- 2024/02/26
- 2024/07/26
メタバース事業のビジネスモデルとは?活用メリットや国内外の事例も紹介
メタバースという言葉が一般的になり、新しいサービスやコンテンツを体験できるようになりました。また、メタバースを事業に活用する企業も増えています。メタバースを活用した新たなビジネスモデルも生まれており、参入を検討している企業も多いでしょう。
そこで今回は、メタバース事業のビジネスモデルや活用メリット、国内外の事例などをご紹介します。
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目次
そもそもメタバースとは
メタバースとは、インターネット上に構築された3D-CGによる仮想空間やサービスを指す言葉です。近年、企業や商業空間がメタバースに事業参入しています。ここでは、メタバースの種類と、注目される背景をご紹介します。
なお、メタバースの詳細は、以下でご確認ください。
メタバースの種類
メタバースには、さまざまな種類が存在します。ここでは、おもなメタバースの種類をご紹介します。
ゲーム系メタバース
ゲーム要素の強いメタバースは、もっとも一般的なメタバースの種類といえます。プレイヤーはアバターとなり、ストーリーを進めたり、アイテムを収集したりしながら、ゲーム内の世界を探索する点が特徴です。代表的な例として、 Roblox(ロブロックス)や Fortnite(フォートナイト)などが挙げられます。
ソーシャル系メタバース
SNS的な要素が強いメタバースでは、ユーザー同士が仮想空間で交流することを主たる目的としています。ZEPETO(ゼペット)や VRChat(ブイアールチャット)などが、代表的なサービスです。
Web3系メタバース
ブロックチェーン技術で構築されているメタバースが、Web3系メタバースです。所有の概念があり、ユーザーはアバター・アイテムや土地をNFT(非代替性トークン)として所有できます。代表的なサービスは、 The Sandbox(ザ・サンドボックス)や Decentraland(ディセントラランド)などです。
ツール系メタバース
ツール系メタバースとは、展示会や授業、ECなどに使えるメタバースです。代表的なサービスには Virbela(ヴァーベラ)があり、オフィススペースや学校、イベント会場をメタバース化した空間を構築できます。
なお、メタバースの種類は以下の記事も併せてご参照ください。
メタバース事業が注目される背景
近年、メタバースが注目されているのは、以下のような理由があるためです。
- 市場規模の拡大
- NFTとの親和性
- 通信技術とVR技術の進歩
- 大手企業の参入
メタバースは急速に成長しており、その市場規模は飛躍的に拡大しています。そのため、多くの企業や個人がメタバースに参入し、新たなビジネスチャンスを模索している状況です。
また、 非代替性トークン(NFT)と密接に関連しており、メタバース内でのデジタルアセットの所有権を証明するために使用され、市場の成長を後押ししています。さらに、3D処理やネットワーク技術が進歩し、低コストで仮想空間をリアルに表現できるようになりました。これにより、メタバースの実現が容易になったことで、META社(旧Facebook社)など、大手企業が新たなビジネス領域として注目しています。
メタバースを事業に活用する5つのメリット
メタバースを事業に活用することで、以下5つのメリットが得られます。
- 採用活動を効率的に行える
- 販促・マーケティングを強化できる
- 事務所や会場のコストを抑制できる
- ハンディキャップがある方でも社会参加しやすくなる
- ブランド力を強化し競争力が向上する
ここでは、それぞれの内容を確認しておきましょう。
1.採用活動を効率的に行える
メタバースは場所や空間、人数などの物理的な制約を超えて世界中の人々にアプローチできる点が特徴です。採用活動においても、仮想空間内で面接や試験を実施することで、遠隔地にいる候補者との効率的なコミュニケーションを実現できます。
2.販促・マーケティングを強化できる
メタバースでは、仮想空間を通じてさまざまな方とコミュニケーションできるため、新たなビジネスチャンスを創出できます。例えばメタバース上に疑似店舗を出店し、商品の販売やプロモーションを行うことが可能です。
3.事務所や会場のコストを抑制できる
メタバースを活用することで、現実の事務所や会場を用意・維持するコストや手間を削減できます。仮想空間上で会議やイベントを開催することにより、物理的な場所に依存しない活動が可能です。
4.ハンディキャップがある方でも社会参加しやすくなる
メタバースは地理的な距離に関係なくコミュニケーションを図ることができるため、ハンディキャップのある方でも社会参加しやすくなります。例えば、障害者の雇用促進に取り組む企業では、重度なハンディキャップを持つ社員が、メタバース上のオフィスに出社して業務を行っている事例があります。
5.ブランド力を強化し競争力が向上する
メタバースを活用することで、新たなマーケティングの可能性が広がり、ブランドの認知度や競争力を高めることが可能です。バーチャルマーケットでリアル商品を売り買いする企業や、メタバースで観光体験を提供する観光地などがブランド力を向上させています。
メタバースを事業に活用するデメリット
メタバースを事業に活用する場合は、メリットだけでなくデメリットにも注意しなくてはなりません。ここでは、メタバースを事業に活用するデメリットを3つご紹介します。
専門的な知識やスキルが求められる
メタバースは新しい技術のため、専門的な知識とスキルが必要です。具体的には3Dモデリングやプログラミング、VR/AR開発などのスキルが求められます。したがって、事業に活用したい場合は、企業は適切な人材を採用するか、社内でスキルを育成しなくてはなりません。
法整備が追い付いていない
メタバースは法的規制が未整備な領域です。そのため個人情報保護や著作権、税金、不正行為などの法的問題が発生する可能性はあります。企業は法的アドバイザーと連携し、リスクを最小限に抑えるための対策を講じるべきです。
ユーザーのプライバシーを遵守する必要がある
メタバースはユーザーの個人情報を扱うため、プライバシー保護が重要です。ユーザーのデータ収集、利用、共有について透明性を持ち、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。
メタバース事業におけるビジネスモデル
メタバースを事業に活用する場合、具体的にはどのようなビジネスモデルが想定されるのでしょうか。ここでは、メタバース事業におけるおもなビジネスモデルをご紹介します。
デジタルコンテンツ・サービス課金
メタバース内で提供されるデジタルサービスやコンテンツに対して、ユーザーが課金することで収益を得るビジネスモデルが、デジタルサービス/コンテンツ課金です。例えばメタバース上でのゲームプレイ、アバターのカスタマイズ、仮想アイテムの購入などが含まれます。
ユーザーがデジタルアセットに課金することで、メタバース内での体験や利用が可能になるビジネスモデルです。例として、フォートナイトやClusterなどのゲーム型メタバースがこのモデルを採用しています。
プラットフォーム・ツール利用料
メタバースを運営するプラットフォーマーが、メタバース内での価値交換を仲介し、その手数料によって収益を得るビジネスモデルです。一般ユーザーがクリエイターとしてデジタルコンテンツ制作などの価値提供を行う際に重要な役割を果たします。
Robloxなどがこのビジネスモデルを採用しており、ユーザーからの課金の一部がクリエイターに還元されている点が大きな特徴です。
イベント収入
メタバース上でのイベントは、地理的な制約を受けずに参加者を集められます。特に若者世代から人気を集めており、新たな顧客層を獲得できる可能性が高いでしょう。
また、バーチャル空間を自由に設計できるため、非日常的なアトラクションやブースを提供できます。遠隔地の友達と一緒にイベントに参加できるなど、現実世界では難しい体験を提供できる点がメリットです。
広告収入
広告収入とは、メタバースを運営するプラットフォーマーや所有企業が、メタバース内での広告枠を企業に販売することで収益を得るビジネスモデルです。メタバース内の建物や壁などに掲示される広告の価値が高まり、企業の注目を集めています。例えば、Roblox上の広告枠の販売などが実例です。
不動産収入
メタバースにおける不動産とは、仮想空間上での土地や建物を指します。これは、現実世界の不動産と同様に売買や賃貸が行われ、NFT(非代替性トークン)によって希少性を担保できる点が特徴です。近年、メタバース内での土地取引は増加しており、企業や個人が仮想空間上に家や店舗を建てるために利用されています。
メタバース不動産はNFTによって一意のIDが割り当てられ、所有権が明確になります。これにより、デジタルデータの複製を困難にし、メタバース上の不動産が資産性を持つようになりました。
NFTについての詳細は、以下をご参照ください。
データ分析・マーケティングによる収入
メタバース内ではユーザーの行動や嗜好、交流などから大量のデータを収集できます。これらのデータは、ユーザーの興味や行動パターンを理解するための貴重な情報源となり、データ分析・マーケティングによる収入を得ることが可能です。
例えば分析結果を基に、ユーザーの興味や需要に合わせたターゲティング広告を表示します。これにより、広告主からの広告収入を得られるでしょう。また、広告の効果はさらにデータとしてフィードバックされ、広告の最適化に役立てられます。
なお、メタバースの事業への活動については、以下記事も併せてご確認ください。
メタバースでできること8選!メリットや制作方法、事例もご紹介
メタバースの事業における活用事例
事業にメタバースを活用する場合は、すでに実践している企業の事例を参考にするのがおすすめです。ここでは国内外の企業におけるメタバースの活用事例をご紹介します。
海外におけるメタバース事業の事例
海外では、AmazonやNIKEなどの大企業がメタバースを事業に活用しています。
Amazon
Amazonは、NVIDIA Omniverseを利用して、世界中の倉庫の出荷オペレーションを最適化しています。具体的には、人工知能を駆使してデジタルツインを構築し、倉庫のデザインと流れを最適化する取り組みです。
NIKE
NIKEは、公式アプリ内で「Nike Fit」という機能を提供しており、ユーザーが足のサイズを測定できます。最新の拡張現実技術を利用して、両足の13か所からデータを収集し、足のサイズや幅などを計測することが可能です。これらの計測結果を元に、ユーザーに最適なシューズを勧めています。
GUCCI
GUCCIは、独自のメタバース空間をRoblox上に構築しています。没入型マルチメディア体験である「Garden Archetypes」を公開すると同時に、ユニークで対話型なバーチャル展示「Gucci Garden」を発表しました。来場者はアバターとして中立なマネキンに変身し、さまざまな部屋を歩き回りながら展示の要素を楽しめます。
国内におけるメタバース事業の事例
日本においても省庁や大企業によって、メタバースを事業に活用する事例が散見されます。
日産自動車
日産自動車は、メタバース上で新車発表・試乗会を開催しています。特定の専用コースを構築し、軽EV『日産サクラ』のVR試乗会を実施。約3か月間で1万5,000人以上が訪れたそうです。
大日本印刷
大日本印刷(DNP)は、インターネット上の仮想空間であるメタバースを活用して、自治体が抱える以下の課題に寄与するパッケージサービスを提供しています。
- 地域の魅力発信
- 産業振興の促進
- 相談業務の支援
- 地域コミュニティーの活性化
このパッケージサービスは、多様なコミュニケーション機能も利用可能であり、さまざまな地域の課題解決に向けて展開されています。
国土交通省
国土交通省は、メタバースを活用したバスツアーを開催しています。仮想空間内で区役所や学校、体育館、消防署、警察署、震災後の街並みなどを再現し、防災意識の向上を図ることが目的です。
メタバース事業の始め方
メタバース事業を始めるためのおおまかなステップは、以下のとおりです。それぞれの内容を確認しておきましょう。
ステップ1.必要なスキルを持った人材の採用・育成
メタバース事業を始めるためには、VR技術や3D-CG、NFTといった専門知識や経験を持つ人材を採用・育成することが必要です。どうしても人材が採用できない場合は、メタバースを専門に事業を行っている企業に相談することも1案でしょう。
ステップ2.ビジネスの内容を決める
まず、メタバース上でどのようなビジネスを展開するか、明確なビジョンを定めましょう。例えば、仮想空間を提供してユーザー同士の交流の場とするか、VRによる展示や販促を行うか、新規事業を展開するかなどを考えます。
ステップ3.プラットフォームの選定と登録
メタバースプラットフォームや国内の仮想通貨取引所に登録しましょう。これにより、ビジネスを展開する土台を整えます。Cluster、VRChat、Enjin Networkなど、複数のプラットフォームが存在し、それぞれが独自の特徴を持っているため、自社の展開したい事業に合うものを選択することが大切です。
ステップ4.必要な機材を準備
PCやVRゴーグル、コントローラなどは、仮想空間でのアクティビティに必要な機材です。構築する空間や提供するサービスの規模や内容によって、機材の種類や数量はは変動動します。
ステップ5.仮想通貨の法人口座を開設
メタバース内での取引には、各プラットフォームで使用される仮想通貨が必要です。メタバース内の取引に備えて、国内の仮想通貨取引所に法人口座を開設し、日本円をデポジットしておきましょう、場合によっては、海外の取引所も併用することがあります。
なお、実際に仮想通貨を使用するためには、仮想通貨用のウォレットを入手することも必要です。
ステップ6.サービス改善、およびアップデート
事前準備が整い、サービスや空間の構築が完了したら、メタバース事業を始められます。メタバースは将来的な進化や発展が期待される領域です。サービス開始後は、機能改善やアップデートが常に求められることを認識しましょう。
なお、メタバースの始め方については、以下の記事もご参照ください。
まとめ
技術開発やサービスの拡充、専用デバイスの普及により、今後メタバースが世の中に浸透していくことが予想されます。また、それにともないメタバースを事業に活用する企業も増えることでしょう。さまざまなビジネスモデルが開発され、市場の開拓が進むことが予想されます。
新たなビジネスチャンスをつかむために、ぜひメタバースを事業に活用してみてはいかがでしょうか。
しかし、実際にメタバースを事業へ活用するためには、人材やデバイス、ノウハウが必要です。そのため、自社だけで実施するのは難しいかもしれません。
メタバースの事業活用を検討する場合は、ぜひリプロネクストへご相談ください。さまざまな企業におけるメタバースの事業活用をサポートしてきた実績があります。お気軽にお問い合わせください。
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