- 2024/09/26
自治体の課題を解決するポイントとは?メタバースを活用した解決方法も紹介!
地方自治体は今、人口減少や高齢化、地域経済の低迷など、多くの課題に直面しています。これらの課題解決には、従来の行政サービスの枠にとらわれず、新たなテクノロジーを活用した取り組みが求められています。その中でも近年注目されているのが、メタバース活用です。
本記事では、自治体が抱える課題と、近年自治体での活用が増えているメタバースを活用した先進的な取り組みについて詳しく解説します。実際に体験できるメタバース空間も紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
自治体が抱える現状の課題
自治体が直面している課題は多岐にわたります。以下で多くの自治体が抱えている課題について解説します。
人口減少、高齢化よる労働力不足の解消
総務省統計局の調査(2023年)によると、46都道府県で15歳未満人口の割合が75歳以上人口の割合を下回っており、日本の少子高齢化は深刻な状況です。特に地方では、若年層の都市部への流出が加速し、人口減少と高齢化が急速に進んでいます。その結果、労働力不足、地域経済の縮小、地域コミュニティの衰退などの問題が生じています。
参考:総務省統計局 人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)
地域経済の活性化
人口減少に伴い、地域の購買力が減少し、小売店や飲食店など、地域経済を支える中小企業の経営が厳しさを増しています。また、大型商業施設の郊外進出により、中心市街地から商店が減少するなど、地域のコミュニティ機能の低下が進んでいます。
地域PRの効果的な手段の確保
観光客誘致や移住促進のためには、効果的な地域PRが不可欠ですが、多くの自治体では広報リソースが限られ、地域住民向けの活動に集中しがちです。広報において1つの媒体に偏ると、情報を受け取れない層が出てきます。広報誌、Webサイト、SNS、ラジオなど複数の媒体を使い分け、目的に応じた効果的な広報を検討する必要があります。
災害時の備えを充実させる
災害時の自治体の課題として、情報収集・発信の困難さ、情報伝達方法の未確立、人手不足などが挙げられます。自治体は、実際に災害が起こった場合を想定し、ハザードマップの作成・周知、避難訓練の実施、防災行政無線の整備、防災情報のデジタル化など、ハード・ソフト両面での防災対策を強化する必要があります。
公共サービスのDX推進
自治体は、住民の利便性向上、行政の効率化、透明性向上のため、公共サービスのDX推進が求められています。しかし、多くの自治体では、オンライン手続きの不足、デジタル人材の不足により、DX化に向けた取り組みが遅れています。
自治体の課題解決の1つの手段、メタバースとは?
メタバースとは?
メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間のこと。自分の分身となるアバターを使って、現実世界と同じように、空間内にいる他のユーザーとコミュニケーションが取れます。コミュニケーション方法は、音声、チャット、リアクションなど目的によって自由に使い分けられます。
自治体での活用が進んでいる理由
メタバースは、物理的な制約を超えて人々をつなぐことができるため、地理的な条件に左右されずにさまざまなサービスを提供できます。また、若年層への訴求力も高く、新しい形の地域PRや住民参加の手段として期待されています。
メタバースの活用で自治体が得られるメリット
メタバース技術の進化により、自治体にとってさまざまな可能性が広がっています。以下では、自治体がメタバースを活用することで得られる主要なメリットについて詳しく解説します。
労働力不足の解消
地方自治体では、特に専門性の高い人材の確保が課題となっています。メタバースを活用すれば、地理的な制約なく、全国、あるいは世界中から優秀な人材を登用することが可能になります。また、移住を希望する人にとっても、事前にメタバース上で地域の様子や仕事内容を体験できるため、移住後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
地域PRの新たな拠点の整備
メタバース上に、観光名所や史跡を精巧に再現した仮想空間を構築することで、時間や場所の制約なく、世界中の人々に地域の魅力を発信できます。
例えば、現実では訪れるのが難しい秘境や、過去の街並みを再現することで、今までにない観光体験を提供できます。また、特産品や伝統工芸品の販売、イベント開催など、経済活性化につながる取り組みも可能です。
災害時の対応強化
メタバースを活用することで、災害時の避難訓練や情報共有をより効果的に行い、住民の防災意識向上と迅速な対応体制の構築に貢献できます。
例えば、地域で洪水が発生した場合、メタバース上であらかじめ想定される浸水区域を可視化し、住民が実際に避難経路を辿る体験ができます。このような仮想空間でのシミュレーションは、現実の危険を伴わずに災害時の状況を疑似体験できるため、住民の危機感を高め、より実践的な避難訓練を実現します。
公共サービスのデジタル化
メタバース上の行政サービスは、窓口に行く手間を省き、自宅などどこからでも利用を可能にすることで利便性を高めます。また、仮想空間ならではの分かりやすい情報提供やシミュレーションもできるため、住民満足度の向上にもつなげられます。
【自治体の事例】課題解決にメタバースを活用する際のポイントを解説
【岩手県】食に関する商談会・交流会イベント
岩手県は、販路拡大に課題を持つ県産農林水産物の新たな販路開拓モデル構築のため、全国初の試みとしてメタバースを活用した食の商談会を開催しました。移動コスト削減、円滑なコミュニケーション、情報伝達の効率化といったメリットを活かし、県内生産者と全国のバイヤーやシェフをつなぎ、新規就農希望者との交流も促進しました。
詳細は以下のリンクを参照ください。
岩手県 「黄金の國、いわて。」のフードショー in メタバース
【静岡県】広報・公聴活動の新たな拠点
静岡県は、従来型の意見交換会への参加が困難な県民に向けて、メタバース空間「Metaverse SHIZUOKA」を構築しました。時間や場所を選ばずに参加できるよう、24時間利用可能な常設空間として、3次元点群データによる精細な県内環境を再現しました。広報・公聴活動の場として、意見交換会やタウンミーティングなどでの活用が予定されており、より多くの県民参加と県政への理解促進を目指しています。
詳細や、空間の体験は以下のリンクを参照ください。
【大阪府河内長野市】市制施行70年記念式典を開催
大阪府河内長野市は、市制施行70周年記念式典を、大阪府内の自治体として初めてメタバース空間上で開催しました。仮想空間「つながる河内長野メタバース」は、建設予定のスタジアムと公園をモデルに、市民参加型のコンテンツを豊富に用意しました。現実の公共空間の整備と連動した仮想空間の構築により、世代を超えた市民の交流促進と、市へ親しみを持ってもらえるような空間です。
詳細や、空間の体験は以下のリンクを参照ください。
【山梨県甲府市】ひきこもりの方の相談所
甲府市は、ひきこもり支援の新たな取り組みとして、メタバース上に相談窓口「心のよりどころ空間」を開設しました。これは自治体主体の取り組みとしては全国初です。メタバース空間では、気軽に相談できるよう、プライバシーに配慮した設計がなされています。相談者はアバターを利用し、リラックスできる空間で専門スタッフに相談できます。
詳細や、空間の体験は以下のリンクを参照ください。
自治体で活用できるメタバースのプラットフォームとは?
メタバースの活用は、多くの自治体にとってまだ新しい分野です。そのため、適切なプラットフォーム選びが重要になります。ここでは、日本国内で利用が可能なメタバースプラットフォームを紹介し、それぞれの特徴について解説します。
プラットフォームとは?
メタバースプラットフォームとは、メタバースに関連するサービスやシステムを動かすための「土台」となるソフトウェアやハードウェア(機器)のことです。
プラットフォームの選び方
自治体がメタバースプラットフォームを選ぶ際には、以下の点を考慮することが重要です。
目的
情報発信、住民参加、観光促進、人材育成など、何のためにメタバースを活用するのかを明確にします。
対象
誰にメタバースを利用してもらうのか?年齢層、ITリテラシー、利用環境などを考慮します。
機能
コミュニケーション機能、イベント開催機能、空間カスタマイズ機能、セキュリティ機能など必要な機能は何か、各プラットフォームが提供する機能を比較検討します。
コスト
開発費用、運用費用、利用料金など、予算と照らし合わせて検討します。
サポート体制
プラットフォーム提供事業者のサポート体制を確認することも重要です。導入支援、運用サポート、トラブル対応など、安心して利用できる体制が整っているかを確認します。
日本国内のメタバースプラットフォーム
株式会社NTTコノキュー:DOOR™
出典:Door NTT XR
DOORは、ブラウザで手軽に利用できるメタバースプラットフォームです。スマートフォン、PCなどから空間に入ることができ、直感的な操作で空間を楽しめるため、メタバースが初めての人がターゲットの場合におすすめのプラットフォームです。実際に、静岡県や岩手県もDOOR™を使用してメタバースを運用しています。
参考:DOOR
クラスター株式会社:Cluster
Clusterは、VRデバイスだけでなく、スマートフォンやPCからもアクセスできるメタバースプラットフォームです。イベント開催に特化した機能が充実しており、大規模なイベントにも対応できます。3Dモデルのインポートにも対応しており、リアルな空間を再現することも可能です。
参考:クラスター株式会社
株式会社Psychic VR Lab:STYLY
出典:STYLY
STYLYは、VR/ARコンテンツを簡単に作成・配信できるプラットフォームです。アートやファッションなど、感性を刺激する空間演出を得意としており、商業施設や美術館などでの活用事例も多数あります。
参考:STYLY
株式会社VARK:VARK
出典:株式会社VARK
VARKは、3D空間でバーチャルイベントを開催できるプラットフォームです。約10万人規模のイベント開催をするなど、会場のキャパシティに縛られないエンターテイメント分野での活用事例が多いのが特徴です。
参考:株式会社VARK
monoAI technology株式会社:XR CLOUD
出典:XR CLOUD
XR CLOUDは、10万人規模の同時接続が可能なバーチャル空間構築プラットフォームです。マルチデバイス対応で、スマホからVRデバイスまで幅広く利用できます。Unity向けSDK提供によりカスタマイズも自由自在。大規模イベントや展示会、仮想空間上でのサービス展開など、企業のニーズに合わせたバーチャル空間を構築できます。
参考:XR CLOUD
oVice株式会社:ovice
oviceは、2Dマップ上でアバターを操作してコミュニケーションをとる、バーチャルオフィスとして利用されることが多いプラットフォームです。シンプルな操作性と分かりやすいUIが特徴で、誰でも簡単に利用できます。オフィス空間だけでなく、イベント会場やオンラインコミュニティなど、さまざまな用途に活用されています。
参考:ovice
どのプラットフォームが良いかわからない場合
どのプラットフォームが最適かわからない場合は、複数のプラットフォームでの比較検討や、専門業者に相談することをおすすめします。
プラットフォームについてより詳細を知りたい方は、以下の記事を参照ください。
メタバースのプラットフォームを提供する国内・外企業14選!選ぶときのポイントも紹介
まとめ
メタバースは、自治体が抱えるさまざまな課題を解決するための有効な手段となりえます。メタバースの導入を検討する際は、目的や対象、コストなどを考慮し、最適なプラットフォームを選定することが重要です。
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