- 2024/08/09
- 2024/08/16
大学の受験生の人数を増やすには?今注目のメタバースの活用事例も紹介
日本では子どもの数が年々減っており、その結果として大学に入学する年齢である18歳の人口も急速に減少しています。このような状況の中、多くの大学にとって受験生を確保することが重要な課題となっています。
そのような中、従来型のオープンキャンパスや資料請求に加え、新たな広報活動として注目されているのがメタバースです。しかし、なぜメタバースを大学の受験生の数を増やすための広報に活用するのか、わからない方も多いでしょう。
今回は、メタバースを活用した大学広報の方法やメタバースが広報に活用できる理由などを紹介します。
メタバースtips編集部です。メタバースをビジネスで活用したい人向けの記事を月間20本制作中。メタバースに関わる情報やトレンドを発信しています。
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目次
受験者獲得競争激化!大学を取り巻く厳しい現実
文部科学省の調査によると、令和5年度の全体での入学志願者数は427万9099人で、前年度比で約12万人減少。短期大学に関しても、令和5年度の全体での入学志願者数は5万6683人で、前年度比で約7600人減少しています。
参考:文部科学省 令和5年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要
文部科学省 令和4年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要
また、日本私立学校振興・共済事業団の「私立大学・短期大学等入学志願動向(令和5年度)」の調査によると、大学全体に占める定員割れの割合は53.3%と前年比6.0ポイント上昇。私立大学・短期大学の半数以上は定員割れしていることがわかります。
参考:令和5(2023)年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向
このように入学志願者数が減少する中で、大学側は受験者数増加に向けた新たな対策が求められています。
受験者数の人数を増やすために欠かせない施策
従来型の広報活動に加え、受験者数を増やすためには、大学の魅力を効果的に伝えるための新たな施策が求められています。 具体的には、以下のような施策が考えられます。
- ウェブサイトやSNSを活用したタイムリーな情報発信の強化
- 遠方からでも参加できるオンライン説明会や個別相談などの実施
- 興味関心を高める体験型イベントの実施
- 大学の情報提供や進路相談会などを通じた高校との連携強化
これらの施策に加え、近年体験型のコンテンツとして注目を集めているのがメタバースを用いた広報です。
次世代の広報活動、メタバースとは?
メタバースとは、インターネット上でアバターを通してコミュニケーションが取れる仮想空間のことです。近年、VRやインターネット技術の発展により、さらに現実世界に近い臨場感を得られるようになり、ゲームやエンターテインメント分野だけでなく、大学や教育機関、自治体、企業の広報活動にも活用が広がっています。
受験生を増やすために活用すべきメタバースのメリット7つ
受験生を増やすための大学広報で、活用すべきメタバースのメリットを7つ紹介します。
1.365日24時間情報発信できる
メタバース空間は、時間や場所に制約されることがなく、いつでも誰でもアクセスできます。大学案内や動画などを掲載しておくことで、受験生は自分のペースで情報収集できます。
2.リアルタイムでコミュニケーションを行える
音声やチャット(文字)、リアクションなどを用いて受験生(高校生)とリアルタイムでコミュニケーションが取れます。音声は、現実世界と同じように距離に応じて音量が変化するため、同じ空間内で多くの人が同じメタバース空間内で会話をしていても、距離を取ることで問題なく会話できます。
3.体験授業など参加型のイベントを開催できる
メタバース空間では、現実世界では準備が大変な体験型イベントも簡単に開催できます。例えば、実験や実習を疑似体験できる授業や、在校生や教授とのワークショップなどを開催することで、大学での学びを具体的にイメージしてもらえます。
4.第2志望以降の受験生にもアプローチできる
オープンキャンパスなどのリアルイベントへの参加は、時間や距離の制約から第1志望の大学に絞る受験生が多い傾向にあります。一方で、メタバース空間を活用すれば自宅から気軽に参加できるため、より多くの受験生にアプローチできます。
5.学校や施設をリアルに再現できる
メタバース空間上に大学キャンパスを3Dで再現することで、受験生は実際にキャンパスを訪れているような感覚で施設や設備を見学できます。安全性などの問題で、実際には案内することが困難な設備もメタバースでなら見学が可能です。また、リアルイベントに参加できなかった人もメタバースで大学を疑似体験することで、入学後のキャンパスライフをイメージしやすくなります。
6.最新のコンテンツに更新できる
メタバース空間に配置する画像や動画、資料は大学側で簡単に変更できます。最新の研究成果やイベント情報などをタイムリーに発信することで、受験生の関心を常にひきつけ、1度だけではなく定期的に訪れて情報収集できる空間にできます。
7.SNSなどでメタバース空間を発信しやすい
メタバースの中には、アプリ不要でブラウザから体験できるものもあり、空間へのアクセス情報を大学のウェブサイトやSNSで発信することで、多くの受験生に周知できます。また、メタバース空間でイベントなどを開催する際は、SNSで積極的に告知することで、集客効果を高められます。
メタバースのプラットフォームの紹介
メタバース空間を構築するための代表的なプラットフォームを3つ紹介します。プラットフォームについてより詳しく知りたい方は以下の記事を参照ください。
メタバースのプラットフォームを提供する国内・外企業14選!選ぶときのポイントも紹介
DOOR™
出典:Door NTT XR
株式会社NTTコノキューが提供するメタバースプラットフォーム「DOOR」。アプリのダウンロードやユーザー登録が不要で、ブラウザから直接アクセスできることから、メタバースが初めての人でも簡単に体験、操作できることが特徴です。特に教育機関や自治体での活用が広まっています。詳細を知りたい方は以下の記事を参照ください。
NTTの「DOOR™」とは?ビジネスの活用法や操作方法を紹介
参考:Door NTT XR公式サイトはこちら
Cluster
クラスター株式会社が運営する「cluster」。総ダウンロード数100万回以上、ユーザー数約800万人以上で、ディズニーやポケモンなどの有名企業とコラボをしていることから、日本最大のメタバースプラットフォームと言われています。clusterには、ボイスチャット、メッセージ、エモートなど、さまざまな方法でコミュニケーションを取るための機能が充実しています。そのため、積極的なコミュニケーションやリアクションを求めるイベントなどに向いています。詳細を知りたい方は以下の記事を参照ください。
メタバース「cluster(クラスター)」とは?できることやビジネス活用事例5選を紹介
参考:Cluster公式サイトはこちら
VRchat
2014年にアメリカで設立された「VRChat Inc.」が運営するソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」。海外サービスなので全て英語表記ですが、従来のSNSと同じく、仮想空間内で世界中の人とのコミュニケーションを楽しめます。クオリティの高い空間を作りたい場合や大規模なイベントを開催したい際に向いています。詳細を知りたい方は以下の記事を参照ください。
VRChatとは?基礎知識&できることや企業の活用事例を紹介
参考:VRChat公式サイトはこちら
事例紹介
実際にメタバースを活用している大学や企業の事例を紹介します。実際に空間に入ることで自校での活用方法が想像しやすくなるため、是非空間に入って体験してください。
大学
新潟工科大学:オープンキャンパス
新潟工科大学は、パソコンやスマートフォンさえあれば、いつでもどこでもキャンパスを疑似体験できるメタバースオープンキャンパスを制作しました。今までは、時間や距離など物理的な制約で足を運ぶことが難しいと感じていた高校生も、メタバースオープンキャンパスであれば気軽に参加できるようになりました。メタバース空間はこちらからアクセスできます。
また、メタバース空間の構築だけではなく、どのようなメタバース空間なのかを分かりやすく解説し、来訪を促すLPの制作も合わせて行いました。
比治山大学 比治山大学短期大学部:キャンパスライフ体験型オープンキャンパス
比治山大学は、参加申し込み不要、入退室自由のメタバースオープンキャンパスを実施。空間内には「秘密の部屋を探す」というゲーム要素もあり、高校生がゲーム感覚で空間を回りながら各学科やサークル、在校生の取り組みなど大学のさまざまな情報が得られます。
参考:比治山大学 比治山大学短期大学
成蹊大学:建設中の新キャンパスを見学
出典:成蹊大学
成蹊大学Society 5.0研究所は、仮想空間と現実空間を融合させることによって、社会課題を解決する研究開発や人材育成に取り組んでおり、その一環として、建設中の新棟を竣工前から、誰でも見て回れるメタバース空間を構築。建物は天井や手すり、家具など細かなところまで作り込まれているリアルな空間です。
参考:成蹊大学
企業・自治体
日亜鋼業株式会社:製品認知拡大のためのテーマパーク
めっき線業界トップシェアを誇る日亜鋼業株式会社は、ワイヤー製品の魅力を体感できるメタバース空間「NICHIA METAVERSE WIRE WORLD」を創設しました。このテーマパーク型の仮想空間は、「都市」「山」「河川」「海」「交流エリア」の5つのエリアで構成。自動車や家電、インフラなど、私たちの身近な場所で日亜鋼業の製品がどのように活用しされているかを、視覚的に分かりやすく紹介しています。メタバース空間はこちらから体験できます。
スマートフォンやPCなど、デバイスを選ばずにアクセスできる点も魅力です。子どもから大人まで楽しめるエンタメ要素も満載で、ワイヤー製品への理解を深められる空間となっています。
日亜鋼業は今後、メタバース上での工場見学や企業説明会など、更なる活用を検討しています。
静岡県:公聴・広報活動の新たな拠点「Metaverse SHIZUOKA」
静岡県は、広報・公聴活動に活用するメタバース空間「Metaverse SHIZUOKA」を構築しました。静岡県を丸ごとスキャンした3次元点群データを活用し、静岡の町並みをリアルに再現。メタバース空間では、意見交換会やタウンミーティング、知事広聴など静岡県の広聴活動をはじめ、観光や移住促進などの場としても活用される予定です。メタバース空間はこちらから体験できます。
静岡県「Metaverse SHIZUOKA」の詳細はこちら
鹿児島大学教育学部附属小学校:英語授業向けメタバース
鹿児島大学教育学部附属小学校は、高学年の児童が外国語の学習で使用するメタバース空間を(株)リプロネクストが制作しました。空間はショッピングモールを再現。フードコート、スーパーマーケット、観光案内所、フリースペースが整備されています。先生からは「普段の授業では発言をしない児童も、メタバースでは積極的に話している姿が見られてよかった。」などの声をいただきました。
鹿児島大学教育学部附属小学校 英語授業向けメタバースの詳細はこちら
まとめ
少子化による受験者数減少が進む中、メタバースの活用は大学広報において従来の広報活動の枠を超えた効果的なアプローチとして期待されています。メタバース空間では、時間や場所の制約を超えて多くの受験生に大学の魅力を効果的にアピールすることができます。
大学広報に役立つメタバースの活用方法やメリットを、より詳細に知りたい方は以下の記事を参照ください。
大学広報に役立つメタバースとは?活用方法やメリット、最新事例を紹介
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