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  • 2024/02/28
  • 2024/04/11

【メタバース×不登校】企業や自治体などによる教育支援の事例を紹介

ゲームやコミュニケーションの場として活用されているメタバースですが、近年不登校の子どもを対象とした支援に使われていることをご存知でしょうか。

実際にメタバースを活用した事例もあり、復学を果たしたケースなどもあります。

今回は、メタバースを活用した企業や自治体の取り組み事例や、メタバースを教育支援に活用するメリットを紹介します。

リアルの学校とは違うメタバースならではの取り組みについて把握できますので、不登校支援に興味のある方はぜひご覧ください。

目次

1.メタバースとは

メタバースとは、インターネット上に構築された仮想空間を指します。超越を意味する「meta」と世界を意味する「universe」を組み合わせた言葉で、1992年に出版されたアメリカのSF小説「スノウ・クラッシュ」の中で使われたことが始まりとされています。

メタバースはコミュニケーションツールとしての活用やゲームなどで使われていますが、引きこもり支援としての利用も広がっている状況です。仮想空間で同じような境遇の方とつながり、将来的な復学や社会復帰に向けたさまざまな取り組みが企業や自治体主導で行われています。

1-1.メタバース登校とは

メタバース登校とは、メタバース空間内に作られた学校に登校し、その中で学校と同じような教育や活動を行うことを指します。また、ほかの不登校の子どもたちとの交流をしながら過ごすことができる点も特徴です。

メタバース登校に力を入れている自治体もあり、メタバース登校を行った子どもを対象に出席認定をするといった事例もあります。

2.メタバースを活用した不登校支援が進められた背景

現在はSNSやインターネットの普及により、子どもたちはクラスメイトなどとつながりやすい環境に置かれています。交流がしやすい一方、学校での関係性が学校の外でもつながってしまい、不安に感じやすくなっていることが不登校の子どもが増えている要因の一つとなっています。

このような背景により、不登校の子どもたちの居場所の確保が必要であるとの思いから、メタバースを活用しての不登校支援が始められました。

支援を通して将来的に子どもたちが社会とのつながりを再度構築し、自分に適した学びの形を見つけることを目指しています。そのために、自治体や学校などと連携しながら支援を進めています。

3.メタバースによる教育支援を行うメリット

メタバースを使った不登校の子どもの教育支援には、以下のようなメリットがあります。

ここでは、上記のメリットについて詳しく解説します。

3-1.オンライン登校ができる

メタバースを使うことで、自宅からでもオンラインで登校ができる点はメリットの一つです。不登校になるきっかけとして、ほかの生徒や先生との関係性や体の不調などが挙げられます。

不登校の子どもの中には、学校に行きたくてもいけないといった気持ちを抱えているケースもあります。そのため、メタバース上でも登校できることは不登校の解消に大いに役立つでしょう。実際に、メタバース登校をきっかけに学校へ通えるようになった事例もあることから、メタバース登校の意義は大きいと感じられます。

3-2.メタバースならではの体験ができる

メタバースでは、実際の学校ではできないような体験を味わうことができます。

例えば、縄文時代や江戸時代など昔の日本へタイムスリップし、当時の文化や食生活などを学ぶことができます。教科書に載っているような出来事を追体験できるため、通常の学習とは違った学習機会を得られるでしょう。

そのほかに、火を使った実験や高い場所に立つといった危険を伴うような体験もメタバース上では安全に行えます。また、メタバース内ですべて完結できるため、コストを削減できる点もメリットです。

3-3.学校や家庭以外の居場所が構築できる

「学校に行かなければならない」と思っている不登校の子どもは多く、自宅にいても気持ちが落ち着かないといったケースがあります。このような場合でもメタバース登校をすることで、学校に通っている感覚となり子どものメンタルが安定するといったメリットがあります。

メタバース上に設置された学校は、実際の学校や自宅とは別に子どもにとっての新たな居場所と思えるようになるでしょう。また、同じ不登校の子どもや先生たちとの交流によって、実際の学校に通う意欲が出てくる効果も得られます。

4.企業や自治体などによるメタバースを活用した教育支援の取り組み事例

実際に、企業や自治体が中心となってメタバースを活用した教育支援を行っているケースもあります。ここでは、以下の自治体や企業などの取り組み事例を紹介します。

4-1.認定NPO法人カタリバ

認定NPO法人カタリバでは、不登校の子どもを支援するプログラム「room-K」を運営。room-Kでは、不登校の子どもと保護者との面談を通しての支援計画の作成や、オンライン上での学習支援プログラムの提供などを行っています。

room-Kでは自治体との連携にも力を入れています。埼玉県戸田市との取り組みではオンラインを活用して、不登校や長期欠席の子どもを対象に学びを充実させるための連携協定を締結。協定では、デジタルツールを活用した学びのプログラムの提供や、メンターを派遣しての学習支援などが盛り込まれています。

4-2.帯広市教育委員会

帯広市教育委員会は、2023年5月に小学校や中学校、義務教育学校にて不登校の状態にある子どもを対象としたオンライン教育センター「ひろびろチョイス」を立ち上げました。取り組みがスタートしてから登録者数は増え続けており、2023年11月時点で119名に上っています。

メタバースプラットフォームの「ovice」を活用して月曜〜金曜日の10時〜14時15分の間アクセスが可能となっており、その中で授業を行う形です。プログラミングや教育委員会が提供しているコンテンツでさまざまな学習を行うなど、子どもが興味を持ったことを学べる環境が整っています。

月に1回「遠足チョイス」と呼ばれる、リアルの場を活用した体験学習を実施。これまで川下りや収穫体験、帯広市の市長室を訪問するなど、さまざまな活動を行っています。

4-3.NTTスマートコネクト株式会社

NTTスマートコネクト株式会社は、NTT東日本と共同で埼玉県内の不登校の子どもを対象とした「3D教育メタバース」の活用実証を2023年11月から始めました。

さいたま市教育委員会では、これまで「不登校等児童生徒支援センター」を開設し、ICTを活用しての学習支援活動を実施。支援活動の結果、不登校となっている子どものためにオンライン上の居場所を確保し、仲間と学びあう環境が必要とのことから今回の取り組みが始まりました。

取り組み期間は2023年11月20日〜2024年3月31日までとなっており、3Dメタバース空間内で、アバターを介して協働的な学びの授業や行事を行っていく予定です。取り組みを通して誰一人取り残されることなく、社会的に自立できるよう支援していくことを目指します。

4-4.京都府・一般社団法人プレプラ

京都府では、一般社団法人プレプラと共同で不登校やひきこもりの学生を対象とした居場所支援プログラム「ぶいきゃん京都」を開催。このプログラムは2023年9月25日から10月22日にかけて行われ、メタバース内での探索活動やクリエイターの講演、ワークショップなどが開かれました。

開始当初は参加者に緊張が見られたものの、回が進むごとに積極的にコミュニケーションを図る場面も見られるように。また、昨年度の参加者による講演も開かれ、プログラムの参加をきっかけに復学を果たしたといったお話を聞く機会も用意されました。

このプログラムでは、不登校に関する専門スタッフがLINEを通じて保護者との連携体制を整え、参加者や保護者との信頼関係の構築にもつながったとのことです。

広島市×立命館大学

立命館大学では、広島市内に住む不登校の高校生を対象に「メタバース不登校学生居場所支援プログラム」を2022年9月26日から10月9日にかけて行いました。このプログラムでは、メタバースを通して人とのふれあいや独自の文化を通じて、居場所の確保や可能性を見出す機会の提供を目的としています。

VRデバイスを装着して、メタバースプラットフォーム「VRchat」内にて探索やクリエイターとの交流を実施。また、参加者それぞれにメンターがつき、活動をサポートしました。

プログラムの修了式では参加者から「とても楽しい2週間だった」「もう一年くらい続いてほしい」といった声が寄せられたとのことです。今後は、広島市以外でも活動を行うなどエリアの拡大も予定されています。

4-6.山梨県甲府市

山梨県甲府市健康支援センターは、メタバースプラットフォーム「DOOR」を活用して「甲府市メタバース心のよりどころ空間」を開設。株式会社リプロネクストが開発を担当し、甲府市のひきこもり支援窓口として利用されています。

「甲府市メタバース心のよりどころ空間」には、以下の2つの空間が用意されています。

これまで甲府市のひきこもり相談窓口に寄せられる相談は、ほとんどが家族からのものであり、当事者と対面できないケースが多い状況でした。そのため、メタバース空間の構築によって当事者も相談しやすくなるのではとのことから取り組みがスタートしました。

甲府市では、メタバースの活用により相談がしやすい環境を構築できるよう取り組みを進めています。

5.メタバースでの不登校支援における課題

企業や自治体にてメタバースを活用した不登校支援が行われていますが、まだ取り組みが少ない状況にあります。メタバースを利用するには、インターネット環境の構築や関連デバイスの用意が必要な場合もあるため、導入のハードルが高く感じるケースもあるでしょう。

そのほか、メタバース空間では問題なくコミュニケーションがとれても、リアルでの対人関係がスムーズに構築できるかについても対策が必要です。社会に出た時に向けて、帯広市の事例で紹介した取り組みなども参考に、メタバースと現実世界を組み合わせた支援を行っていくことが大切です。

6.まとめ

不登校の子どもでも安心して学びや交流ができるよう、企業や自治体によるメタバースを活用した取り組みが行われています。学校に行きたくてもいけない子どもがメタバースを利用することで、新たな居場所を見つけ、社会とのつながりが構築できるきっかけにもなります。

不登校支援ではさまざまな取り組みが行われており、遠足と称してリアルの場での体験学習や、メンターによる学習支援などがあります。不登校に関する相談窓口を設けている自治体もあるため、不登校に悩んでいる方は、まずは相談から始めてみましょう。

メタバースtipsを運営しているリプロネクストでは、法人・自治体向けメタバースについて企画・プラットフォーム選びから開発までを一貫してサポートしています。「不登校支援にメタバースを活用したい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

「Metaverse tips」は株式会社リプロネクストが運営しています。
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