- 2024/08/08
- 2024/08/16
大学の魅力を発信する方法とは?今注目のメタバースの事例も紹介
少子化が進む中、大学にとって生き残り戦略が課題となっています。 学生の獲得競争が激化する中で、どのように自校の魅力を発信していくかが重要に。従来のパンフレットやウェブサイトだけでなく、最新技術を活用した新しいアプローチが注目されています。
そこで今回は、近年注目を集めている「メタバース」を活用した大学の魅力発信について、そのメリットや具体的な活用事例を交えてご紹介します。
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目次
大学の魅力を発信する方法、注目のメタバースとは?
メタバースとは、インターネット上でアバターを通じてコミュニケーションが取れる仮想空間のこと。利用者はアバターと呼ばれる自分の分身を通じて、現実世界のように活動したり、コミュニケーションを取ったりできます。
大学では、従来の大学案内やオープンキャンパスに加え、メタバース空間を活用した情報発信が注目を集めています。 仮想空間上に大学キャンパスを再現したり、イベントを開催したりすることで、従来の手法では難しかった没入感のある体験を提供できることが魅力です。
大学の魅力を発信する理由
大学が積極的に魅力を発信する理由は、主に以下の3つです。
大学の認知度を高めるため
大学の魅力を発信することで、より多くの受験生に大学の存在を知ってもらい、受験を検討する大学の一つに選んでもらうことを目指します。特に、地方の大学は首都圏の大学に比べてオープンキャンパスへ参加する物理的ハードルが高いため、まずはHPやSNSなどで情報発信し、興味を持ってもらうことが重要です。
大学のブランドイメージを高めるため
大学が持つ理念や教育方針、研究成果、卒業生の活躍などを発信することで、大学に対するイメージを向上させることを目指します。ブランドイメージを高めることで、学生や保護者の大学に対する信頼感や好感度が向上し、結果的に、志願者数増加や優秀な学生の集客が期待できるでしょう。
入学希望者を増やすため
少子化が進んでいる今、安定した大学運営の基盤となる入学希望者の確保は、大学の存続に不可欠です。
日本私立学校振興・共済事業団の調査によると、令和5年度全国の私立大学の53.3%が、入学者数が定員割れしたという結果でした。このことから、入試希望者が集まらないと大学の存続さえ危うくなってしまいます。
入試希望者を増やすためには、受験生が「この大学に行きたい!」と思えるような情報を発信し、「入学したい!」という気持ちを維持してもらう必要があります。特に、オープンキャンパスなど、直接学生とコミュニケーションが取れるイベントで、親近感や信頼感を持ってもらうことが重要です。
参考:日本私立学校振興・共済事業団『経営改善計画立案・実施のための参考資料』
効果的な大学の魅力発信を実現する4つのポイント
受験生が抱えている進路への不安などのニーズは、情報や資料を提供するだけの一方通行な発信では満たすことはできません。受験を控える高校生が求めている情報をリサーチし、受験生にとって「身近な存在」になりながら「背中を押してあげる」ことが大切です。効果的に大学の魅力を発信するために、以下の4つのポイントを紹介します。
ターゲットの学生のニーズを知る
志願者や在学生のニーズを把握し、それに合わせた情報発信を行うことが重要です。特に地方の大学では学生が興味を持ってくれたとしても、距離や時間、金銭的な面から大学を訪れることが難しい場合が多いです。
そのため、受験に関する情報だけでなく、入学後のキャンパスライフが具体的にイメージできるような情報提供をするのも良いでしょう。例えば、学校での授業風景や、地方ならではの学校周辺の魅力をリアルに伝えることで、学生が充実したキャンパスライフを想像しやすくなります。これにより、受験時に安心感を持ってもらえます。
強みをアピールし、他大学との差別化を図る
多くの大学の中から高校生に進学先として選んでもらうには、他大学とは違う強みが必要です。学べる学部学科、キャンパスライフ、立地、進路状況などを表面的に伝えるのではなく、独自のプログラムや施設、研究成果などを具体的に紹介し、「その大学ならでは」「その大学らしさ」が伝わる魅力をリアルに発信することが大切です。
ブランドイメージを統一する
学生に伝えたい「自校のブランドイメージ」を学内で共通認識することが重要です。自校のブランドイメージの統一は、ロゴやカラーなどの視覚的要素だけでなく、理念やメッセージの統一も重要です。
大学案内やホームページ、公式SNSアカウントなど、さまざまな情報発信ツールを用いる場合でも、ブランドイメージを統一した発信を続けることで「この大学らしい」とイメージが定着していき、確固たるブランドを築くことができます。
受験生(高校生)のサポートをしながらアプローチ
大学の魅力を発信する上で、HPやSNSの活用は有効ですが、受験生(高校生)は進路選択に不安を抱えていることが多いでしょう。そのため、寄り添いながらサポートすることで安心感を与え、信頼関係を築くことが重要です。
具体的なサポートとしては、個別相談、オープンキャンパス、模擬授業の実施などが考えられます。受験生はこれらの体験を通して大学生活をイメージし、自分に合った進路を見つけやすくなるでしょう。また、大学をよく理解してから入学することで、高いモチベーションを持って入学でき、入学後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
このような受験生をサポートするアプローチ方法は、受験生だけでなく大学側にとっても大きなメリットがあります。高校生と直接コミュニケーションを取る機会を増やすことで、大学側はリアルタイムで受験生のニーズや関心を直接把握できるようになり、より魅力的な情報発信やプログラムの改善につながるでしょう。
メタバースで魅力発信すると得られる5つのメリット
近年、新しいアプローチ方法として活用し始めているメタバース。メタバース空間を活用して大学の魅力発信を行う際の5つのメリットを解説します。
1.365日24時間情報発信できる
時間や場所にとらわれず、PCやスマートフォン、タブレットなどのデバイスから気軽にアクセスできます。そのため、学生は好きなタイミングで、大学の情報を見て回れます。
また、メタバース内に掲示する画像や動画は大学側で簡単に変更できるため、常に新しい情報を提供し続けられます。
2.リアルのオープンキャンパスへの来場促進ができる
メタバースで現実の大学をリアルに再現し、高校生にキャンパス見学をしてもらうことで、「実際にはどんな感じなのだろう?」と興味を引き立て、実際のオープンキャンパスに興味を持ってもらうきっかけが作れます。
3.第2志望以降の学生にもアプローチできる
現状、特に第2志望以降の学校のオープンキャンパスには、金銭や時間、距離など物理的な制約で訪れることができない高校生が多くいます。大学に興味を持った高校生が「オープンキャンパスに行きたいけど、遠いから諦めた」となると大変もったいないです。
そこで、メタバースでオープンキャンパスを開催することで、遠方にいてもリアルのオープンキャンパスと同様に、在校生とのコミュニケーションや模擬授業を受けられます。これにより、メタバースオープンキャンパスをきっかけに大学への理解が深まり、志望度が上がることも期待できます。
4.キャンパスライフをリアルに想像してもらえる
メタバースは、現実のキャンパスを細かな装飾までリアルに再現できます。リアルに近い空間の中で、実際の学校での写真や動画を見ることで、入学後のキャンパスライフをよりリアルに想像してもらえます。特に、その大学ならではの設備や空間を再現すると、他大学との差別化が図れ、より大学の魅力を感じてもらえます。
5.他大学との差別化を図れる
メタバースを活用している大学はまだ多くありません。だからこそ、メタバースでオープンキャンパスや模擬授業などの取り組みを行うことで、最先端技術を取り入れた大学として他大学と差別化を図り、注目を集められます。
大学広報に役立つメタバースとは?活用方法やメリット、最新事例を紹介
メタバース×大学の事例
ここでは、実際にメタバース空間を活用して、魅力を発信している大学の事例を紹介します。
新潟工科大学:メタバースオープンキャンパス
新潟工科大学は、500社を超える企業が中心となり1995年に新潟県柏崎市に開学した、全国的にもほとんど例のない大学です。そのため、ものづくりにおいての設備が充実しています。
そんな新潟工科大学ならではの魅力を伝えるために、キャンパス内の特徴的な設備や空間をメタバースでリアルに再現し発信しています。PCやスマートフォンなどほとんどのデバイスで、こちらから空間に入れますので、ぜひご体験ください。詳細は以下を参照ください。
新潟工科大学様【メタバースオープンキャンパス】の詳細はこちら
比治山大学 比治山大学短期大学部:キャンパスライフ体験型オープンキャンパス
比治山大学は、参加申し込み不要、入退室自由のメタバースオープンキャンパスを実施しています。空間内では、各学科について、クラブ・サークル紹介、支援制度、学生の取り組みに関する動画などが見られます。エンタメ要素として、「秘密の部屋を探す」というゲーム性も用意されており、学生が楽しみながら大学の情報が知れる工夫がされています。
参考:比治山大学 比治山大学短期大学部
阪南大学:バーチャル阪南大学
実際の阪南大学のキャンパスをメタバースで忠実に再現しており、大学のキャンパスを疑似体験できます。空間内では、卒業生の活躍などの動画や写真なども見られます。さらに、アバターを通じて、学生・教員とリアルタイムで交流を楽しめます。
参考:阪南大学
東京女子大学:VRオープンキャンパス
出典:東京女子大学
東京女子大学は、実際にキャンパスを訪れるのが難しい人、大学の雰囲気を知りたい人など、東京女子大学に少しでも興味を持った全ての人のために、美しいキャンパスを疑似体験してもらえるVRオープンキャンパスを実施しました。東京女子大学のキャンパスの一部を再現した2つの空間(昼・夜)と、コミュニケーション専攻の学びに関するクイズに挑戦できる空間が整備されています。
参考:東京女子大学
成蹊大学:建設中の新キャンパスを見学
出典:成蹊大学
成蹊大学Society 5.0研究所は、仮想空間と現実空間を融合させることによって、社会課題を解決する研究開発や人材育成に取り組んでいます。その活動の一環として、新しく建設中の新棟を竣工前から誰でも体感できるリアルなメタバース空間を構築しました。
参考:成蹊大学
広島工業大学:メタバースサークル「HIT Metaverse」
「HIT Metaverse」はメタバース好きの人が集まる、広島工業大学のソーシャルメタバースサークルです。リアルとは違うメタバースならではのコミュニティーだからこそ、できることを日々模索しながら創造と挑戦を行っています。
参考:HIT Metaverse
株式会社MetaLab:メタバース学園祭「ME祭」
出典:株式会社MetaLab
株式会社MetaLabは、メタバース空間で専門的な技術を学べる「MEキャンパス」を運営しています。
MEキャンパスは、春と秋の年2回、メタバースで学園祭を開催しています。2024年春の開催では「エキシビションルーム」で展示された学生の作品を見学でき、さらにスペシャルゲストによるライブビューイングなどのイベントが行われました。
参考:株式会社MetaLab
メタバースプラットフォームとは?
メタバースプラットフォームとは、メタバースのサービスやシステムを動かすための「土台」となるソフトウエアや機器のことです。メタバース空間を構築できるプラットフォームは数多くありますが、ここでは代表的なものを4つ紹介します。より詳しく知りたい方は以下の記事を参照ください。
メタバースのプラットフォームを提供する国内・外企業14選!選ぶときのポイントも紹介
DOOR™
株式会社NTTコノキューが提供するメタバースプラットフォーム「DOOR」は、企業や自治体、教育機関向けに高機能なバーチャル空間を提供しています。アプリのダウンロードなどが不要で、ブラウザから直接アクセスできます。メタバースを体験したことがない人でも簡単に体験、操作できることが特徴です。詳細は以下のリンクを参照ください。
参考:Door NTT XR公式サイトはこちら
Cluster
クラスター株式会社が運営する「cluster」は、総ダウンロード数100万回以上、ユーザー数約800万人以上と、日本国内で人気のあるメタバースプラットフォームです。イベントなどの開催に向いており、多くの大学がオープンキャンパスやイベントで活用しています。
アプリを無料でインストールすると、HMDでの本格的な体験はもちろん、PCやスマートフォンなどほとんどのデバイスで楽しめるマルチデバイスに対応。詳細は以下のリンクを参照ください。
参考:Cluster公式サイトはこちら
VRChat
VRChatは、2014年にアメリカで設立された「VRChat Inc.」が運営するソーシャルVRプラットフォームです。グローバルに利用されているプラットフォームで、全て英語表記ですがクオリティの高い空間を作りたい場合や大規模イベントを開催したい場合に向いています。詳細は以下のリンクを参照ください。
参考:VRChat公式サイトはこちら
Spatial
Spatialは、アメリカのスタートアップ企業が運営するメタバースプラットフォームです。海外サービスなので全て英語表記ですが、リアリティのある空間やアバターが特徴で、現実世界に近いメタバースを表現したい場合に向いています。詳細は以下のリンクを参照ください。
参考:Spatial公式サイトはこちら
メタバース空間の作成する5ステップ
メタバースは大きく分けると、以下の5つのステップで制作します。
1.目的の整理・企画
メタバースを制作する際に一番大切なことは、背景や目的、ターゲット、ブランドイメージなどを明確にすることです。メタバースを作る目的を明確にすることで、ブランドイメージを崩さずに次のステップへスムーズに進められます。
2.空間の規模とイメージを決定
企画を元に、空間の規模や作りたい空間のイメージを決定します。例えば、大学のキャンパスを疑似体験してもらいたい場合はリアルに、大学のコンセプトやワクワク感を演出したい場合は非現実的にするなどがあります。
3.プラットフォーム選定
目的やターゲットにマッチするプラットフォームを選定します。例えば、ターゲットの多くがメタバースを利用したことがない人の場合、アプリ不要でブラウザから簡単にアクセスできるプラットフォームを選定すると、体験者がメタバースに入る心理的ハードルを下げられます。
4.空間設計・デザイン決め
どこに、何を配置するか、メタバース空間を訪れた人にどのような順路で回ってもらうかなど空間の詳細を設計します。
5.3DCGモデリング
空間設計とデザインが決まったら3DCGモデリングでメタバース空間を制作します。
まとめ
今回は、大学の魅力を発信する方法として、近年注目を集めているメタバースのメリットや活用事例を紹介しました。少子化が進む現代において、大学は進化する情報化社会の波に乗り、その魅力を効果的に発信していくことが求められています。従来の手法に加え、近年注目を集めているメタバースは、没入感のある体験を通して大学の魅力をより深く、そして広く伝えることができる革新的なツールです。
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