- 2023/09/12
- 2024/10/11
メタバース(仮想空間)のメリットや活用事例を紹介
現実世界とは異なる空間の構築が可能な「メタバース」。VR技術の発展と共に、以前よりも身近なものとなっています。さまざまな人とコミュニケーションを図れるほか、メタバースならではの体験が楽しめるなどさまざまな特徴があります。
しかし、なぜメタバースがここまで注目されているのかわからない人もいるのではないでしょうか。
当記事では、メタバースが注目されている理由やメリットをご紹介します。また、実際にメタバースを活用している企業の事例も紹介しますので、メタバースの導入を検討している方は、ぜひご覧ください。
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目次
1.メタバース(仮想空間)とは
メタバースとは、インターネット上に構築された3次元の仮想空間です。メタバース上ではアバターと呼ばれる自分の分身を操作し、好みの服や靴などを着用してショッピングや他のアバターとの交流が楽しめます。
メタバースは、メタ(超越)とユニバース(世界)を組み合わせた造語です。アメリカで1992年に出版されたニール・スティーブンスンの著書「スノウ・クラッシュ」に登場する仮想空間が由来となっています。
2003年にアメリカのリンデンラボ社がリリースした「Second Life(セカンドライフ)」は、メタバースの先駆けとされています。ゲーム内で自由にアバターを作成し、コミュニケーションを楽しめるほか、不動産取引やブランド品の購入といった現実世界と同じような生活をしているユーザーもいたほど。
セカンドライフから約20年後の現在では「フォートナイト」や「あつまれどうぶつの森」など、ゲーム分野をはじめとしたさまざまな分野で活用されています。
2.メタバース(仮想空間)とVR(仮想現実)は何が違う?
メタバースとVRは一見同じようにも感じますが、実はそれぞれ意味が異なります。
メタバースは「仮想空間」を指すのに対し、VRは仮想空間を体験するための「手段」です。VRを使用しなくてもメタバース空間を体験できますが、VRを使用するケースがほとんどです。
もう一点の違いとして、メタバースは他のユーザーとのコミュニケーションやイベントへの参加など「不特定多数の人」が関わるものです。一方、VRは自分自身がバーチャル空間を体験することに重きを置いていることから「個人」での体験に焦点を当てています。
VRを用いることで、没入感のある体験が楽しめます。自分がメタバース空間にいるかのような体験を味わいたい場合は、VRの利用も検討してみましょう。
3.メタバース(仮想空間)が注目されている理由とは?
メタバースが注目されている理由には何があるのでしょうか。ここでは、以下の4点について解説します。
- VR技術の発展・普及
- メタバース市場の拡大
- NFTの実用化
- 大企業のメタバース参入
3-1. VR技術の発展・普及
メタバースが注目される理由の一つに、VR技術の発展が関係しています。これまでは、VRを体験するために高価でサイズの大きなVRデバイスを用意する必要がありました。そのため、利用できる人は一部に限られ、普及までに至りませんでした。
現在では低価格で小型化されたVRデバイスが多く出回るようになったほか、スマートフォンを活用しての体験も可能です。以前よりもVRを体験するハードルが下がっている点は、注目される大きな要因と言えるでしょう。
3-2. メタバース市場の拡大
メタバースの市場規模は、今後大きく伸びていくことが予想されています。
総務省が公表した「令和5年版情報通信白書」では、2022年に8兆6,144億円だったメタバースの世界市場は、2030年には123兆9,738億円にまで拡大すると予想。現在はゲームやエンターテイメント分野が中心ですが、今後は教育や小売などへの普及も期待されています。
日本はアメリカと比較して、積極的にメタバースを活用している企業は多くありません。そのため、今後の市場規模を考えた場合、早い段階でメタバースを取り入れることで、競合他社よりも利益を得るチャンスを得られるでしょう。
3-3. NFTの実用化
NFT(Non-Fungible Token)とは「代替不可能なデジタルデータ」を指し、ブロックチェーン上で発行や取引がされています。NFT以外のデジタルデータは、コピーや改ざんが簡単にできるため、資産的価値を持ちにくいものでした。一方で、NFTはデータの改ざんが難しいことから、資産価値を持たせられる点が特徴です。
メタバースを活用したゲームで手に入れたアイテムは、NFTとして売買可能です。ゲームの進行に必要なアイテムの購入や、不要なアイテムの売却ができることから、メタバースとの相性の良さも注目されています。
3-4. 大企業のメタバース参入
大企業がメタバースへの参入を進めている点も、メタバース市場の拡大の要因となっています。特に話題となったのが、2021年にFacebook社が「Meta(メタ)」に社名を変更し、メタバース事業へ100億ドルの投資を行うことを表明した出来事です。
Metaのほかにも、ソニーが「PlayStation VR2」をリリースするなどメタバースへの参入と投資を進めていることから、世界的な大企業の間でもメタバースの注目度は高まっています。
4.メタバース(仮想空間)のメリット
メタバースを取り入れることで、以下のようなメリットが得られます。ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
- 現実世界と同じようなコミュニケーションが取りやすい
- 遠方にいながらイベントやミーティングへ参加できる
- 現実世界とは違ったエンターテインメント体験ができる
- ビジネスの拡大が可能になる
- 世界中のユーザーとの交流が楽しめる
4-1. 現実世界と同じようなコミュニケーションがとりやすい
メタバース上では、アバターを利用して世界中に存在するユーザーとの交流が気軽にできます。例えば、ゲーム内でユーザー同士が仲間になり、共通の敵を倒しにゲームをプレイすることも可能。その際に会話も楽しめるため、顔を合わせなくてもリアルと同じようなコミュニケーションが構築できます。
また、会話だけでなくさまざまなアクションを起こすことで、目の前に人がいるかのような交流の仕方が楽しめる点もメタバースの良さと言えるでしょう。
4-2. 遠方にいながらイベントやミーティングへ参加できる
メタバースの活用で、遠方からでもイベントやミーティングへの参加が可能です。
インターネットが今ほど普及されていなかった頃は、実際に会場まで足を運ばなければ参加ができませんでした。しかし、メタバースを活用することで自宅や外出先からでも参加できるようになったことから、貴重な体験に触れるハードルが下がった点は大きなメリットです。
また、イベントを主催する側にとっては集客がしやすくなります。さまざまな年齢層へ参加を呼びかけやすくなるため、コストを抑えつつ効率的に集客が可能です。
4-3. 現実世界とは違ったエンターテイメント体験ができる
メタバースを活用することで、現実世界ではできなかった「自分のしたいこと」や「なりたいもの」が実現できます。例えばプロ野球選手として憧れの球場でのプレーや、宇宙飛行士としてスペースシャトルに乗るといった体験も可能です。
また、現実世界で必要な経験をメタバースを通して積み上げることもできます。例えばピアノを練習する際、メタバース上であればスローモーションで鍵盤の動きを確認できるため、指の動かし方をイメージしやすくなります。
現実とは違った非日常的な体験を楽しみたい人にとっては、メタバースは魅力的でしょう。
4-4. ビジネスの拡大が可能になる
先述したように、Metaやソニー、Microsoftなどさまざまな企業がメタバースへ参入しています。そのほか、GUCCIやNIKEといったアパレルブランドもメタバース市場へ参入するなど、ビジネスチャンスを掴むために活発な動きが見られます。
現実世界とは別のプラットフォームを活用することで、関わりが浅かったユーザーにも訴求でき、ビジネスの幅が広がる効果が期待できます。例えばアパレルブランドの場合、メタバース上で店舗の出店が可能です。従来のECサイトとは異なり、実際の店舗にいるような形でショッピングが楽しめます。
メタバースは、既存のビジネスとは違った新たなビジネスチャンスをつかむ可能性を秘めたプラットフォームと言えます。
4-5. 世界中のユーザーとの交流が楽しめる
メタバースの利用によって、国内だけでなく海外に住むユーザーとの交流も楽しめます。現実世界では異なる場所に住んでいても、メタバースでは同じ空間にいることができるため、気軽に会話やショッピングを楽しむといった体験が可能です。
また、交流を通じて仕事に関するアイデアが生み出されるほか、生産性の向上といった効果も期待できます。
5.企業によるメタバース(仮想空間)の活用事例
ここでは、実際にメタバースを活用している企業の事例を紹介します。メタバースの導入を検討している企業の方は、ぜひご覧ください。
- 三越伊勢丹ホールディングス
- 三井住友海上火災保険
- Man to Man Animo株式会社
- 日産自動車
- サン共同税理士法人
- CEC新潟情報サービス株式会社
- 鹿児島大学教育学部附属小学校
5-1.三越伊勢丹ホールディングス
三越伊勢丹ホールディングスでは、スマートフォン向け仮想都市空間プラットフォーム「REV WORLDS」を展開しています。メタバース上にある「仮想新宿」内に「仮想伊勢丹新宿店」を出店しています。
店内にはファッションやギフト、デパ地下といったさまざまなショップを出店。店舗内にある商品は実際に販売されているもので、気に入った商品はそのままオンラインストアで購入が可能です。
メタバース上に表示されるアバターのファッションもユーザーの好みにコーディネートが可能。「マクミラン・イセタン」や「ブラックウォッチ・イセタンメンズ」といった伊勢丹オリジナルのファッションも利用可能です。
屋上には「ルーフトップガーデン」と呼ばれる庭園があります。出入り口のデザインは伊勢丹新宿店が開店した当時のものを採用しており、伊勢丹の歴史に触れながら屋上散歩が楽しめます。
5-2.三井住友海上火災保険
引用:三井住友海上火災保険
三井住友海上火災保険は、2022年に「Metaverse Project」の立ち上げを発表。メタバース上に「GDH(Global Digital Hub)Meta」と呼ばれる拠点を開設し、保険ビジネスや新規事業の創出などを目指すとしています。
プロジェクトでは、PwCコンサルティング合同会社と共同でサービス提供者やプラットフォーム提供者などにおけるリスクの特定や、損失を補償する商品やサービスの開発を実施。また、現実空間とメタバース空間を横断しての保険加入プロセスや、顧客との接点を構築するなどの取り組みを行います。
5-3.Man to Man Animo株式会社
引用:ovice
障がい者の雇用や、就労支援を行っているMan to Man Animo株式会社は「ovice」と呼ばれるメタバース上で出勤できるオフィスを取り入れました。重度身体障害を持つ社員が実際に出社できなくても、メタバース上にオフィスを設置することで、出社する感覚を持てる結果も得られました。
そのほかにもoviceの活用で以下のようなメリットを得られたとのことです。
- 在宅組と出社組で相談事や雑談などコミュニケーションの促進につながった
- 在宅ワークでは難しかった突発的な問題を解決できるようになった
また、メタバース内にオフィスを構えることで、重度障害のある社員でも営業活動ができるようになり、やりがいの創出につながりました。
5-4.日産自動車
引用:日産自動車ニュースルーム
日産自動車では、メタバース上で車の車種やグレードの選定、試乗から購入の契約までを可能とする「NISSAN HYPE LAB」の実証実験を2023年6月30日まで実施しました。
NISSAN HYPE LABには24時間いつでも訪問可能。自分のアバターを作成することで、好きな時間にラボ内を見て回れます。また、11時〜20時の間はバーチャルスタッフが滞在し、日産車の紹介などを実施。
購入を検討する場合は、バーチャルスタッフを通して予約することで、営業スタッフと相談や見積もり、契約までラボ内で完結します。
日産自動車では、NISSAN HYPE LABのほかにVRを活用した車両開発や、メタバース上での新型車お披露目イベントなど積極的にメタバースを利用しています。
5-5.サン共同税理士法人
サン共同税理士法人では、メタバース上に24時間365日訪問可能なメタバース展示場を、株式会社リプロネクストの制作で開設しました。
展示場内には、展示エリアやセミナールーム、会議室エリアなどを設置。過去のセミナー動画が視聴できるほか、採用面談での活用も可能です。アプリをダウンロードする必要がなく、パソコンやスマートフォンから容易にアクセスできるため、遠方のお客様でも気軽に訪問できる空間を実現しています。
5-6.CEC新潟情報サービス株式会社
CEC新潟情報サービス株式会社の「CECソリューションフェア2023」開催にあたり、リプロネクストではメタバース会場の開発・運営を担当しました。
メタバース会場には「エントランス」や出展企業の担当者と会話ができる「対話展示ルーム」など約50種類の空間を制作。また、イベントにエンターテイメント性を持たせる一環として「歌・漫才・ダンス」といった催しをメタバース空間上で披露しました。
CECソリューションフェア2023では、IT製品などの展示はもちろん、メタバースに触れて楽しんでもらえる機会の提供も目的の一つです。イベントは大盛況に終わり、メタバースへの興味・関心が大きいことが実証された結果となりました。
5-7.鹿児島大学教育学部付属小学校
鹿児島大学教育学部附属小学校では、高学年の児童を対象とした英語学習向けのメタバース空間の制作をリプロネクストが担当しました。
児童がメタバース空間上で英語によるコミュニケーションを通して、見方や考え方を育むことを目的としてメタバースを活用。メタバース空間内にショッピングモールを作成し、スーパーマーケットやフードコートといったエリアを設けました。フードコート内での模擬接客やスーパーマーケットでのお買い物など、さまざまな体験が可能です。
2023年5月には公開研究会と称して、鹿児島国際大学の学生がフードコートの店員役としてお客様役の児童と英語でやりとりを行いました。公開研究会を通して、普段はおとなしい児童も積極的にコミュニケーションをとっている姿が見られるなど、児童が楽しみながら学習している姿が見られました。
6.まとめ
メタバースは30年ほど前から存在する概念ですが、VR技術の発展や大企業の参入など、メタバース市場は今後も拡大が見込まれます。仮想空間でありながら、現実世界と同じようなコミュニケーションがとれることや、遠方にいながらでもイベントに参加できるといったメリットが得られる点もメタバースの特徴です。
メタバースの普及が進む中で、さまざまな企業でも活用が広がっています。そのため、教育や自動車業界など幅広い分野での活用が今後も増えていくことが予想されるため、日常生活での活用も考えられるでしょう。
メタバースtipsを運営しているリプロネクストは、ビジネスにおけるメタバースの活用に関して企画から開発までをサポートしています。
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