しまね縁結び商店街
- バーチャル大阪
- メタ・リゾートTOKYO(仮称)
- バーチャル日本博
- バーチャルOKINAWA
5-1.しまね縁結び商店街
コロナ禍で観光や流通が減少する中、島根県の魅力を発信すべくメタバース空間に「しまね縁結び商店街」が誕生しました。
このバーチャル商店街には島根のお店が並んでおり、それぞれのお店で商品を見たり説明を聞きながら、その場でECサイトにアクセスして購入ができます。
また、セミナーやイベントを随時開催し、スタッフと直接対話しながら島根の魅力に触れることができる企画となりました。
▶︎▶︎参考:一般社団法人島根城下町食文化研究会 プレスリリース
5-2.バーチャル大阪
大阪市・大阪府は2025年に開催予定の大阪・関西万博に先がけ、大阪の魅力を国内外に発信する「バーチャル大阪」をバーチャルプラットフォーム「cluster」に公開しています。
観光スポットとして有名な道頓堀、代表的な建造物である大阪城や梅田スカイビルを眺めながら大阪市街をアバターで散策できます。
イベント開催時にはステージが設けられ、ライブや参加型イベントも実施されています。
今後も公開エリアの拡大やコンテンツがアップデートされていく予定です。
▶︎▶︎バーチャル大阪 公式サイトはこちら
5-3.メタ・リゾートTOKYO(仮称)
ピクセルカンパニーズ株式会社がVRプラットフォーム「Decentraland(ディセントラランド)」上に、複合リゾート施設を有した「メタ・リゾートTOKYO(仮称)」の開発を進めています。
全世界に向けた日本文化の発信はもちろん、今後は音楽ライブやイベントの実施、NFTを活用したコンテンツビジネスの検証など、メタバース上の日本文化の発信拠点として開発を進めています。
▶︎▶︎参考:ピクセルカンパニーズ株式会社 プレスリリース
5-4.バーチャル日本博
日本の美と文化の祭典「日本博」。公式サイトでは「バーチャル日本博」としてアバターで参加できるメタバース空間を公開しています。
スマートフォンやパソコンから気軽にアクセスでき、美術展・舞台芸術・自然など日本の美しい産物、伝統文化にバーチャル上でも触れることができます。
Web上に公開することで、日本の魅力を全世界へと発信することができます。
▶︎▶︎バーチャル日本博 公式サイトはこちら
5-5.バーチャルOKINAWA
2021年に公開された「バーチャルOKINAWA」。沖縄のビーチや街並みをメタバース空間で満喫することができます。
沖縄の伝統衣装に身を包んだアバターに変更できたり、バーチャル居酒屋でお酒が飲めたりと、本当に旅行をしているような気分を楽しめます。
また、現在復興中の首里城が仮想空間では見に行けるようになっており、ドローンの実写映像で現在の復興の様子を見ることも可能です。
▶︎▶︎バーチャルOKINAWA 公式サイトはこちら
6.ANAホールディングスがメタバース旅行体験を提供する新会社を設立
ANAホールディングス株式会社は、バーチャルトラベルプラットフォームを開発・運営するANA NEO株式会社を設立し、2022年中に新しい旅の体験価値を提供する「SKY WHALE」をリリースする予定です。
「SKY WHALE」は「Skyパーク」「Skyモール」「Skyビレッジ」の3つのサービスで構成され、「Skyパーク」では世界の様々な都市や絶景スポットに最大8人で同時にバーチャル旅行が楽しめます。
“旅”を専門にしたメタバースプラットフォームの誕生に注目が集まっています。
▶︎▶︎参考:ANAホールディングス株式会社 プレスリリース
7.旅行・観光業がメタバースを依頼する際の流れ
最後にメタバースの制作・開発を依頼する際の流れをお伝えします。
制作会社によってフローが異なる場合があるので、詳しくは依頼する企業にお問合せください。
7-1.制作会社へ問い合わせ
まずは制作を依頼したい会社に問い合わせをしてみましょう。目的やターゲット、メタバース空間のイメージや納期を伝えます。
参考となる事例があれば、一緒に伝えるとより具体的なイメージを伝えやすくなります。
7-2.見積もり・打ち合わせ
制作会社から見積もりをもらいます。3DCGでメタバース空間を構築する場合、数百万〜数千万円がボリュームゾーンです。
その後、制作会社が決まったら打ち合わせが始まります。打ち合わせの段階で、どのメタバースプラットフォームに公開をするのかも決定しておく必要があります。
7-3.企画(撮影)
メタバース空間のデザインや、必要な要素・機能などを決めていきます。
現実にある空間を再現する場合は、3Dスキャンのできる専用カメラなどを使って現地を撮影し、3D空間を生成します。上空など人の手では撮影できない部分を、ドローンを使用して撮影する場合もあります。
7-4.制作
3DCGの制作ソフトを使って専門スタッフが制作を進めていきます。メタバース空間の規模や広さにもよりますが、およそ1ヶ月〜4ヶ月ほどで制作します。
自社でメタバースプラットフォームを運営している制作会社であれば、1ヶ月以内で制作可能なケースもあります。
7-5.納品
メタバースのプラットフォームに完成した空間をアップロードして納品となります。
7-6.運用
メタバースを制作して終わりではなく、定期的なイベント開催やプレゼントの実施など継続的に使ってもらえるような工夫が必要です。
8.まとめ
メタバースと旅行・観光業は非常に親和性の高いジャンルと言えます。
アバターとはいえ、メタバース空間に入れば現地の雰囲気を味わいながら交流、ショッピングやレジャー体験ということができるようになります。
「行きたくても行けない」「事前に下見をしたい」。そんな旅のニーズを満たすメタバース旅行が、旅行・観光業の次なる起爆剤となるかもしれません。
メタバースtipsを運営する(株)リプロネクストは旅行・観光業のメタバース活用について企画から制作までサポートいたします。「こんなメタバースは作れるだろうか」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
「Metaverse tips」は株式会社リプロネクストが運営しています。
ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。