- 2023/12/05
- 2024/07/26
フォトグラメトリの作成におすすめのソフト8選!作成方法も紹介
建物や人物などを、実物と同じように再現できるフォトグラメトリですが、活用する際は専用のソフトウェアが欠かせません。しかし、一言でソフトウェアといってもさまざまな種類があるため、迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。
フォトグラメトリの作成に苦労しないためにも、どのようなソフトウェアがあるのか把握する必要があります。
今回は、フォトグラメトリの作成におすすめのソフトを紹介します。フォトグラメトリの作成方法についても解説しますので、導入を検討している方は、ぜひご覧ください。
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目次
1.フォトグラメトリとは
出典:STYLY
フォトグラメトリは、さまざまな角度から撮影した写真を使って、物体や場所を3Dモデルとしてコンピューターで再現する技術です。フォトグラメトリでは、小さなフィギュアから大きな建築物まで、リアルな3Dモデルの作成が可能です。
測量、地形調査、歴史的建造物の保護など専門的な分野で活用されていますが、最近ではゲーム制作などエンターテイメント分野でも使われています。パソコンや専用ソフトウェアの性能が上がっていることから、今では一般の人でも簡単に使えるようになっています。
写真測量法とも呼ばれるフォトグラメトリは、110枚程度の写真から精密な3Dモデルの生成が可能です。また、スマートフォン用アプリを利用して、現実の物体や場所をデジタル空間に再現する「デジタルツイン」での利用においても注目が集まっています
2.フォトグラメトリの作成に必要な道具
フォトグラメトリを行うためには、カメラ、パソコン、ソフトウェアの3つが必要です。カメラはスマートフォンでもOKですが、一眼レフのような高性能なものを使うと、より精度の高い3Dモデルが作れます。
パソコンは、処理能力が高いものが理想的ですが、市販のノートパソコンでも十分使えます。より処理能力の高いパソコンを使った場合、解析が早く終わるなど効率的な作業が可能です。
フォトグラメトリ用ソフトウェアはいくつかありますが、「MetaShape」「ReCap」「Reality Capture 」「3DF Zephyr」などが有名です。無料体験版があるソフトウェアもあり、試しながら使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
3.フォトグラメトリを使用した3Dモデルの作成方法
フォトグラメトリで3Dモデルを作るには、まず対象物をさまざまな角度から撮影します。撮影枚数は数十枚から200枚程度で、対象物が全体的に映るようにし、写っていない部分がないよう注意が必要です。
次に、写真をソフトウェアに読み込ませ、低密度点群から3Dモデルの作成を始めます。低密度点群の段階では、まだ大まかな形状がわかる程度です。さらに高密度点群へ変換し、不要な部分やノイズは削除を行い、モデルが傾いている場合は補正します。
次に、高密度点群をメッシュ化し、ポリゴンモデルを作成。メッシュ化することで、形状が網目上になりポリゴンモデルへと変化します。3Dモデルらしくなるものの、表面はまだざらついた状態です。そこで、テクスチャ付きメッシュを作成し、表面に画像データを貼り付けることで、リアリティさが増します。
最終的に、3DモデルをObjファイルとして出力し、フォトグラメトリーによる3Dモデルの作成が完了。使用するソフトウェアや求める3Dモデルの品質によって手順は変わりますが、基本的なプロセスはほぼ同じです。
4.フォトグラメトリに向いている被写体・不向きな被写体
フォトグラメトリで3Dモデルを作る際、被写体によっては上手くスキャンできるものとできないものがあります。ここでは、フォトグラメトリに向いている被写体と不向きな被写体を紹介します。
フォトグラメトリに向いているものは以下の通りです。
- ざらざらした質感のもの
- 模様が多いもの
次に、フォトグラメトリに向いていないものは以下の通りです。
- つるつるした質感のもの(プラスチックや陶磁器など)
- 白飛びしやすいもの
- 非常に小さいものや接写が必要なもの
- 形が複雑な木や植物
- 動きやすいもの(人間、ペットなど)
- ガラスや鏡のような透明や反射素材
- 光沢のある金属
- 毛羽立ったファー
- 細かすぎるもの(糸など)
- 表面の模様や色に変化がないもの
- 真っ黒なもの
- 煙や炎のように実態のないもの
上記の特性を把握することで、フォトグラメトリを使った際にどのような被写体が適しているか、または不向きかを判断できます。
5.フォトグラメトリの作成におすすめのソフト
フォトグラメトリの作成に対応したソフトウェアはさまざまありますが、ここでは以下の8種類を紹介します。
- 3DF Zephyr
- COLMAP
- Meshroom
- Regard 3D
- PhotoModeler
- Reality Capture
- Agisoft Metashape
- Artee Studio
対応しているOSや機能など、ソフトウェアによって違いがあるため、以下の解説を参考にしながら選んでいきましょう。
5-1. 3DF Zephyr
出典:3D Zephyr
3DF Zephyrは、イタリアの3DFLOW社が開発し、2014年にリリースしたソフトウェアです。無料版は使用できる機能が限られていますが、最大50枚まで写真が処理できます。Lite版では最大500枚、ProおよびAerial版では写真の枚数に制限はありません。
無料版には編集ツールの制限があります。有料版にアップグレードすることで、点群やテクスチャ付きメッシュ、オルソ画像の生成などの高度な機能の使用が可能。また、3DF Zephyrはユーザー数が多いため、インターネット上には多くの解説記事があり、初心者でも学びやすい環境となっています。
5-2. COLMAP
出典:COLMAP
COLMAPは、スタンフォード大学とGoogle AIによって開発された無料のソフトウェアです。Windows、macOS、Linuxに対応しているほか、日本語での利用も可能です。
当初は研究目的で開発されたため、高度なオプションが多く含まれています。短時間でデータを作成したい方には不便に感じる部分がありますが、品質を重視し、詳細な3Dモデリングを実現したい方に適しているソフトウェアと言えます。
5-3. Meshroom
出典:Meshroom
Meshroomは、Adobe Researchが開発したAliceVisionフレームワークに基づく無料のソフトウェアです。WindowsとLinuxで利用可能ですが、Macは非対応です。さまざまな角度から撮影された写真を使用しての3Dモデル生成が可能で、サーフェスポイント間の距離を計算してオブジェクトのメッシュを作成します。
操作のしやすいドラッグ・アンド・ドロップエディターを搭載しているほか、最大1000枚以上の画像をサポート。また、HoudiniやBlender、Mayaなどの3Dモデリングソフトウェアとの互換性も備えています。
5-4. Regard 3D
出典:Regard3D
Regard3Dは、フランスのArevo社によって開発された無料のソフトウェアです。Windows、macOS、Linuxで利用でき、2013年にリリースされて以降、継続的に更新されています。
様々な角度から撮影したオブジェクトの写真から3Dモデルを生成してくれる点が特徴。また、日本語に対応しており、ユーザーによって翻訳の追加・編集が可能です。
Regard3Dは高機能であるものの、初めて使う際には設定やパラメーターの操作に苦戦することもあるでしょう。その際は、公式サイトにある初心者向けガイドやチュートリアルを参照することをおすすめします。
5-5. PhotoModeler
出典:PhotoModeler
PhotoModelerは、実在するオブジェクトや現場を測定しモデリングができるWindows用フォトグラメトリツールです。デジタルカメラで撮影された写真でも、フォトグラメトリ技術によって精密な3Dデータが作成できます。
PhotoModeler主なメリットは、以下のようなものがあります:
- 作業時間の短縮
- デジタルカメラで撮影した写真も使用可能。
- 非接触測定に対応
- 高精度
- 大小さまざまなオブジェクトの測定が可能
- 動いている被写体でもキャプチャが可能
- 他の測定データソースとの統合
操作するために専門的な知識は必要なく、誰でもプロのような3Dモデルが作成できる点がPhotoModelerの特徴です。
5-6. Reality Capture
Reality CaptureはCapturing Realityが開発したソフトウェアで、2015年にリリースされました。WindowsとmacOSに対応し、2022年からは日本語でのサポートも開始しています。
サブスクリプション方式で提供されており、写真やLiDAR、3Dスキャナーなどさまざまなデータソースをサポート。また、簡単なタスクは自動で処理できるほか、複雑なプロジェクトは手動で制御できるなど柔軟性のある対応が可能です。
Reality Captureに搭載されているツールには、水密な三角形メッシュを作成するものや正射図法とマッピング機能に使用するものなど、豊富なツールを備えています。
5-7. Agisoft Metashape
Agisoft Metashapeは、航空写真、近距離写真、衛星写真など多様な画像を取り扱うソフトウェアで、Standard EditionとProfessional Editionの2つのプランがあります。
Professional Editionでは高密度点群編集、数値表層モデル(DSM)、数値地形モデル(DTM)生成、オルソモザイク生成などが利用できます。また、PythonスクリプトやJavaバインディングを使用したカスタマイズが可能です。
Standard Editionは、フォトグラメトリの三角測量、密な点群生成・編集、3Dモデル生成とテクスチャリングなどの機能を使用できます。しかし、クラウド処理、PythonモジュールやJavaライブラリといった測定・分析ツールは使用できない点には注意が必要です。
5-8. Artee Studio
出典:Artec Studio
Artec Studioは簡単な操作でプロに近い3Dスキャンやデータ処理を実現できるソフトウェアです。リリースから現在に至るまでバージョンアップを繰り返しており、直感的な操作で技術の習得がしやすい点が特徴です。
AIニューラルエンジンを搭載しており、手の届きにくいような場所でも精度の高い3Dデータの作成が可能。また、オートパイロットモードを使用すると、スキャンからメッシュの作成に至るまでの工程を高速化できます。
6.まとめ
フォトグラメトリの作成に対応しているソフトには、無料版と有料版を提供しているものや、対応しているOSなどさまざまな違いがあります。カメラだけでなく、スマートフォンの使用など手軽に作成できる点も、ソフトを選ぶ際のポイントに挙げても良いでしょう。
フォトグラメトリはカメラ(スマートフォン)・パソコン・ソフトを用意するだけで利用できます。利用するソフトを決めた後は実際に作成して使い勝手を試してみましょう。
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