- 2024/08/01
- 2024/08/22
大学の知名度向上にメタバースを活用するメリットとは?活用事例や開発時の注意点、費用相場もご紹介
近年、少子高齢化の影響もあり、日本の各大学では知名度向上を目的としたさまざまな取り組みが実施されています。そのような中、メタバースを知名度向上に活用する大学が増加傾向です。
しかし、メタバースを大学の知名度向上にどのように活用するのか、わからない方は多いでしょう。
本記事では、大学の知名度向上にメタバースを活用するメリットや活用事例、開発時の注意点、費用相場などをご紹介します。
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目次
メタバースとは
最初に、そもそもメタバースがどのようなものかをおさらいしておきましょう。ここでは、メタバースの概要と大学がメタバースに注力する理由をご紹介します。
メタバースの概要
メタバースとは、インターネット上に構築された3Dの仮想空間を指します。「超越した」や「高次の」を意味する「メタ(meta)」と、「宇宙」を意味する「ユニバース(universe)」を組み合わせた言葉です。
ユーザーはアバターを通じてメタバースにアクセスし、他のユーザーと交流したり、経済活動を行ったりできます。例えば、集まって会話を楽しむことや、イベントやスポーツ、ショッピングを楽しむことも可能です。
メタバースにアクセスする方法としては、スマートフォンやPCでもOKですが、ヘッドマウントディスプレイを使用することで、より没入感のある体験が得られるでしょう。
メタバースの基礎知識については、以下の記事も併せてご参照ください。
大学がメタバースに注力する理由
近年、ゲームやイベント、ビジネスの分野で頻繁に聞かれるようになったメタバース。コロナ禍の影響もあり、大学をはじめとする教育機関での研究や活用が進んでいます。大学がメタバースに注力する理由は、以下のとおりです。
3Dコンテンツによる学習効果の向上
従来の2D教材では、立体的な構造を直感的に理解するのが難しいことはありました。しかし、3Dコンテンツを利用することで、生体の臓器の構造や機械の操作方法など、立体的な学習内容をより直感的に理解しやすくなります。
教育の時間的・地理的制約からの解消
メタバースを利用することで、大学の設備を活用した大規模な実験や、ゼミなどの双方向のコミュニケーションをリモートで提供できます。これにより、海外の学生や、通学が困難な学生にも学びの機会を提供することが可能です。
大学運営費の削減
メタバースの利用により、リアルの教室や集会場など、物理的に人が集まるための設備の必要性が低くなり、大学の設備を最小化できます。大学は設備維持費を削減し、その分の予算を研究や優秀な研究者の雇用に回せるようになるでしょう。
大学の知名度向上にメタバースを活用するメリット
大学が知名度向上にメタバースを活用するのは、以下のようなメリットが得られるためです。
- グローバルな露出が可能
- インタラクティブな体験を提供
- 革新的な教育の訴求
- コミュニティの形成
ここでは、それぞれの内容を確認しておきましょう。
グローバルな露出が可能
大学がメタバースを活用することで、世界中の学生や研究者と直接コミュニケーションを取れるようになるため、国際的な交流や協力が促進されます。グローバルな露出を通じて、大学の知名度向上や国際的な評判の向上が期待できる点がメリットです。
海外からの学生を募ることができるようになるため、魅力的な情報を発信できれば、受験者数の大幅な向上が期待できるでしょう。
インタラクティブな体験を提供
メタバース上で、ユーザーは自分のアバターを通じて直接的に体験できます。そのため、大学はキャンパスツアーやオープンキャンパスなどのイベントを仮想空間で開催し、参加者にリアルな体験の提供が可能です。
メタバースは没入型の体験を提供できるため、大学は学生に対してより実践的な学びを提供できます。例えば、3DコンテンツやVRを活用した生体の臓器の構造の理解や、機械の操作方法の学習を提供できるようになるでしょう。学生はアバターを通じてメタバース空間にアクセスし、他の学生や教員とコミュニケーションを取りながら学べます。
新的な教育の訴求
メタバースを活用することで、教育の時間的・地理的制約から解放されます。そのため大学は、遠隔地の学生ともリアルタイムでコミュニケーションを取りながら、能動的な体験学習の提供が可能です。
また、大学の設備を活用した大規模な実験やゼミなどもリモートで実施でき、学生に柔軟性のある学びの機会を提供できるようになります。
コミュニティの形成
メタバースはコミュニティの形成にも適しています。例えば、大学広場をVR空間で再現し、学生同士が交流する場を提供したり、新入生歓迎イベントをメタバース上で開催したりすることが可能です。
学生同士の交流や協力を促進し、大学内外のコミュニティを形成できます。
メタバースを活用したコミュニティの詳細は、以下の記事をご参照ください。
【コミュニティ×メタバース】メリットや活用方法を参考事例とともに解説
大学におけるメタバースの活用事例
実際に、大学はどのようにメタバースを認知度向上に活用しているのでしょうか。ここでは、国内外の大学におけるメタバースの活用事例を6つご紹介します。
スタンフォード大学
スタンフォード大学は、Meta(旧Facebook)が開発した「Virtual People」というVRプラットフォームを積極的に活用しています。学生が仮想キャンパスで実際のシナリオを体験し、専門的なスキルや知識を身につける機会を提供している点が特徴です。
例えば、建築学の学生は仮想空間で建物の設計や模型作成を行い、リアルな環境での実践的なスキルを磨けます。同大学はVRプラットフォームを活用することで、学生の教育体験を豊かにし、次世代の専門家を育てています。
金沢工業大学
金沢工業大学の教員は、メタバースを活用してオフィスアワーを効率的に行っています。学生にとっても、仮想空間で教員と対話し質問や相談を気軽に行えるため、コミュニケーションのハードルが低くなっているのはメリットです。
また、遠隔地からの学生も参加できるため、多様な学生とのコミュニケーションが促進されています。このように同大学は、メタバースを通じて学生と教員のコミュニケーションを円滑にし、学習環境を向上させているのが特徴です。
東京女子大学
東京女子大学は、大学広場をVR空間で再現しています。学生たちは自由に移動し、各学部のブースを訪れることが可能です。VRオープンキャンパスでは、学生募集の説明会や模擬授業を行い、遠隔地からの受験生に大学の魅力を伝えています。
同大学はメタバース活用により、国内外の学生に対して魅力的な学習環境を提供しています。
東京大学
東京大学では、新入生歓迎イベントをメタバース上で実施しています。仮想空間でのオリエンテーションや交流会を通じて、新入生同士のつながりを深め、大学生活のスタートをサポートしています。また、同大学のメタバース工学部では、メタバースを活用して、中高生や社会人向けの講義やイベントを提供している点も特徴です。
デジタル技術を駆使した工学分野における教育の場を提供し、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材の育成を目指しています。例えば、中高生向けの授業や体験型演習を実施。工学の学びや卒業後のキャリアを伝えたり、社会人向けのプログラムで、最新の工学や情報学を学び、DX人材を育成したりしています。
新潟工科大学
新潟工科大学は、アバターになってバーチャル空間の中を散策できる「メタバースオープンキャンパス」を公開しています。リアルとバーチャルを交差させた空間で、学生食堂、風洞実験室、ものづくり工作センター、大講義室など、本学の特徴的な施設や設備を体験できるのが特徴です。アバターとしてバーチャル空間を散策することで、キャンパスの雰囲気や学生生活を感じられるでしょう。
また、新潟工科大学の研究成果や学問の面白さに触れる機会もあります。バーチャルな環境で、先生方や学生と交流したり、質問をしたりすることも可能です。
リプロネクストがお手伝いした、新潟工科大学のメタバースオープンキャンパスの詳細は、以下でご確認いただけます。
徳島大学
徳島大学は、VRキャンパスツアーを通じて、学生や保護者にキャンパスの魅力を伝える取り組みを行っています。このツアーは、まるで実際にキャンパスを歩いて回っているかのような感覚で視聴でき、徳島大学の情報をわかりやすく伝えるために制作されました。外観や建物の説明だけでなく、学科や学部の使用する建物も詳しく紹介されており、高校生にとって実際のキャンパスライフのイメージを具体的に伝えています。
また、専用機器やアプリ不要でアクセスできるため、スマホやPCから簡単に利用できることも特徴です。さらに、徳島大学マスコットキャラクター「とくぽん」も登場し、徳島大学ならではのキャンパスツアーを体験できます。入学前に大学の雰囲気を確かめられるため、学生にとってもメリットは大きいでしょう。
リプロネクストがお手伝いした徳島大学のVRキャンパスツアーの詳細は、以下でご確認いただけます。
メタバース開発時の注意点
大学の知名度向上にメタバースを活用するのは有用ですが、開発時にはいくつかの点に注意しなくてはなりません。ここでは、メタバース開発時の注意点を4つご紹介します。
セキュリティとプライバシーの確保
メタバースは匿名性が高く、バーチャル空間で出会った素性のわからない相手から攻撃を受ける可能性があります。特に未成年や子どもの利用においては、ルール整備とセキュリティ対策が必要です。例えば、ユーザーの個人情報を保護するための暗号化技術の導入や、不適切なコンテンツに対するフィルタリングシステムの設置などが求められます。
また、ユーザーが自分のプライバシーを自由に管理できるように、プライバシー設定のオプションを提供することも重要です。
ユーザーエクスペリエンス(UX)の最適化
メタバースを開発するうえでは、使いやすさや快適さが重要です。ユーザーがストレスなく利用できるよう、直感的なUI/UX設計を行いましょう。具体的には、ユーザーが簡単にナビゲートできるようなインターフェースの設計や、バーチャル空間内での移動や操作が自然で直感的に行えるような機能の開発が必要です。
また、ユーザーが自分の興味やニーズに合わせてカスタマイズできるようなオプションを提供することも、ユーザーエクスペリエンスの向上に寄与します。
コンテンツの質とバラエティ
メタバース内で提供するコンテンツは、多様で魅力的であるべきです。教育、交流、エンターテインメントなど、幅広い要素をカバーすることでユーザーの興味を喚起できます。さまざまな学習リソースやワークショップ、ソーシャルイベント、ゲームなどのコンテンツを提供しなくてはなりません。
また、ユーザーが自分自身のコンテンツを作成し、共有できるプラットフォームを提供することも、コミュニティの活性化に寄与します。
運用と管理の体制構築
メタバースの運用や管理を行う場合、専門的な知識が必要です。大学内の運用体制を整え、適切な管理者を配置することで円滑な運営を実現しましょう。具体的には、メタバースの技術的な側面を理解し、問題が発生した際に迅速に対応できる専門スタッフの配置や、コミュニティのルールを守るためのモデレーターの配置などが求められます。
また、ユーザーからのフィードバックを収集し、それをもとにサービスの改善を行う仕組みを設けることも重要です。
メタバース開発の費用相場と変動要素
メタバースの開発にかかる費用は、プロジェクトの規模や複雑さ、求められる機能によって大きく異なります。一般的な相場として、現段階でのメタバース制作の費用は100万円から1,000万円超と幅広いです。ただし、大手企業規模のプロジェクトでは数千万円から億単位の規模になることもあります。メタバースの開発は多くの専門知識と技術を必要とし、その複雑さと規模により費用が大きく変動するためです。
ここでは、メタバースを開発する費用が変動するおもな要素を確認しておきましょう。
技術の選択
使用する技術やプラットフォームによって、メタバースの開発費用が変わります。特に、既存のメタバースプラットフォームを活用する場合と、完全オリジナルの開発を行う場合では大きく異なるため注意が必要です。
例えば、UnityやUnreal Engineなどの既存のゲームエンジンを使用すると、開発時間を短縮できる反面、ライセンス費用が必要になる場合があります。一方、完全にオリジナルのメタバースを開発する場合、開発コストは高くなりますが、完全に独自の世界を作り出すことが可能です。
構築の独自性
プロジェクトの独自性や、カスタマイズ度合いも費用に影響を与えます。一般的なメタバースのプラットフォームを使用する場合、多くの基本的な機能が提供されています。
しかし、特定のニーズに対応するためには、追加の開発が必要になる場合が多いでしょう。そのため、追加の開発時間とコストを必要とします。
リサーチ・企画・ディレクション
プロジェクトの計画段階での正しい知識が、費用対効果を高めるために重要です。メタバースの開発は、技術的な側面だけでなく、ユーザーエクスペリエンスやビジネスモデルの設計も含まれます。これらの要素を適切に計画し、ディレクションすることで、プロジェクトの成功率を高めることが可能です。
予算内でプロジェクトを成功させるためには、目的や求める柔軟性を考慮して、最適な技術とプラットフォームを選択しなくてはなりません。また、メタバースの導入についても、利用目的別にコストを理解し、プロジェクトを進めていくことが重要です。
そのため、初期のリサーチと企画段階での適切な知識と経験が求められます。したがって、メタバース開発を成功へ導くために、場合によってはメタバースの専門業者への相談も視野にいれましょう。
まとめ
大学の知名度向上にメタバースを活用することは、多くのメリットがあります。メタバースを通じてグローバルな露出が可能となり、学生や研究者との国際的な交流が促進されます。
また、仮想空間でのキャンパスツアーやオープンキャンパスの実施により、遠隔地の学生にも大学の魅力を伝えることが可能です。メタバースを活用することで、教育の時間的・地理的制約を解消し、学生に対してインタラクティブで革新的な学びの機会を提供することもできます。
ただし、開発時にはセキュリティやプライバシーの確保、ユーザーエクスペリエンスの最適化、コンテンツの質とバラエティ、運用と管理の体制構築が重要です。費用はプロジェクトの規模や複雑さにより変動し、適切な技術選択と計画が成功の鍵となります。
メタバースを大学の知名度向上に活用したい場合は、リプロネクストにご相談ください。数多くのメタバースのサービスを立ち上げた経験と実績がありますので、大学の知名度向上のお手伝いをいたします。
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