- 2023/03/02
- 2024/04/11
フォトグラメトリーとは?わかりやすく解説【3Dスキャンとの違いも】
VRやメタバースには、3DCGのオブジェクトやアバターが使われることが多いです。そんな3DCGモデルを比較的簡単に作成する技術として、今注目を集めているのが「フォトグラメトリー」。
小物から大型ビルまであらゆるものを3DCGモデルにすることができ、メタバースやVR・ARコンテンツを制作する際に活用されている技術です。
近年ではゲームや映画だけでなく、地形調査や史跡保護といった活動にまで幅広い用途で使われています。
この記事では、フォトグラメトリーがどんなものなのかに焦点を当て、3Dスキャンとの違いや活用方法、最後にはフォトグラメトリーが使えるアプリをご紹介します。
目次
1.フォトグラメトリーとは
フォトグラメトリー(Photogrammetry)とは、Photo(光・写真)・gram(記録)・metry(測定)を合わせた造語で、「写真を使って測定する」という意味を持っています。
被写体となる物体や人、建物をあらゆる角度から撮影し、そのデータを解析・合成して、立体的な3DCGモデルを作成します。特殊な機械や専門知識がなくとも作成できるスマートフォン用アプリも登場しており、最近では手軽にデジタルツイン(※)が作れる技術として注目を集めています。
(※)デジタルツインとは…現実に存在する場所や施設・物体を、IT技術を駆使してデジタル空間にコピーすること。
2.フォトグラメトリーと3Dスキャンとの違い
3DCGモデルを作るには、フォトグラメトリー以外に3Dスキャンの方法もあります。
フォトグラメトリーと3Dスキャンの大きな違いは測定方法です。3Dスキャンは被写体にレーザーや赤外線を当てることで対象物との正確な距離を測り、3DCGモデルを作成します。
・フォトグラメトリー…被写体を写真で撮影し、データを解析・合成して3DCGモデルを作成
・3Dスキャン…被写体にレーザーや赤外線を当て、対象物との距離を測り3DCGモデルを作成
3.フォトグラメトリーの活用方法
フォトグラメトリーの技術だけ聞いても、実際にどのようなシーンで活用するのかと疑問を抱く方もいるでしょう。ここでは、活用方法をピックアップしてご紹介します。
3-1.バーチャルモデルルームの作成
実在する空間をフォトグラメトリーで撮影することで、実物さながらのモデルルームをインターネット上に公開することができます。
最近ではGoogleストリートビューやVR動画を使って住宅やモデルルーム、建物の内部を公開し、集客に活用するケースが増えていますが、フォトグラメトリのデータは再現性が高いのが特徴です。
3-2.メタバース用のアバターやオブジェクトを作成
3DCGの仮想空間「メタバース」を構成する要素を作る際にも、フォトグラメトリの技術が活躍します。
例えば、メタバース空間で使うアバターをオリジナルで作成する場合、人物をフォトグラメトリで撮影することで自分自身の分身のようなアバターを作ることが可能です。
メタバースtipsを運営するリプロネクストが2023年1月1日に公開した「メタバース初詣」の屋台に立っているCEO藤田のアバターはフォトグラメトリーで作成しています。
人だけでなく、メタバースに置きたい家具や小物などのアイテムも、フォトグラメトリーで忠実に再現した3DCGモデルを作ることができます。
3-3.都市や地域のデジタルツインを作成
フォトグラメトリーは、都市や地域といった広範囲の撮影もできます。こうしてデジタルツインを作成することで、地形調査や災害シミュレーションなど公共安全の資料として活用できます。
また、史跡保護の目的で3DCGデータとして管理することで、破損箇所を詳細に確認し、修繕作業にも役立てることが可能です。
4.フォトグラメトリーの撮影に向いているもの・不向きなもの
フォトグラメトリーの対象物には、向き・不向きがあります。以下に表で紹介しているので、撮影の際の参考にご覧ください。
フォトグラメトリーに向いているもの | ・表面に凹凸があるもの ・ザラついた質感のもの ・模様の多いもの |
フォトグラメトリーに不向きなもの | ・プラスチックや陶器のような角度によって反射するもの ・ガラスなどの透明な素材 ・細かく複雑な造りの建物や物体 |
5.フォトグラメトリーが簡単にできるスマホアプリ
最後に、簡単にフォトグラメトリーができるスマートフォン向けアプリを4つご紹介します。
スマートフォンのカメラを使った撮影で3DCGモデルが作れます。
- in3D:Avatar Creator Pro
- WIDAR(ワイダー)
- Trnio(トルニオ)
- Metascan(メタスキャン)
5-1.in3D:Avatar Creator Pro
フォトグラメトリーで、気軽にリアルなアバターを作れるアプリ「in3D:Avatar Creator Pro」。
スマートフォン内蔵のカメラで顔まわり・全身を撮影し、5分ほどでアバターが完成します。
アバターはエクスポートできるので、そのままメタバース内で自分の分身として使うことも。
専門知識や技術がなくてもできるので、フォトグラメトリーの入門におすすめのアプリです。
▶︎▶︎App Store 「in3D:Avatar Creator Pro」はこちら
▶︎▶︎ Google Play 「in3D:Avatar Creator Pro」はこちら
5-2.WIDAR(ワイダー)
撮影だけでなく、編集やシェアまでできるアプリが「WIDAR」。撮影後はスマホ上で余計な箇所を消したり、色味を変更したりと直感的に編集ができるので、難しい作業は必要ありません。
アプリにはシェア機能もあり、自分で作った3DCGモデルを他者とシェアして楽しむこともできます。
iPhone13 Pro、iPad Pro(第2世代以降)などのLiDARセンサーを搭載した機種では、LiDARスキャンモードも利用でき、より高品質な3DCGモデルの作成が可能。
さらにWIDARは、アカウントがDOORと連携しているので撮影したフォトグラメトリーデータを簡単にDOORにインポートすることもできます。
▶︎▶︎App Store 「WIDAR」はこちら
▶︎▶︎Google Play 「WIDAR」はこちら
5-3.Trnio(トルニオ)
こちらはiPhone・iPad対応のフォトグラメトリーアプリ。対象物を写真でスキャンすることで、高品質の3DCGモデルが簡単にできます。
外出先でも簡単に高品質の3DCGモデルができ、そのままアプリ内でトリミングができるので、初心者の方でも気軽に試せます。
5-4.Metascan(メタスキャン)
オールインワン3Dキャプチャツール「Metascan」は、細かな3DCGモデルを作成することはもちろん、LiDARセンサーを搭載した機種では空間を素早くキャプチャできます。
特に空間生成に定評があるので、建物の内部や屋外などを撮影する場合におすすめです。
5回までは無料で利用できますが、それ以上は有料オプション「Metascan Pro」に加入する必要があります。
6.まとめ
3DCGの技術は日々進化しており、フォトグラメトリーは私たちが日常で使っているデバイスでもできるようになりました。
今後さらに5G・6Gと通信技術が発達していくと高精細なデータが早く見られるようになり、ビジネスの課題解決に役立つ技術として、フォトグラメトリの利用シーンが増えていく予測がされます。
ぜひこの機会に自社のビジネスと照らし合わせながら、フォトグラメトリーの活用法について一度考えてみてはいかがでしょうか。フォトグラメトリの技術を自社サービスに活かしたいという際には、お気軽にご相談ください。
「Metaverse tips」は株式会社リプロネクストが運営しています。
ビジネスシーンにおけるメタバースの活用や、導入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。