- 2024/11/08
- 2024/11/14
大学の雰囲気をメタバースで伝えよう│新しい大学の魅力の伝え方
近年、大学選びにおいてキャンパスの「雰囲気」を体感することがますます重要視されています。しかし、遠方に住んでいたり、忙しくて現地を訪れる時間がない学生にとって、直接訪れることは簡単ではありません。
そこで登場したのが「メタバース」です。
バーチャル空間でリアルな体験を提供するメタバースは、大学の魅力を新たな形で伝えるための有力な手段となっています。本記事では、大学の雰囲気をメタバースで伝えるメリット、事例、注意点などを詳しく解説していきます。
大学の雰囲気や魅力を学生たちにどう伝えようか迷っている大学関係者の方は、ぜひ本記事を参考になさってください。
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目次
はじめに:メタバースの急成長と大学教育への導入
メタバースという言葉は、ここ数年で急速に広まり、特に教育分野でメタバースの可能性が議論されています。特に新型コロナウイルスの影響で、リモート教育やオンライン学習が急速に普及する中、よりインタラクティブで没入感のある体験を提供する手段としてメタバースが注目されています。
メタバースを活用すると、物理的な制約に縛られずに学生や教職員が仮想空間内でリアルタイムに交流できるだけでなく、キャンパスの魅力を視覚的に体感することが可能になります。
また、メタバースはオープンキャンパスや説明会に限らず、実際の授業や学生生活そのものへの応用も可能です。バーチャル教室での講義や実習、キャンパス内での学生同士の交流など、さまざまな場面でリアルを超えた学びの場を提供しています。
今後、大学教育においてもメタバースの導入が進み、学生の学習体験がさらに広がることが期待されます。
メタバースの定義と自社事例の紹介
メタバースとは、仮想現実(VR)技術を活用して構築された、ユーザーが相互にやりとりできるデジタル空間のことを指します。インターネット上に存在するこの空間では、ユーザーは自分のアバターを通じて活動し、他のユーザーとの交流や体験を共有することが可能です。
メタバースは、もともとゲームやエンターテインメント分野で注目されていましたが、最近では教育やビジネス、医療分野でも活用が進んでいます。特に教育分野では、バーチャル空間を活用することで物理的な制約を超えた学びの場が提供され、学生たちは世界中どこにいても、同じ授業や体験に参加できるようになりました。
株式会社リプロネクストでも、メタバース空間の開発に積極的に取り組んでいます。その一環として、鹿児島大学教育学部附属小学校からの依頼を受け、高学年向けの英語学習用メタバース空間を制作しました。
このメタバース空間は、生徒が親しみやすい環境を提供することを目指し、スーパーマーケットやフードコートなどが並ぶショッピングモールを再現しています。
生徒たちはアバターを使って参加し、店員や客を演じながら英語での買い物体験を通して楽しみながら英語を学べるようになっています。
鹿児島大学教育学部附属小学校 様 【英語授業向けメタバース制作】
大学選びにおける「雰囲気」の重要性
大学選びにおいて、「雰囲気」を感じることは重要な要素の一つです。学生が実際にどのような環境で学び、どのような人々と交流するかは学業の成功や充実したキャンパスライフに大きく影響します。
特に大学生活では学業以外にもクラブ活動やサークル、学内イベントなど、日常生活の多くの時間を大学のキャンパス内で過ごすため、どのような環境であるかを事前に把握することは大切です。
実際のキャンパスに足を運ぶことが難しい場合でも、パンフレットやWebサイトだけでは伝えきれない「大学の空気感」を感じ取ることができる手段が求められています。メタバースは、学生が仮想空間を通じて大学の雰囲気をリアルに体感するためのツールとして効果的です。
メタバースを活用して大学を選ぶメリット
ここでは、メタバースを活用した大学選びのメリットについて詳しく見ていきましょう。
場所に縛られず大学の雰囲気を体感できる
メタバースの最大の魅力は、物理的な距離に関係なく、どこにいても大学の雰囲気を体感できる点です。
これまでのオープンキャンパスや説明会では、学生が実際に現地に赴く必要がありましたが、メタバースを活用すれば自宅にいながらキャンパスツアーを体験できます。
バーチャル空間では建物や教室、図書館、学生寮など、大学内の様々な施設を自由に歩き回ることができ、直感的に大学の雰囲気をつかむことができます。
遠方の学生や海外の学生にも大学の魅力が伝わる
遠方に住む学生や海外からの留学生にとって、メタバースは大学の魅力を感じるためのツールとして有効です。物理的な制約を超えて国内外問わず多くの学生が、時間や費用をかけることなく複数の大学を比較できるようになります。
また、メタバースオープンキャンパスでの体験を通じて、留学生としての不安を軽減し、実際に入学後の生活がどのようなものかを事前に把握できる点も大きいでしょう。
在学生や教授とのリアルタイムでのやり取りが可能
メタバース上では、在学生や教授とのリアルタイムでの交流も可能です。
交流を通じて大学のコミュニティをよりリアルに感じることができ、入学後にどのような環境で学び、生活するのかを具体的にイメージすることができます。
学生同士の交流はもちろん、教授と直接話をすることで、授業のスタイルや研究内容について深く理解できる機会も増えます。
メタバースを導入している大学の事例
ここでは、授業やイベントにメタバースを導入している大学の事例を紹介します。
角川ドワンゴ学園
株式会社ドワンゴが運営する通信制高校「角川ドワンゴ学園」の普通科では、2021年4月からVRを活用した授業が導入されています。
生徒にはVRヘッドセットが配布され、同校が提供する教材の大半はVRに対応しています。従来の紙を使った学習が中心だった授業スタイルが、3D教材を用いた授業を取り入れているほか、歴史的に有名な場所をVR上で訪れることができるなど、リアルに近い体験に重点を置いた新しい形の授業に進化しました。
金沢工業大学
金沢工業大学では、学生同士の交流やオフィスアワーの活用を促進するために、バーチャルオフィス「oVice」を導入しています。
学生は「oVice」を通じて、教授に質問をしたり、他の学生と一緒にレポート作成やテスト勉強に取り組むことが可能です。教授側も「oVice」を活用して、学生に対して授業満足度アンケートを実施したり、成績が低迷している学生への個別フォローを行うことができます。
その結果、従来よりも学生のオフィスアワー利用率が向上しただけでなく、授業への満足度も高まるといった効果を得られました。
東京女子大学
東京女子大学では、メタバースプラットフォーム「cluster」を活用して、VRオープンキャンパスを開催しました。このイベントは、心理・コミュニケーション学科のコミュニケーション専攻に所属する学生有志が企画し、実際にキャンパスを訪れることが難しい方や、東京女子大学の雰囲気を知りたい方を対象に行われました。
2023年度のVRオープンキャンパスでは、学内の広場である「VERA広場」をメタバース上に忠実に再現し、以下のようなコンテンツが提供されました。
- 個別相談ができる1on1相談室
- クイズ形式で進行するワークショップ
- VERA広場での花火イベント
このように、バーチャル空間を通じて東京女子大学の魅力を体感できる機会が提供されました。
東京大学
東京大学では、2022年度の新入生歓迎オリエンテーションをメタバース空間にて実施。新入生たちは、スマートフォンやPCを使って「バーチャル東大」にアクセスし、オンライン上で各サークルの説明を受けることができました。
さらに、メタバース空間内に再現された安田講堂前広場に個々のアバターで集まり、自由に交流を楽しむ場も設けられました。
この企画を主導したVRセンターは、新歓オリエンテーションに限らず、今後も学内外での教育や研究、学生活動においてメタバースを積極的に活用する取り組みを推進していくと発表しています。
おすすめのメタバースプラットフォーム
メタバースを広報活動に活用する際は、適切なメタバースプラットフォームの選定が重要です。ここでは、大学の広報活動におすすめのメタバースプラットフォームを5つ紹介します。
The Sandbox
The Sandboxは、ユーザーが自分のゲームやコンテンツを作成し、他のユーザーと共有できるメタバースプラットフォームです。大学はこのプラットフォームを利用して、学生が参加できる仮想の学習環境を作成できます。
また、The Sandboxはユーザーのクリエイティブな表現をサポートする特徴があり、学生が自分のアイデアを形にする場としても最適です。
参考:The Sandbox
DOOR
DOORはNTTが開発したメタバースプラットフォームで、リアルタイムのコミュニケーションが可能です。ユーザーはアバターを操作し、仮想空間内を自由に探索できます。
大学の広報活動では、オープンキャンパスや説明会などのイベントを仮想空間で開催することができます。学生は大学の雰囲気を体感し、自身の学びのイメージをより具体的に描けるでしょう。
さらに、VRデバイスを使用することで、より臨場感のある体験を提供することも可能です。
参考:DOOR
NTT XR Space WEB
NTT XR Space WEBは、NTTが提供するもう一つのメタバースプラットフォームで、DOORと同様にリアルタイムでのコミュニケーションをサポートします。特に教育やビジネスに適しており、大学の広報活動にも有効です。
また、VRデバイスを活用することで、学生が大学の施設や環境を詳細に体験できるため、よりリアルな大学体験が可能になります。
参考:NTT XR Space WEB
Decentraland
Decentralandは、ブロックチェーン技術を基盤としたメタバースプラットフォームで、ユーザーが自分の土地を所有し、建物を建てたりイベントを開催したりできます。
大学はこのプラットフォーム上に仮想キャンパスを構築し、学生に独自の体験を提供することも可能です。さらに、ブロックチェーン技術による所有権の透明性やセキュリティも保証されており、信頼性の高い広報活動が行えます。
参考:Decentraland
Roblox
Robloxは、ユーザーが自らゲームを作成し、他のユーザーと共有できるプラットフォームです。大学はこのプラットフォームを通じて、学生が参加できる仮想学習環境を提供できます。
Robloxは特に若い世代に人気が高く、大学の広報活動において新しいターゲット層の開拓が可能です。さらに、教育プログラムも提供しており、学生はプログラミングやゲームデザインのスキルを学ぶこともできます。
参考:Roblox
メタバース導入における費用対効果
メタバースの導入は、大学の魅力を新たな形で伝える画期的な方法ですが、その一方で費用面の検討が欠かせません。仮想空間の構築や維持には一定のコストが伴うため、事前に必要な費用を見積もった上で効果的な運用を見据えた導入計画が重要です。
ここからは、メタバース導入にかかる具体的な費用と、費用に見合う効果をどのように判断すべきかについて解説します
必要な費用
メタバースを導入する際には初期費用や運用コストが発生します。例えば、仮想空間を構築するための技術的な準備やプラットフォームの使用料、学生や教職員がアクセスするためのデバイスが必要です。
大学によっては、バーチャルオープンキャンパスをカスタマイズするための追加費用がかかる場合もあります。これらの費用を事前に見積もり、予算に合わせた導入計画を立てることが重要です。
費用対効果
メタバースの導入による費用対効果を評価する際、単にコストの面だけでなく、学生の満足度や入学率の向上といった成果も考慮する必要があります。特に遠方や海外からの学生の興味を引くことができるため、将来的な学生数の増加が期待されます。
また、メタバースオープンキャンパスは一度構築すれば長期間にわたって利用が可能です。そのため、実際のオープンキャンパスの開催コストと比べても長期的なメリットがあります。
メタバース活用のデメリットと課題
メタバースは大学選びや教育の新たな手段としてさまざまな可能性がありますが、一方でデメリットや課題もあります。ここでは、メタバースの活用に伴うデメリットや課題について解説します。
技術的なハードル
メタバースを活用する際の課題の一つは技術的なハードルです。学生や教職員が必要なデバイスやインターネット環境を持っていない場合、受験生が求める体験を提供することが難しくなります。
また、プラットフォームの操作に慣れていないユーザーにとっては、バーチャル空間での操作が難しい場合もあります。そのため、大学側は技術サポートの充実や、アクセスしやすいインターフェースの提供が必要です。
リアルな体験と比較したときの限界
メタバースは非常にリアルな体験を提供できる一方で、物理的な感覚や直接の対話と比べると限界があります。例えば、実際にキャンパスを訪れて感じる気候や音、匂いといった五感での体験はバーチャル空間では完全に再現できません。
また、直接会って話す際の微妙な表情や雰囲気を感じ取ることも難しいため、リアルな体験に代替するには限界があると言えるでしょう。
まとめ
メタバースは、これからの大学選びにおいて非常に重要なツールとなります。特に物理的な距離や時間の制約を超え、多くの学生に大学の魅力を伝える手段としての可能性は大きいでしょう。
しかし、技術的な課題やリアルな体験との違いを理解しつつ、効果的な導入を進めることが求められます。今後、メタバースを活用する大学が増え、多くの学生にとって利便性の向上が期待できるでしょう。
大学の魅力や雰囲気をメタバースで伝えたい大学関係者の方は、ぜひ株式会社リプロネクストにご相談ください。
リプロネクストでは、自治体や企業向けにメタバースやXRのソリューションを提供しています。企画から運営までワンストップでサポートし、お客様の多様なニーズにお応えしますので、お気軽にご連絡ください。
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