- 2023/08/25
- 2024/07/25
PLATEAU AWARDとは?特徴や過去の受賞作品を紹介
2020年から国土交通省が主導で行っている、3D都市モデルのオープンデータ化プロジェクト「PLATEAU(プラトー)」。そのPLATEAUの一環として2022年から「PLATEAU AWARD」が始まりました。
PLATEAUは社会実装に向けた段階に入っており、実装に向けたきっかけ作りの一環としてPLATEAU AWARDがあります。
本記事では、PLATEAU AWARDのメリットや過去の受賞作品を紹介します。
PLATEAU AWARDに応募を検討している方や興味のある方は、ぜひご覧ください。
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目次
1.PLATEAU AWARDとは
PLATEAU AWARDとは、国土交通省が主催する「PLATEAU(プラトー)」のオープンデータである3D都市モデルのさらなる可能性の創出を目的としたコンテストです。
さまざまなエンジニアやクリエイターなどが持つ技術と、3D都市モデルのデータを組み合わせ、まだ世に出ていない新たな価値が生み出されることも、PLATEAU AWARDの狙いです。
2.PLATEAU AWARDに応募するメリット
PLATEAU AWARDに応募するメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 日本の約130都市分のオープンデータを活用して、先進的な技術開発が可能
- PLATEAUの活用事例としての周知や開発した技術の社会実装のきっかけ作りが可能
- PLATEAUコミュニティへの参加やパートナー企業とのヒアリング等の支援が受けられる
PLATEAU AWARDに応募し受賞した場合、受賞したアイデアはメディアへ取り上げられるほか、活用事例として周知が可能になります。将来的な社会実装を目的として作品を作っているケースもあるため、応募するメリットは大きいと言えるでしょう。
3.PLATEAU AWARD2022の受賞作品
2022年は学生やエンジニア、クリエイターなどの応募者から約70作品もの応募がありました。
一次審査を経て勝ち残った17作品が、最終審査会にて作品についてのプレゼンテーションを行い、6作品が受賞しました。ここでは、昨年受賞した作品の内容を紹介します。
3-1.グランプリ・UI-UX賞
グランプリに輝いたのは、北海道の学生チーム「シマエナガ」の「snow city」がUI-UX賞とのダブル受賞となりました。
snow cityはPLATEAUの3D都市モデルを活用して生成した街並みをスノードームへ入れて楽しむといった作品です。現在は札幌・東京・名古屋・横浜・大阪の5都市が再現されており、雪のパーティクルが幻想的な雰囲気を引き立たせています。
作品作りにおいては、テクスチャの削減や解像度を下げるなど軽量化にこだわって作られました。現時点では建物が中心となっていますが、将来的には道路などの周辺の景観も組み合わせて、スノードーム内で再現できればと考えているとのことです。
3-2.マッドデータサイエンティスト賞
マッドデータサイエンティスト賞には、株式会社大林組の上田博嗣氏の「都市環境を対象としたクラウド解析ツール群『PLATEAU Tools』」が受賞しました。
情報を得るためには「解析」を行いますが、その際にさまざまな専門知識や手作業が必要であることから、作業が数日〜数週間かかっている状況でした。上田氏は非効率な状況を変えて、手軽に情報の取得ができるようにと「PLATEAU Tools」の開発に着手。
その結果、最大で3つのキーワードを入力するだけでPLATEAUを活用した都市環境を自動で評価できるツールが出来上がりました。そのほか、気象庁のデータと連携して風環境の変化を自動解析するツールも搭載し、風速の予想や日射解析もできるように。
ツールはすべてオープンソースの解析ソフトで構築されており、ソフトウェアのライセンスを気にせずに利用できる点も特徴の一つです。
3-3.イノベーション賞
イノベーション賞に選ばれたのは、ORSHOLITS Alexの「PLATONE プラトーン」でした。
PLATONEはPLATEAUのデータを活用して、街中で立体音響を体験できます。PLATEAUと音は一見すると関係がないように思いますが、周辺環境の形状や材質が異なると耳に入ってくる音も異なります。
そこで、PLATEAUの3D都市モデルを活用して空間オーディオを生成。また、屋外での使用に向けてウェアラブル装置のプロトタイプを開発し、ユーザーの位置と方位のデータを取得できるようにしました。
PLATONEを使用することで、音を利用して直感的な情報の伝達が可能となります。日本橋にある麒麟像に近づくと麒麟のうなり声が聞けるほか、馬車が通る音などが聞けるといった体験も可能です。
PLATONEは観光客のほかアーティストや視覚障害者などさまざまなシーンで活用できるツールであり、今後も用途拡大に期待がかかります。
3-4.エモーション賞
エモーション賞は、きっポジ@KITPOSITIONの「マルチプレイ対応VRAR連動アプリ『VARAEMON』」が受賞しました。VARAEMONは「現実の街でロボットを操縦したい」との思いから開発され、VRヘッドセットとスマホを使ってロボット対戦が楽しめる仕様です。
AR・VRと現実世界を結びつけるべく、Photon Fusionを使用して座標を同期。ユーザーの現在位置を原点にし、常時モデルデータの生成が可能となりました。3DCGを建物の後ろに隠す際、PLATEAUを使用してオクルージョンを設定。また、特殊なマスクを使用したシェーダーを建物に重なるように表示させ、CGが隠れるようにするといった技術も取り入れています。
今後の展開については、大掛かりな活用方法になることからイベントでの活用になるときっポジ氏は語っています。また、教育シーンや製造制作などでの使用もあるでしょう。
3-5.データ活用賞
データ活用賞は、HollowByte合同会社 米田将氏の「情報加算器」が受賞しました。情報加算器は、PLATEAUが提供しているオープンデータに、さらに情報を追加できないかと考えたことがきっかけで開発されました。
Webアプリで利用できるため、インストールの必要がなく誰でも気軽に使用できる点が特徴。アプリを開いてCityGMLファイルをドラッグ&ドロップすると住所や郵便番号、周辺施設といった情報が追加されます。
コードを使うことなく簡単な操作だけで一度に情報が付加されることから、プログラミングの知識がない人でもリッチなデータが作れる点に可能性を感じる作品です。
3-6.PLATEAU賞
PLATEAU賞は、PLATEAU Window’sの「PLATEAU Window」が受賞しました。PLATEAU Windowには以下の6つの機能が利用できます。
- 住所検索
- 階数設定
- 窓位置設定
- 天候再現
- 風景体験
- 時事閲覧
日付と時間を入力すると、Googleマップから住所がジオコーディングされてCityGMLに紐付けされます。その次に部屋の高さを設定すると、部屋から景色が一望できます。
画面上にはさまざまな情報が表示されており、地理座標と時間に応じた天候の表現も可能。
部屋の中を方向キーを使って歩くことができるほか、数字キーで時間の早送りや巻き戻しもできます。
TwitterAPIを活用して現在地周辺のジオタグ付きツイートを画面上に表示させることも可能です。画面上に表示されている風船をクリックすると、ツイートが表示される仕組みとなっています。
今後はユースケースやロードマップの制定、用途に応じたマルチプラットフォームの展開を進めていくと開発者は語っています。
4.PLATEAU AWARDの募集内容
PLATEAU AWARDは、PLATEAUが提供する3D都市モデルが使われているものであれば、ジャンルの制限はありません。自分が一番得意とするジャンルや、興味のあるジャンルで挑戦するなど自由に選択できます。
主な作品のタイプは以下の通りです。
- 商用サービスやエンターテイメント系アプリ
- アート作品や動画やゲームといったコンテンツ
- 都市開発を目的としたシミュレーション・制作活用ツール
- データ変換ソフトウェアなど3D都市モデルの利便性向上を目的としたツール
上記のタイプ以外にもさまざまなタイプが審査対象となっています。また、個人のアイデアや事業化されているソフトウェアなど、作品の熟練度も問いません。
PLATEAU AWARDには、教育機関や研究機関などの団体のほか個人での応募も可能です。また、団体の人数や年齢の制限もないため、チャレンジしてみたいと思った人はぜひ応募を検討してみましょう。
5.まとめ
PLATEAU AWARDは、PLATEAUが提供する3D都市モデルの幅広い活用を目的としたコンテストです。エンジニアやクリエイターの技術との組み合わせで、さまざまシーンで活用が期待できる作品が出展される点が魅力でしょう。
PLATEAUのオープンデータが今後も増えていきますが、その分3D都市モデルを活用した世の中の役に立てられるツールの誕生が期待されます。
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