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メタバースの種類

  • 2023/12/11
  • 2024/04/11

フォトグラメトリをメタバースに活かした事例を紹介

撮影した写真を3Dモデルとして再現できる「フォトグラメトリ」ですが、メタバースに取り入れて活用したいと考えている方もいるのではないでしょうか。

結論として、フォトグラメトリで作成した人物や建物、都市などをメタバース上に再現することで、リアルな仮想空間の構築が実現できます。

今回は、フォトグラメトリとメタバースを活用した事例や、それぞれを取り入れるメリットを紹介します。観光や文化財の保存などにも活用できるため、導入を検討している方は、ぜひご覧ください。

目次

1.フォトグラメトリとは

フォトグラメトリ イメージ

出典:STYLY

フォトグラメトリとは、被写体となる物体や人、建物をあらゆる角度から撮影し、そのデータを解析・合成して3DCGモデルを作成する技術です。光を意味する「photo」、記録や描画を意味する「gram」、測る・測定法を意味する「metry」を組み合わせた言葉で、「写真を用いて測定する」といった意味があります。

フォトグラメトリは「写真測量法」とも呼ばれており、地形調査や測量、建造物の復元資料の作成などに活用されています。

どの程度リアルな3DCGを作成したいかによって撮影枚数は変動しますが、およそ100〜110枚程度必要です。フィギュアのような小さいものから、建物や町などの大きなものも3Dモデルとして再現可能です。

2.メタバースとは

メタバース イメージ

メタバースとは、仮想空間内で作られる人間社会を指します。自分の分身であるアバターを通して、仮想空間内でコミュニケーションや経済活動を行います。また、メタバース上でイベントも開催できるほか、メタバース内で使用できる土地や商品の販売・購入が可能です。

メタバースは、超越を意味する「meta」と宇宙を意味する「universe」を組み合わせた造語で、1992年に発行されたアメリカのSF小説「スノウ・クラッシュ」で使われたのが始まりです。

2000年代に入ると、2003年にアメリカのLinden Lab社が開発した「Second Life」がリリースされ、メタバースの先駆けとして注目されました。現在では「マインクラフト」や「フォートナイト」といった有名ゲームソフトも、メタバース活用したサービスとして知られています。

3.フォトグラメトリをメタバースへ取り入れるメリット

メタバースにフォトグラメトリの技術を取り入れることで、現実世界に存在する建造物や町並みをリアルに再現でき、現実空間にいるような体験ができます。

また、仮想空間に出店している店舗などで、実際の商品を手に取って見ているかのような体験も可能です。通常のECサイトでは、数枚の写真のみで購入を判断する必要があります。しかし、フォトグラメトリの活用により、具体的に商品について調べられる点がメリットの一つです。

ゲームエンジンを使用している場合は、ゲーム機やスマートフォン用に最適化することで、さまざまなデバイスへ対応できます。フォトグラメトリによって、ゲームをプレイしているような感覚で3Dデータの閲覧も可能です。

4.フォトグラメトリとメタバースの活用で観光も可能

フォトグラメトリをメタバースに取り入れることで、観光地を訪れるといった体験が楽しめます。ここでは、フォトグラメトリを活用して観光に関する取り組みを行っている事例を紹介します。

4-1.メタバース上にヴェネツィアを再現

フォトグラメトリを活用して、海外のさまざまな街並みを再現しているクリエイター「ノーベルチョコ」さんによって、ヴェネツィアの街並みを再現。ヴェネツィアを再現するために撮影した枚数は約3,000枚以上に上ります。

ヴェネツィアで有名な「ゴンドラ」と呼ばれる乗り物に乗って、川を渡りながら優雅に街を散策できます。奥に見える街並みも立体的に再現されており、実際の風景との違いが感じられないほどのクオリティです。

ノーベルチョコさんが作成したベネツィアの街並みは「VRChat」上で公開されています。また、フランスやスペイン、クロアチアなどの街並みもフォトグラメトリで再現しており、メタバース上で気軽に海外旅行が楽しめます。

4-2.VRを使って京都観光

京都VR イメージ

出典:cluster

京都の「産寧坂」「二年坂」「八坂通」の街並みを、フォトグラメトリの技術を活用して再現した事例です。撮影は効率を重視して、一部のエリア以外は一眼カメラではなく360度カメラを使用して行われました。

「Reality Capture」と呼ばれる生成ソフトを使用し、読み込んだ画像は25,180枚に上りました。町並みや建物だけでなく、お饅頭やきんつばといった食べ物のスキャンも実施。全部で16種類の食べ物を生成し、実物と思えてしまうくらいのリアルさで再現されています。

歴史を感じる空間を堪能しながら、食べ歩きの体験も楽しめる仕上がりとなっています。

4-3.鍾乳洞の散策も可能

日原鍾乳洞 イメージ

出典:PANORA

東京都奥多摩にある「日原鍾乳洞」をフォトグラメトリで再現したワールドが、VRChatにて公開中です。ワールド内を散策していると、鍾乳洞から落ちてきた水滴の音が反響するなど、細かい部分も再現されています。

岩の凹凸や模様なども細かに再現されており、見ているだけでも手触りを感じられる印象があります。日原鍾乳洞は「Pokke」と呼ばれるガイドアプリで、音声ガイドを配信。解説を聞きながら、ワールド内を散策するといった楽しみ方も可能です。

5.フォトグラメトリとメタバースを組み合わせた取り組み事例

フォトグラメトリとメタバースを組み合わせた取り組みは、観光だけではありません。ここでは、それぞれを活用した以下の取り組みについて紹介します。

5-1.大黒湯デジタル保存プロジェクト

大黒湯 イメージ

出典:電ファミニコゲーマー

1929年に創業し、2021年6月の閉店まで約90年の歴史を誇る大黒湯をフォトグラメトリの技術を活用して、デジタルアーカイブ化した取り組みです。デジタルアーカイブ化のために使用した写真の枚数は約3650枚。ロビーや浴室、ボイラー室など大黒湯の内部をほぼ完全に再現しています。

VRChat版には浴室に立ち込める湯気や、声の反響なども再現されているほか、コーヒー牛乳を飲むといった体験もできるようになっています。また、歴史ある銭湯の雰囲気を感じながら、湯船に浸かるといった体験も可能です。

大黒湯は常連客や多くの銭湯ファンに愛されてきたため、公開後は日本だけでなく世界中からもユーザーが訪れ、アバターを通して思い思いに大黒湯を楽しんでいました。

5-2.メタバースマスターズによる文化財のデジタルアーカイブ化

文化財デジタルアーカイブ イメージ

出典:ハコスコ

メタバースマスターズとは「VoxelKei氏」「ハコスコ社」「太陽企画株式会社」「スタジオダックビル合同会社」で構成されたデジタルアーカイブ制作チームです。文化財や観光地などをデジタル空間に再現することを目的としており、デジタルアーカイブや高性能なメタバースの提供を目指しています。

現在、メタバースマスターズの取り組みとして、姫路城や須磨寺など国内にある19の文化財をデジタルアーカイブ化し公開しています。ドローンを活用しての撮影やスチール撮影、レーザースキャナーを用いて対象物の計測を実施。その後、素材の解析や統合を進め、対象物を細部まで再現したデジタルデータに仕上げています。

日本を訪れた外国人への認知拡大のために、多言語でのナレーションにも対応。日本の歴史ある文化財への理解を深めるためのコンテンツとして活用できます。

5-3.和歌山市友ヶ島の旧日本軍施設の再現

友ヶ島旧日本軍施設 イメージ

出典:J-CASTニュース

和歌山県和歌山市にある友ヶ島には、旧日本軍の施設が残っています。その中にある3ヶ所の施設をフォトグラメトリクリエイターの「とこよし」さんがフォトグラメトリを活用して再現しています。

VRchatにて公開されているワールドは、現実と差が感じられないほどリアルに再現。VRChatからアクセスすると四角い物体が表示されますが、この物体はフォトグラメトリーの作成に必要な写真を撮影した場所を表しています。

地下施設を閲覧する際は、3Dモデル化された懐中電灯を使うなどリアル感を意識した演出も用意。また、空間全体を明るく照らしてくれるギミックも備えられているため、空間全体を確認したい時に活用できます。

「友ヶ島第3砲台跡」「装甲掩蓋(そうこうえんがい)」「旧海軍聴音所跡地」がフォトグラメトリによって再現され、VRchatにて公開されています。

5-4.うだつの町並みを3Dデジタル化

うだつの町並み イメージ

出典:MoguLive

徳島県の名勝として知られている「うだつの町並み」が、フォトグラメトリの技術を用いて3Dデジタルアーカイブとして公開されています。

「うだつ」とは、江戸時代の民家に備え付けられていた小屋根付きの袖壁を指します。本来は火災防止が目的ですが、設置には多くの費用が必要なことから、富や地位を示すための象徴となりました。そのため「出世できない」や「お金に恵まれない」といった意味の「うだつが上がらない」の語源となりました。

建物が一直線に並んでいる光景が特徴ですが、フォトグラメトリでも実物と同じように再現。本瓦葺の屋根は、年月が経過したことによる劣化が見られるものの、歴史を感じさせる雰囲気も仮想空間で楽しめます。

建物が再現されているのはもちろん、一部の建物は内部も再現されているため、町の歴史についても学ぶことが可能です。空間内に設置されている井戸に入ると、夜になったうだつの町並みへ移動でき、昼とは違った雰囲気を存分に楽しめます。

6.まとめ

メタバースにフォトグラメトリを取り入れると、現実世界のようにメタバース上でもリアルな街並みが再現できるなどのメリットが得られます。また、ゲームをプレイしているかのように3Dデータの閲覧もできるため、メタバースとフォトグラメトリの相性は良いと言えるでしょう。

フォトグラメトリの活用によって、オンライン上でさまざまな場所を観光できる点や、文化財の閲覧など、さまざまな楽しみ方ができます。

メタバースtipsを運営しているリプロネクストでは、法人・自治体向けメタバースについて企画・プラットフォーム選びから開発までを一貫してサポートしています。「フォトグラメトリを活用できないか」と考えている方は、無料相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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