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  • 2023/12/08
  • 2024/04/11

フォトグラメトリの活用事例を紹介!仕組みについても解説

実物と同じようなクオリティで再現できる点が特徴の「フォトグラメトリ」。しかし、実際にどのようなケースで活用されているのか、わからない方もいるのではないでしょうか。

活用事例を把握することで、フォトグラメトリについてより詳細に把握することができるでしょう。

そこで今回は、実際にフォトグラメトリを活用している企業や教育機関の事例について紹介します。また、フォトグラメトリの仕組みやメリット・デメリットについても解説しますので、フォトグラメトリに興味がある方は、ぜひご覧ください。

目次

1.フォトグラメトリとは

フォトグラメトリ イメージ

出典:STYLY

フォトグラメトリとは、複数枚の写真をコンピューターで解析し、3Dモデルを作成する技術で「写真測量法」とも呼ばれています。光を意味する「photo」、記録や描画を意味する「gram」、測量法などを意味する「metry」を組み合わせた言葉で「写真を用いて測定する」といった意味を持っています。

フォトグラメトリは地形調査や測量、建造物の復元資料の作成など活用される範囲が広い点が特徴です。撮影枚数はどの程度リアルな3DCGを作成したいかによって変動しますが、およそ100〜110枚程度必要です。フィギュアのような小さいものから、建物や街など大きなものまでフォトグラメトリで再現できます。

2.フォトグラメトリの仕組み

フォトグラメトリは、360度さまざまな角度から撮影します。撮影した写真データから特徴となる部分を抽出して紐付けた後、角度の差分を計算し、空間座標へ落とし込んで3D点群データを作成します。

3D点群データの作成後は、表面に写真画像をはめ込んで3Dモデルを作成するといった流れです。

被写体の撮影後に行う生成作業は複雑な部分がありますが、フォトグラメトリ用のソフトが販売されているため、カメラ・パソコン・ソフトがあれば作成可能です。

3.フォトグラメトリのメリット

メリット イメージ

フォトグラメトリのメリットはさまざまあります。その中でも先述した通り、カメラまたはスマートフォン、パソコン、フォトグラメトリ用ソフトを揃えると3Dモデルが作成できる手軽さが1番のメリットでしょう。

また、精細な写真が用意できた場合、精度の高い3Dモデルの作成が可能。そのほか、1枚ずつ撮影する場合でも撮影途中で修正できる点も、フォトグラメトリを活用する上でのメリットです。

3Dモデルを作成する方法に、3Dスキャナを用いるケースがありますが、3Dスキャナは機材に収まる範囲の被写体しか対応できません。一方でフォトグラメトリは、あらゆる角度から撮影した写真があれば3Dモデルが作成できるため、活用できる被写体の種類が多い点も特徴です。

4.フォトグラメトリのデメリット

さまざまなメリットがあるフォトグラメトリですが、デメリットもいくつかあるため注意が必要です。

フォトグラメトリは写真の精度に依存するため、精度が劣っている場合は正確に3Dモデルを作成できない場合もあります。また、写真に映っていない部分は再現が難しいため、一部モデルを再現できない部分も出てきます。

また、フォトグラメトリに不向きな素材もいくつかあり、ガラスや光沢のあるものは正しく生成できません。フォトグラメトリを利用する際は、素材の向き不向きを把握しておくと良いでしょう。

5.フォトグラメトリはどのような場面で使われているか?

フォトグラメトリは、さまざまなケースで活用されています。例えば、ゲームや映画などの映像作品にて、キャラクターや風景を再現する際に、撮影したデータをもとにフォトグラメトリで3Dモデル化が可能です。そのため、架空の世界であってもリアルな人物や風景を実装できます。

無人店舗でも活用されており、さまざまな角度から撮影した商品をAIに読み込ませることで、物体の把握や認識させるための教師データとして使えます。フォトグラメトリの活用により、お客様が手にした商品を照合して購入データの蓄積が可能です。

メタバースなどの仮想空間においても、精度の高い3Dモデルを作成することで、現実世界の商品を再現する際にも活用できます。

6.フォトグラメトリの活用事例

さまざまな企業や教育機関で、フォトグラメトリを活用した取り組みが進められています。ここでは、以下の6つの活用事例を紹介します。

6-1.みんなの首里城デジタル復元プロジェクト

首里城復元プロジェクト イメージ

出典:BEGIN3D.com

2019年10月に沖縄県那覇市にある首里城にて大規模な火災が発生し、大広間と周辺の2つの建物が消失。火災が発生してからまもなく、有志によって「みんなの首里城デジタル復元プロジェクト」が開始されました。

このプロジェクトでは、フォトグラメトリとデジタルツインを活用して火災前の首里城の姿を保存し、復元に役立てることが目的です。活動では観光客から35,000枚の写真を集めたほか、映像から画像を抽出して復元に必要な画像データを作成しました。

集められた写真は「Reality Capture」を使用して再現され、デジタル上での首里城の復元に成功しました。

6-2.Peris Digital

Peris Digital イメージ

出典:SONY

Peris Digitalはスペインのマドリードに拠点を構えている企業で、デザイナーやキュレーターなどの活動をしている「Peris Costumes」の子会社です。

Peris Digitalsでは、Peris Costumesが保有する700万点以上のアーカイブから衣装をスキャンし、衣装デザイナーやVFXアーティストへ3Dデジタル衣装を提供しています。3Dデジタル衣装の作成にはフォトグラメトリを採用。提供するデータも高品質であるため、現実と遜色のない世界観を構築できます。

フォトグラメトリを活用することで、これまで衣装合わせにキャストが必要でしたが、キャストが不在でも衣装制作が可能となり、コストパフォーマンスの向上も実現しました。また、衣装作成に使用するカメラも40台から100台以上に増え、さまざまな制作会社でPeris Digitalのサービスが活用できるようになっています。

6-3.九州大学

九州大学 イメージ

出典:ほとんど0円大学

これまで生物標本を保存する場合、標本の劣化や退色が起こってしまうほか、煩雑な管理が必要である点が課題でした。そこで九州大学では、フォトグラメトリを活用して生物標本を3Dモデル化しオンライン上に公開する取り組みを行いました。

「九州大学持続可能な社会のための決断科学センター」の鹿野雄一特任准教授は「バイオフォトグラメトリ」と称して、水性生物を中心に1,400点700種以上の生物標本をオンライン上に公開しています。

バイオフォトグラメトリの活用により、魚や昆虫といった生物標本を360度隅々まで観察できます。また、オンラインでの公開により厳重な管理によって公開できないといった課題も克服しました。

6-4.株式会社JMC

JMC イメージ

出典:JMC

株式会社JMCでは、合同会社MIXIDEAと共同で「3D SNAP」と呼ばれるフィギュア作成サービスを行っています。360度に設置されているカメラで被写体を撮影し、実物に限りなく近い再現度でフィギュアを作成しています。

成人用のブースに約200台、赤ちゃん・ペット用ブースに約70台のカメラを設置。赤ちゃんやペットは長時間静止することは難しいものの、1/200のシャッタースピードで撮影ができるため、動きに悩まされることなく精細な写真が撮影できます。

撮影で取得した3Dデータの調整は「3D SNAP」のスタッフが担当し、株式会社JMCに送られた後は3Dプリンターを使用してフィギュアが作成されます。

6-5.テックファーム株式会社

テックファーム株式会社では、Appleが提供する「Object Capture」を使用して3Dモデルを作成しました。作成にあたって「iPhoneX・Mac book air(M1チップ搭載モデル)・macOS MontereyとXcode 13・回転台・三脚・Apple純正イヤホン」を用意。

回転台にスニーカーをのせ、三脚に取り付けたiPhoneでさまざまな角度から1周につき30〜40枚を撮影しました。撮影した画像をMacbook Airへ同期し、Object Caputureで処理した結果、3Dモデルの生成に成功しました。

質感や細かな模様、靴底部分の凹凸など実物と変わらないくらいの再現度を実現。本格的なカメラを使用しなくても、iPhoneのカメラ機能でも精度の高い3Dモデルが作成できる事例となりました。

6-6.CGSLAB合同会社

CGSLAB株式会社では、ショー映像の制作として青森県五所川原市にある「立佞武多の館」にて、立佞武多のフォトグラメトリ制作を実施しました。立佞武多は約23mありますが、立佞武多の館は螺旋状のスロープが設置されているため、スロープを渡りながら撮影を実施。

撮影が厳しいアングルについては、台座を回転させながら撮影を行いました。撮影したデータは「Reality Capture」を使用して処理。最終的に3台の立佞武多をフォトグラメトリで作成し、「星野リゾート 青森屋」で開催される「みちのく祭りや」と呼ばれるショーで活用されました。

7.まとめ

フォトグラメトリは、ゲームや映画といった映像作品などにおいて活用されています。被写体を複数枚撮影し、3Dモデルを作成することで、実物と同じようなリアリティのある人物や風景を再現できる点が特徴です。

実際にフォトグラメトリを活用している企業や教育機関もあり、重要文化財の復元に役立てるケースや生物標本の保存に活用しています。フォトグラメトリは、特別な機器は必要なくカメラやパソコン、専用のソフトを用意するだけで利用できるため、今後もさまざまなケースで活用が広がっていくでしょう。

メタバースtipsを運営しているリプロネクストでは、法人・自治体向けメタバースについて企画・プラットフォーム選びから開発までを一貫してサポートしています。「フォトグラメトリを活用できないか」と考えている方は、無料相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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